通でがんす

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世界初のOVA『ダロス』サントラ 最新リマスタリングで復活!

2022年03月23日 | 音楽
今から39年前の1983年12月、
世界初のOVA(オリジナルビデオアニメ)
『ダロス(DALLOS)』が発売された。

その『ダロス』のサウンドトラックが、
今日(3月23日)、最新リマスタリングで
タワーレコード限定でCD販売される。


↓『ダロス』サウンドトラックについては、こちら↓

「原作・脚本:鳥海永行、監督・脚本・演出:押井守の師弟コンビによる世界初のOVA作品で、音楽を新田一郎と難波弘之が手掛けた『ダロス』サウンドトラックCDが2022年最新リマスタリング、タワーレコード限定で3月23日発売」タワーレコード





今日は、
世界初のOVA『ダロス』のサントラと
その製作秘話(?)
についての話でがんす。





OVA(オーブイエー)、
オリジナルビデオアニメとは、
ビデオのために作られたアニメ作品。
それまでのアニメ作品は、
映画で上映するか、
テレビで放送することを前提に
作られたものだった。
それを、ビデオという新しいメディアに
合わせた作品として制作された。

『ダロス』は、もともと、
打ち切りが決まっていたテレビアニメ
『魔法のプリンセス ミンキーモモ』
(1982年-83年、制作:葦プロ)
の後番組として企画された。
しかし、『モモ』の放送延長が
決まったことでこの企画は流れる。
また、男の子向けにキャラクター展開
できる番組の企画を、という話だったが、
それも難しいそうだということで、
テレビシリーズの企画としては断念した。

のち、ビデオの企画として復活。
1983年12月21日、
「世界初のOVA」という触れ込みで
バンダイの「EMOTION(エモーション)」
レーベルから発売された。


↓EMOTIONロゴ動画については、こちら↓

「Bandai - Emotion」YouTube


『ダロス』は
どんな物語かというと…。


21世紀末--。
人口増加や資源枯渇など諸問題を抱える地球連邦政府は、その解決策として月面開拓を計画する。
月からの鉱物資源によって、地球はふたたび豊かになる。
その一方で、月の裏側に建設された都市「モノポリス」に住まわされたルナリアン(月面開拓民)たちは、その生活を徹底的に管理され、地球に対して不満を抱いていた。
反連邦政府の機運が高まる中、ルナリアン第三世代が、自由と独立を求めて起ち上がる!
主人公のシュン・ノノムラ、幼なじみのレイチェルは、ゲリラのリーダー、ドグ・マッコイが主導する独立運動に巻き込まれていく。
一方、月面都市統轄局の司令官、アレックス・ライガーは、彼らの要求を拒絶、武力を持って鎮圧しようとする。



↓『ダロス』については、こちら↓

「ダロス」株式会社ぴえろ 公式サイト


タイトルとなっている「ダロス」は、
モノポリスの近くの月面にある
巨大な機械構造物。
ルナリアンたちは、
このダロスを神のように思っていた。

テレビシリーズ(全52話)の設定では、
ダロスとは古代人が月面に残した
巨大な通信機で、物語のラストに
宇宙の彼方からメッセージが届き、
ルナリアンたちはそれに乗って
新天地へ脱出するという、
壮大な物語だったという。

OVA『ダロス』は、
その壮大な物語の序章を描く物語。
当初は全3話、
3話×各30分=90分
の予定だったが、
それでは収まりきらなかったため、
第3話を前・後編での発売となった。

最初に書いたとおり、『ダロス』は
世界初のOVAとして発売された。
とはいえ、このころはまだ、
すべての家庭にビデオデッキが
普及していないころ。
街中にビデオレンタル屋が
でき始めたころ。
「ビデオ戦争」といわれる、
VHS(ブイエイチエス)対β(ベータ)の
激しい争いがあったころ。
…だったと記憶する。







『ダロス』の音楽は、
ブラス・ロックバンド
スペクトラムのリーダー
新田一郎(にった いちろう)さんと、
プログレッシブ(プログレ)・ロック
第一人者で、キーボード奏者の
難波弘之(なんば ひろゆき)さん
が担当した。
そのため、サントラの帯には
次のように書かれている。


伝説のスペクトラム・サウンド&プログレ・サウンドのハイブリッド・ミュージック


「ハイブリッド(「組み合わせる)」は、
今では「ハイブリッドカー」などで
知られるようになった言葉だが、
このCDが発売された1984年当時は、
あまり知られていない言葉だった
と記憶する。


↓『ダロス』サウンドトラックについては、こちら↓

「Dallos OST - Opening Theme」YouTube


新田さんと難波さんは、
以前から交流があった。
難波さんが司会を務める
『マツダ・ザ・ミュージック』
というFM番組に新田さんが出演、
「トランペッター・ベスト10」
について話をした回があって、
それをカセットテープに録音したものが
手元に残っている。
(放送年月日、不明)





『ダロス』の原作は、
『科学忍者隊ガッチャマン』をはじめ
数多くのタツノコ作品を手がけた
鳥海永行(とりうみ ひさゆき)さんが、
監督は、鳥海さんの弟子にあたる
押井 守(おしい まもる)さん
が手がけた。
しかし、人間ドラマにしたい鳥海さんと、
状況描写に重きを置きたい押井さん
との間で方向性が全く違ったため、
あらゆる場面で対立、
現場が混乱したという。


あれは現場がかわいそうだったよね。監督が二人いるんだもの。スタッフが言ってた。「どっちの言うことを聞いたらいいんだよ」って。

(『ロマンアルバム 攻殻機動隊 PERSONA 押井守の世界』徳間書店 1996年 P47)



音楽の面でもふたりは対立。


いちばん参ったのは、音楽なんです。僕が最初、「民族音楽風のリズムでいってくれ」って。「アルジェの戦い」みたいなの。あれがいいんだ、リズム主体で作ってくれと。
(略)
上がってきたのが演歌だった。

(同上)



この音楽が気に入らなかった
押井さんは、『紅い眼鏡』(1987年)から
川井憲次(かわい けんじ)さん
とコンビを組むことになる。
一方、この音楽をいたく気に入った
鳥海さんは、OVAでの次回作となる
『エリア88』(1985年から1986年)
でも新田さんを起用した。





今日は、
世界初のOVA『ダロス』のサントラと
その製作秘話(?)
について話をさせてもろうたでがんす。


ほいじゃあ、またの。
コメント
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