晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

はなれ瞽女おりん 6/18

2016-06-18 | 文化に触れよう

2016.6.18(土)晴れ

 若州一滴文庫くるま椅子劇場で若州人形座竹人形文楽の「はなれ瞽女おりん」の上演があった。毎年6月にある行事なんだが土日の開催とて行くことはかなわなかった。こんな事では一生見られないかと店を休業してかみさんと見に行く。

 「はなれ瞽女(ごぜ)おりん」はご承知のように水上勉先生の原作なんだが、わたしはあえてこの作品を読まなかった。本で読むより竹人形で見たかったからだ。水上先生の作品はハッピーエンドで終わるものは無く、重くて暗い想いを胸に残すなんともやるせないものなのだが、この作品は少し違った終わり方の感じを受けた。それは活字で読むのではなく、劇として視覚で受け止めるからかもしれない。ラストシーンのおりんが鉄輪車に乗っている情景は、兄さんが銃殺されるという不幸のどん底にありながらも、薄幸の中でごく短期間であったけれど幸せを感じた時間を大切に抱いて、実は幸せだったのではないかと思わせるシーンなのだ。ひょっとしたら鉄輪車に乗ったまま、天に昇ったのかもしれない。周囲ですすり泣く声が聞こえる、わたしも年のせいか涙腺が弱くなっている。ライトが点灯し、会場が明るくなってようやく救われたような気がした。本で読んだらまるで違った思いになるかもしれないので読まないでおこう。

 

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