晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

上林川の岩石(3) 5/4 

2012-05-04 | 歴史・民俗

2012.5.4(金)曇、雨

 磁性も強く、数も多い岩石は斑糲岩(はんれいがん)であった。上林に産鉄の歴史があったとしたら、その大元の原料はこれに違いないという思いがあったのだが、「鉄を作るとしたらこの石から作ることは可能なんですかねえ」という問いに「この石からというより、どこからか(原料を)持ってきたり、砂鉄から作ったと考えるのが普通でしょう」という極順当な答が返ってきた。
 上林川の砂からも砂鉄はとれる、当初河から砂を取ってきて磁石で砂鉄を集めたが果たしてそれが他の地域よりも含有率が高いのか低いのか何とも解らない。多くのサンプルを集めて比較しなければならないのだ。それはやってみるべきだし、きっと上林川の砂の砂鉄含有量は高いと思う。これだけ磁性のある岩石が多いのだから。P1010621
 
斑れい岩は念道ではいくらでも見つけられるが、元は畑口川流域および老富のようだ。総てに磁性があるわけで無く、3,4割程度である。

 ここで古代の製鉄に関してわたしの稚拙な考えを紹介しておこう。古代の製鉄は稲作と同様に渡来人によってその技術が日本にもたらされた。但馬、丹後、若狭の海岸に辿り着いた民族はおそらく朝鮮半島からのものだろう。半島からの漂流物の多さ、あるいは北朝鮮からの漂流船などがよく若狭湾に辿り着くことを思えば故あることと思う。
 何世紀も先輩の半島の製鉄技術者は日本に於いてもその技術を活かそうとしただろうし、稲作を主とした農耕には製鉄の技術は絶対的に必要であっただろうし、農耕の発展と製鉄は不可分の要素であろう。日本に於いてはやがて砂鉄による製鉄として世界に誇る優秀な技術を持つに至ったが、半島の製鉄原料は岩鉄(鉄鉱石)と言われている。さすれば当初日本に辿り着いた技術者は当然鉱石を求めて山野に進出したと思われる。わたしのいわゆる峠越し文化論である。
 しかし豊な燃料はあっても、半島に存在するような鉱石を見つけることは不可能だった。そこで品質は悪いが磁鉄鉱を含む斑れい岩や安山岩などから野たたらで海綿状鉄といわれる原始的な鉄を作っていたのではないかと想像するのである。
 そのようなことが物理的に可能なのかどうか解らない。先生のおっしゃるとおり、それはかなり困難で、砂鉄からと考えるのが順当なんだろうが、その砂鉄の原料となっているのがこれ等岩石に含まれる磁鉄鉱なんだから、ありえることなんだろうと思うのである。つづく

【作業日誌 5/4】
府道の溝さらえ
なめ茸植菌

今日のじょん:不思議な凹みはもうひとつあった。それは昨日紹介のものより不鮮明で自然のものかもしれない。三碓の石との相違は凹みの数である。三碓のものは三個から九個の凹みがあり、今回のものは一個だけしかも石の端の方にあるのが相違点である。P1010602_2 P1010603

 

コメント
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