2016.6.26(日)曇り
夢枕獏氏の「神々の山嶺 上下巻」は一晩で読んでしまうほど面白かった。2011.2.8に「続・根深さんのこと」の中で紹介している。どこかでこれが映画になるという噂を聞き、また予告編だかコマーシャルフィルムを見ることがあった。一時忘れかけていた頃、丹波の地でも放映される事を知った。福知山と舞鶴の映画館で放映されるのだが、何かと忙しくしている内に終わってしまった。困ったなあと思っていたら中丹文化会館で放映されることとなった。ところが日曜日の放映のみで出かけにくい。それならプレゼントに応募して当たったら見に行って、当たらなかったら諦めようと思っていた。縁があって3名様ご招待というのに当たってしまった。というわけで本日見に行ってきたのだが、思ったより観客が少ないので驚いた。3回の放映があるのでそんなもんだよという声もあるが、山岳映画なんてのが一般受けしないのかなとも思われる。
文庫本だが分厚いぞ
観に行くに先立って、既に観た人が二人して異口同音に「いまいちだったよ」という感想だったのが気になる。小説がすこぶる面白かったので、映画がつまらないのかななどと思いながら観ていたが、映像もストーリーもすばらしい。角川映画40周年記念事業とかでしっかり現地でロケしているようで、豪快なヒマラヤの風景がすばらしい。クライミングシーンも自分自身が登っているようですこぶる緊張した。ただストーリーは小説とは違ったもののように思えたのだが、本は人に貸し出し中なので確かめようがない。
先の二人がつまらなかったという理由はすぐにわかった。クライミングのこと、エヴェレスト登攀の歴史がわかってないとこの映画いったい何が言いたいの?ということになるようだ。マロリーとアーヴィンの消息不明事件については少し説明があったが、それでも知らない人にはいったい何のことかわからないと思う。深町が再度エヴェレストに立ち向かい羽生とそしてマロリーの遺体にであうシーンはクライマックスなんだが、実はそれが南東稜であることが重要なのである。南東稜であるからこそ両者はエヴェレストの頂上に立っているということが証明されるわけである。わたしも見落とすほどの短時間であったが、サウスコルと表示された場面があった。それで南東稜を登っているのだなとわかったくらいだ。
中丹文化会館もなかなかやるぜ
国内のクライムシーンだって、滝沢第三スラブがどうといったところで一般的にはわからないことだし、岸が宙吊りになってロープを切るところも、宙吊りがどのようなものか、どうして脱出するのかなどわかっていないとあのシーンは理解ができないだろう。プル-ジック
という言葉と一部映像が出てきたが知る人ぞ知る行為である。ちなみに岸が宙吊りになった場面は、ロープを切らなければ二人とも死んでしまうという場面ではない。
とにかく小説なら細かに説明できるところが映画となると難しいので、いったい何が言いたい映画なのかわからなくなるのではないか。なにもかもわかった上で観させていただいたわたしには、すこぶる感動的な映画であった。
11月には関西フィルの「新世界より」があるのだ。
【今日のじょん】なにをにおいでるのでしょうか?
この時期梅が落ちるのよね。