自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ツバメシジミとハギ!(3)

2016-07-31 | 昆虫

7月30日(土)。若齢幼虫が葉の表でじっとしていました。同じように葉の表で見かけたのは,これを含め3匹。


卵はあちこちに。直径はたったの0.38mmです。 


7月31日(日)。夕方見ると,卵の1つに黒い点がわずかに。中にいる幼虫が殻を開け始めたのです。いよいよ誕生するときが訪れました。


30分も経つと,かなり大きな穴が開きました。 


1時間経つと,穴はほぼ開きました。 


トリミングすると,とてもよくわかります。頭部も毛の様子も確認できます。 

 
すっぽりと穴が開きました。


ここもトリミングしてみましょう。 


休むことなく,さっさと出てきました。そのまま幼虫は殻から遠ざかって行きました。 

 
ヤマトシジミとそっくりな経過をたどりました。“生まれる”という瞬間はいつも,どの生きものでも,見る者のこころを揺さぶります。

 


ヤマトシジミの夕暮れ時

2016-07-30 | ヤマトシジミ

アゲハの庭園にて。朝早くから活発に活動していたヤマトシジつミ,夕暮れ近くになるとずいぶん動きがゆっくりとしてきました。なかには,もうねぐらをここだと決め込んで,さっさと休み始めた個体がいます。体内時計がはたらいて,「もうお休みの時間帯だよ」と誘っているのです。このルズムはいかにも地球上の生きものらしくって,合点できるところです。


類は類を呼ぶだけあって,なかまはちゃんと「俺たちはなかまなんだね」とメッセージを交換しているようで,同じ草に3頭もの個体が集まっていました。群れる経過が他のチョウと同じようにきちんと整っているのがおもしろいところ。でも,ヒトにはその理屈は想像するほかありません。

休んでいると,警戒心はまったくないようです。指を触れても動きません。下写真では,親指と小指の辺りにいます。


「それなら」と思い立って,きっちり記録写真を撮っておきました。

真正面から見たらおもしろいだろうと思い,撮りました。目が感覚器官としてはたいへん大きな役割を担っている様子が窺えます。触角もりっぱです。りっぱに見えるということは,生きていくうえでそれだけ大事なはたらきを為しているということです。


別の個体を,もっと近寄って写しました。視野角はほぼ360度。

 

トリミングしてみると……。個眼も確認できます。


小さなからだを占める,大きな感覚機能。チョウの姿とくらし方とがつながってきます。

ヤマトシジミたち,あとは,静かに夜を迎えるだけ。おつかれさま。

 


ツバメシジミとハギ!(2)

2016-07-30 | 昆虫

7月29日(金)。朝改めて卵と幼虫を確認しました。

未孵化卵がまだあちこちに残っています。もしかすると,誕生の瞬間を撮ることができるかも,です。


幼虫はほとんどが蕾にいます。花弁を食べているのです。ハギの花にすれば迷惑な話です。だって,蕊も食べ尽くすのですから。 

 
卵の脇でひっそり隠れるような格好でじっとしている個体も。萼とそっくりな色!


保護者のありがちゃんと訪れて,蜜をごちそうになっています。 


終齢幼虫でしょうか,かなり大きくなってきました。アリがしっかり守っています。当の本人(本虫)は花弁をむしゃむしゃ。 

 
贅沢な食べ方をしたので,花弁が落下していきました。すると,方向を変えて……。

 
すぐ傍の花に移動。


もう,花弁を食べ始めました。食欲旺盛です。 


シロツメクサにいた個体は花を食べていました。この個体たちも同じように花弁を食べています。マメ科の味がきちんと刷り込まれているようです。単純な事実でありながら,これも自然の驚異です。

 


ヤマトシジミのカップル

2016-07-29 | ヤマトシジミ

人がいてもいなくても,ヤマトシジミはのびのび飛び回っています。小刻みに飛びながら,なかまに近づいたり,なかまともつれあったり。産卵することも度々。そうした動きはなんとも愛らしく見えます。

「ははーん,産付場所を探しているな」と思える動作は,低空飛翔でカタバミの周辺をうろうろする動き。静かにその瞬間を待っていると,ちゃんと期待に応えてくれます。

畑仕事をしていると,雑草でカップルがいました。「しめ,しめ。これはすてきな光景だ」と思いつつ,腰からコンデジを取り出して狙いを定めます。いくぶん黒っぽく見える右がメス,左がオス。


じっとしているかと思えば,動くこともあります。このコマを撮り終わった瞬間,パッと離れました。 


夏の暑い今も,ヤマトシジミには恋の季節。幼虫の食草カタバミには卵があちこち付いています。これを雑草として引かなくちゃならないのはほんとうにつらいのですが,しかたありません。 

 


ツバメシジミとハギ!(1)

2016-07-28 | 昆虫

7月28日(木)。

庭のハギを見ていると,なにかの虫がつづった葉が目に入りました。ルーペで中を覗いても主はなし。すでに出て行ってしまったのでしょう。そんなことを思ってさらに食痕のある葉を見ていると,突然目に飛び込んできたのがシジミチョウの若齢幼虫。体長1.2mmで,褐色がかった体色をしています。


トリミングしてみます。


マメ科のハギにいるということは,たぶんツバメシジミと思われます。わたしがこの木で見たのは初めてです。

夕方見ると,すこしだけ移動して若芽を食べているところでした。脇をダニのようなものが歩いて行きました。


ルーペで見ていると,卵がいくつか見つかりました。小さな若芽に直接付いたもの,その近くに付いたものがあちこちにありました。さらに若葉にも。みんな,柔らかな部分ばかり。すでに孵化したあとの殻も,まだ孵化に至っていない卵もありました。


おもしろいことに,すこし成長した個体も見つかりました。アリがその場所を教えてくれました。


思いがけない,ツバメシジミの幼虫との再々会,そして卵との初対面となりました。これなら,もう一度成長を追ってみる価値がありそうです。なにしろ卵段階から追えるのですから。「よし,やってみるか」と決めました。今日の記事がその1回目です。

 


メドハギと,キタキチョウの卵と(1)

2016-07-27 | 昆虫

7月19日(火)。火打石を拾いに河川敷に行きました。石はどっさり採取できました。

ついでに草原を観察。暑い最中,あちこちからカワラバッタが勢いよく飛び出してきました。突然現れたわたしにびっくりしたようです。


葉に小さなショウリョウバッタの死体がありました。クモにでもやられたのでしょうか。


モンキチョウも吸蜜活動中でした。


近くをキタキチョウが2頭もつれ合うようにして舞っていました。「そうか,産卵したかもなあ」と思い,すぐ脇に生えているメドハギを確かめました。

一株目はなにもなし。

二株目。あったー! 純白の細長い卵です。孵化が見られなくてがっかりした,あの卵がよみがえってきました。


先がぐっと細く絞り込まれた姿。まちがいなくキタキチョウの卵です。 


その株で,もう1つ卵を見つけました。もうないか,別の株でも探しました。なんと次々に見つかりました。おもしろいように! なかには,一株に2個も産み付けた例がありました。 


もちろん持ち帰って観察することにしました。これで羽化場面が観察できるかもしれません。わくわく,ですね。ハッピーな一日になりました。  

 


ツバメシジミの幼虫と再会!(5)

2016-07-26 | 昆虫

7月16日(土)。朝。葉裏にある2個体を見ると,頭部が黒っぽくなりかけていました。順調に変化している模様です。

夕方見ると,そのうちの1個体が落下。


7月17日(日)。朝。葉に付いたままの個体は,殻を通して中がはっきり確認できました。夜に降った雨で覆われたまま。いつ羽化するかわから状態に見えました。

 
上写真から30分後に見ると,羽化して,翅が拡がっていました。わずか30分以内に大変化が起こっていたのです。

 
脇には,殻が残されていました。

 
他の個体のその後について。落下した個体も無事に羽化しました。プラスチック容器に入れた2個体は,結局羽化に至りませんでした。最後まで無事を見届けることができたのは,5個体中2個体でした。こころに残る観察になったことに感謝。

 


地域ミュージアムで考える(18)

2016-07-25 | 随想

7月24日(日)。『青少年のための科学の祭典』の地域大会が行われ,わたしはミュージアムからのブース出展者として出かけました。ブース名は『昔の火起こしにチャレンジ!』というもので,発火法はキリモミ式,火打ち式の2つです。


わたし一人では店の守はできないので,サポートメンバーに協力を依頼していました。結果,来てもらったのは7人。小学生4人,おとな3人。皆さん,これまで火起こしで協力いただいた方ばかりで,強力な助っ人です。わたしのいちばんの願いは,子どもメンバーを含めてボランティア一人ひとりに活動を楽しんでいただくという点です。余暇を人とふれ合うひとときに積極的に活用していただく,そうした場をミュージアムとして提供する,そんなことを思い描いています。

実際わたしは見守りだけで,店当番,つまり主役はサポートメンバーでした。たのしそうな,それでいて懸命な動きには頭が下がりました。ブースはたくさんありましたが,小学生が活躍するブースはほかに見当たりませんでした。早期からの社会参加という意味でも,たいへん価値ある活動といえるでしょう。今日の活動をとおして,理想的な場面が生まれたのではないかと感じています。


お客さんは途切れずに続きました。小さな子からおとなまで,たくさんたくさんの人でした。


来店者の間に,驚きがいっぱい生まれました。いくつもの印象的な場面がありました。お客さんなのに,「気に入ったから」といって臨時ボランティアをする子まで出て来ました。他のブースに出展している高校生がやって来て,キリモミ式はおもしろそうだからというわけで挑戦。結果,ダメ。友人が,これまた「やってみる!」といってやって,結局ダメ。むずかしさに悲鳴を上げていました。ファミリー力で見事にやり遂げた例もありました。

やはり火の体験というのは,危険との隣り合わせですが,こころを引き付けるようです。

ミュージアムは知的好奇心を誘い出し,くすぐる仕掛け人にならなくてはなりません。内容はもちろんなのですが,市民ボランティアが参加している姿こそが最大の宝。元気PRにもなります。サポートメンバーにこころから感謝。 

 


地域ミュージアムで考える(17)

2016-07-24 | 随想

7月23日(土)という日は,ミュージアムを創造するという点でわたしにとって忘れることのできない日になりました。

5月に市立図書館ボランティアグループの皆さんと『プラネタおはなし会』実施に向けた話をし,以来,細かな詰めをして,土曜日ごとにリハーサルを重ねてきました。本番第1回目を夏休み最初の土曜日と設定して,この日を迎えたのでした。

もともと入館に際しては料金が生じる有料施設なので,知人に広く声掛けをすることは控えました。その代わり,地域の皆さんに周知するのにローカル紙の地域版に記事として掲載してもらいました。その効果のほどに何がしか期待するほかは,この日の一般入館者にご覧いただくかたちをとりました。これから息長く取り組むには,まずは手始めからという基本に立つ必要があるので,まずはこれでよいと判断したのです。


午後1時30分。20名ほどの鑑賞者を前に,まずわたしから1分程度のあいさつをさせていただきました。

内容は,市民参加でより魅力的なミュージアムにつくり替えようとしていること,プラネタリウムについても朗読ボランティアグループの皆さんの協力を得て新しい工夫を試みたいこと,今日を第1回として回を重ねたいこと,来ていただくたびにどこかが変わっているようなチャレンジを続けたいこと,そんな話をして変わりゆくミュージアムを応援していただきますようにとことばを結んだのでした。

そしてそのまま,上映に入りました。ドーム天井に絵本『月へ ~アポロ11号のはるかな旅~』(偕成社)が次々に映し出され,投影されている星空と見事に重なって浮かび上がりました。それをくっきりとした声でボランティアのFさんが読んでいかれ,鑑賞者はしばし宙の話に引き込まれていったのでした。

おはなし会は,続いて午後3時30分にも行いました。それぞれに一般来館者が見入る,聴き入る,というスタイルで実施しました。第1回としてはまずまずだったように感じています。

これから,大樹が養分を吸い上げながら根を張るようにゆっくり,それでいて気を抜かずに確かな手を打とうと思います。ミュージアムづくりはおもしろい! 

 


バッタのなかま,幼虫2種

2016-07-24 | 昆虫

庭の植木鉢に生えた雑草でバッタの幼虫を2種見かけました。

1つはイボバッタの幼虫 。体長は10mmといったところです。小さいのにからだが異様にゴツゴツしているので,そのすごさに驚いて写真に収めました。からだはいたって丈夫そうです。小さいながらに堂々としたスタイル。後脚の跳躍力は強そう。

 


外骨格を見ていると,いかにも武装をしているってふうです。 

 

 
鎧と毛で覆われています。翅はまだ小さい,小さい。

 


もう1つはイナゴのなかま。コバネイナゴかツチイナゴでしょうか。エノコログサの葉にとまっていました。食痕はこの幼虫がつくったものでしょう。

 

 
透き通るようなからだです。そうでありながら,草の色をしているのはバッタらしさとでもいえるでしょう。頭,胸,腹がくっきり感じとれます。行動司令塔としての頭部はさすがに立派。運動器官の集合体である胸部は筋肉もりもりなのでしょう。

 

 
元気に成虫になれますように……。