「明日は節分じゃね」
「ぼちぼち恵方巻も飽きてきたのう」
「今年の節分は、これを作ってみようと思うんじゃけど…」
「江波(えば)巻き!? 聞いたことがない食べ物じゃの」
「うちも、この記事を読むまで知らなかったんじゃけどね」
(「温かご飯 広島の味くるり 江波巻き」中国新聞 2012年1月20日)
「見たところ、両端を結んである巻きずしのように見えるんじゃがのう」
「お酢を使うとらんけぇ、巻きずしというよりはおにぎりじゃね。形が鉄砲の形に似とるけぇ、「テッポウ」とも呼ばれとるんじゃと」
「なるほどのう。ほいで、どういう風にして作るんじゃろうか?」
「まず、巻き簾(す)の上に、さっとあぶったのりを置いて、その上に炊き立てのアツアツのご飯を載せる」
「ふんふん…」
「そこに刻んだ広島菜や、かつおぶしをしょうゆであえた具を載(の)せる」
「え!? 具って、それだけなんか?」
「それだけなんじゃと。それらを巻いで、最後に巻き簾の上から両端をきゅっと閉じてできあがり」
「えらい簡単にできるもんじゃのう。それにしても、巻き簾ってそんなにしなるもんかいの?」
「巻き簾は、のりすきに使われる細い竹で編んであるんよ。ほいじゃけぇ、ふつうの巻き簾よりもしなるんじゃと」
「のりすき? ほうか、江波はのりの養殖が盛んじゃったよの」
のり‐すき【海苔漉き】
板ノリを作ること。
生ノリを細かく刻み、簀(す)の上に並べた木枠に流し込んで水気を切り、天日で乾燥させる工程をいう。
(デジタル大辞泉)
「昭和40年ごろまで、約800軒の家でのりの養殖をしよった、いうて書いてあったね」
「その作業の合間に手軽に食べれるのが江波巻きじゃった、というわけじゃの」
「両側を閉じとるけぇ、片手で持って丸かじりしても、中身の具が出てくることがないんよ」
「ほうか。巻きずしのように両端を切っとったら、具が反対側からはみ出してしまうけぇの」
「それに、どの家にもある材料で、誰でも簡単に作れるんよね」
「おにぎりじゃと思えば、いろんな具を入れてもええんじゃの」
「具はちりめんじゃこ、白菜漬け、たくあん、つくだ煮なんかでもOKなんじゃと」
「へぇ…」
「江波巻きに使うのりも、破れたり縮んだりして商品にならない傷ものののりを使うとっちゃったんよ」
「なるほどのう」
「ところで、江波でののりの養殖が始まったのはいつごろなんじゃろうか?」
「江戸時代の中ごろからじゃそうな。のりいうたら、こうの史代の『この世界の片隅に』(双葉社)にも出てきとったの」
「冬にのりを天日干しよっちゃったね」
「余談じゃが、広島の港いうたら宇品(うじな)よの。ほいじゃが、江波が広島の港になっとったかもしれんのじゃ」
「ほんま?」
「1889(明治22)年に広島県知事の千田貞暁(せんだ さだあき)が宇品港を作るまでは、江波が広島の外港(がいこう)で、大きな船は江波に着きよったんじゃ」
「へぇ。そうなんじゃ」
「あと、2月の第2日曜日には、広島市南区の江波山公園で「南の風EBAあそび」というイベントが開かれとるんじゃの」
「今年で20回目になるそうじゃね。2月の第2日曜日といえば、今年は2月12日じゃね」
↓江波巻きについては、こちら↓
「磯の香 がぶりほおばる 6.江波巻き―広島市」中国新聞 2003年2月23日
↓節分についての関連記事は、こちら↓
節分と恵方巻き
広島のセブン-イレブンが恵方巻を売り始めたのがきっかけで全国に広まったが、それは何年だった?
↓江波についての関連記事は、こちら↓
おさんぎつね 広島市中区江波
「今日は、江波巻きについて話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」
「ぼちぼち恵方巻も飽きてきたのう」
「今年の節分は、これを作ってみようと思うんじゃけど…」
「江波(えば)巻き!? 聞いたことがない食べ物じゃの」
「うちも、この記事を読むまで知らなかったんじゃけどね」
(「温かご飯 広島の味くるり 江波巻き」中国新聞 2012年1月20日)
「見たところ、両端を結んである巻きずしのように見えるんじゃがのう」
「お酢を使うとらんけぇ、巻きずしというよりはおにぎりじゃね。形が鉄砲の形に似とるけぇ、「テッポウ」とも呼ばれとるんじゃと」
「なるほどのう。ほいで、どういう風にして作るんじゃろうか?」
「まず、巻き簾(す)の上に、さっとあぶったのりを置いて、その上に炊き立てのアツアツのご飯を載せる」
「ふんふん…」
「そこに刻んだ広島菜や、かつおぶしをしょうゆであえた具を載(の)せる」
「え!? 具って、それだけなんか?」
「それだけなんじゃと。それらを巻いで、最後に巻き簾の上から両端をきゅっと閉じてできあがり」
「えらい簡単にできるもんじゃのう。それにしても、巻き簾ってそんなにしなるもんかいの?」
「巻き簾は、のりすきに使われる細い竹で編んであるんよ。ほいじゃけぇ、ふつうの巻き簾よりもしなるんじゃと」
「のりすき? ほうか、江波はのりの養殖が盛んじゃったよの」
のり‐すき【海苔漉き】
板ノリを作ること。
生ノリを細かく刻み、簀(す)の上に並べた木枠に流し込んで水気を切り、天日で乾燥させる工程をいう。
(デジタル大辞泉)
「昭和40年ごろまで、約800軒の家でのりの養殖をしよった、いうて書いてあったね」
「その作業の合間に手軽に食べれるのが江波巻きじゃった、というわけじゃの」
「両側を閉じとるけぇ、片手で持って丸かじりしても、中身の具が出てくることがないんよ」
「ほうか。巻きずしのように両端を切っとったら、具が反対側からはみ出してしまうけぇの」
「それに、どの家にもある材料で、誰でも簡単に作れるんよね」
「おにぎりじゃと思えば、いろんな具を入れてもええんじゃの」
「具はちりめんじゃこ、白菜漬け、たくあん、つくだ煮なんかでもOKなんじゃと」
「へぇ…」
「江波巻きに使うのりも、破れたり縮んだりして商品にならない傷ものののりを使うとっちゃったんよ」
「なるほどのう」
「ところで、江波でののりの養殖が始まったのはいつごろなんじゃろうか?」
「江戸時代の中ごろからじゃそうな。のりいうたら、こうの史代の『この世界の片隅に』(双葉社)にも出てきとったの」
「冬にのりを天日干しよっちゃったね」
「余談じゃが、広島の港いうたら宇品(うじな)よの。ほいじゃが、江波が広島の港になっとったかもしれんのじゃ」
「ほんま?」
「1889(明治22)年に広島県知事の千田貞暁(せんだ さだあき)が宇品港を作るまでは、江波が広島の外港(がいこう)で、大きな船は江波に着きよったんじゃ」
「へぇ。そうなんじゃ」
「あと、2月の第2日曜日には、広島市南区の江波山公園で「南の風EBAあそび」というイベントが開かれとるんじゃの」
「今年で20回目になるそうじゃね。2月の第2日曜日といえば、今年は2月12日じゃね」
↓江波巻きについては、こちら↓
「磯の香 がぶりほおばる 6.江波巻き―広島市」中国新聞 2003年2月23日
↓節分についての関連記事は、こちら↓
節分と恵方巻き
広島のセブン-イレブンが恵方巻を売り始めたのがきっかけで全国に広まったが、それは何年だった?
↓江波についての関連記事は、こちら↓
おさんぎつね 広島市中区江波
「今日は、江波巻きについて話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」