晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

鍛冶屋の母 11/9

2010-11-09 | 雨読

2010.11.9(火)曇

 何とも奇妙なタイトルである。この本ほどタイトルから興味を持った本はない。頁を開くまで、一体どんな中身なんだろうとワクワクするその時間がいい。Img_1666
「鍛冶屋の母」谷川健一著、思索社昭和54年刊、1,400円(購入価1,000円)
本書は以前に紹介した「青銅の神の足跡」の姉妹編であると著者も述べている。「青銅の神の足跡」が鍛冶神の移動、伝播について書かれたものなら、本書は中世の物語りや説話から、鍛冶神や鍛冶に携わった人びとの姿を探し出そうというものである。弥三郎婆、酒呑童子、弁慶、戸隠の鬼女などよく聞かされた話や、そういえば聞いたことがあるがどんな話か解らないなあというような説話が出てくる。このような話の中から鍛冶に関する共通項を見事に導き出しているのだが、ちょっと無理があるなあとか俄に信じられないなあと言う部分が無きにしもあらずというところだ。
 例えばこれは偶然なんだが古本屋さんの記事で書いた(2010.11.6)購入本の中に「酒呑童子の誕生」という本がある。まだ読んでないので解らないのだが、見出しなどを見る限り、酒呑童子は疫病を流行らす鬼である疱瘡神であるというような内容らしい。大江山の酒呑童子といえば私なんぞはこりゃあ金属、鉱山に関わる権利争いの物語と頭から思いがちなんだが、実は違った見方もあるものなのだ。Img_0375
 
酒呑童子の生まれた弥彦山(2006.8.27)


 説話や伝説というものはいろんな意味があるようだ。そもそも、それらが何の目的で何のために口伝として残され文章になったかということが問題となるが、本当のことは永遠に謎であろう。そんな心許ない説話や伝説を各地のものを比較検討することによって、ひとつの意味を見いだそうという谷川氏の大作だと思う。
 実は弥彦の弥三郎、伊吹の弥三郎については本書を読むまで知らなかったのだが、似たような伝説はあちこちの本で読んだような気がする。酒呑童子は弥彦、伊吹そして大江山総てに関係している。そしてそのいずれもが古代からの重要な金属生産地であることだ。弁慶や戸隠の紅葉などもその説話の中に共通する部分があり、金属に関係しているというのだ。まさかりかついだ金太郎も腕を切られた河童も金属に関係する部分がある。
 そういう眼で説話や童話を見ることは歴史や文化の探究ということよりも、なにか探偵の謎解きのような魅力が沸いてくる。例えば金属や鉱山に関連する動物は、犬、猿、雉、白鳥、百足、蛇、蟻、蜘蛛など、植物は藤、椿などである。今日読んでいる別の本に桃の話が書いてあって、桃は悪魔(鬼)払いの霊験があるとされている。そうすると、鬼退治で有名な桃太郎はなんで桃太郎なのか、お供はなんで犬と猿と雉なのか解ってこようというものだ。

【作業日誌 11/9】
ガーデンシェッド土台作り
柚子大根作製

今日のじょん:かみさんが帰ってきて妙に甘えているようだ。御飯はきれいに食べないし、散歩は催促するし、食べもしないのにおねだりしたりする。おとーと二人で暮らしているときは甘えてられないという緊張感があったのだろうか。Img_1607

甘えてんじゃ
ないの?





コメント
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