自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その227)

2013-05-31 | ジャコウアゲハ

外敵に襲われたり,天候に災いされたり,また人為的な影響を受けたりしていのちを落とす昆虫はたくさん。自然環境における自然なかたちでの影響なら,もちろんあるがままなのですから,問題があろうはずがありません。成るように成るし,成るようにしかならないのですから。

葉からぶら下がった一つの幼虫を見たとき,これも運命なんだろうなと思いました。小さいので,よほど注意して見ないと目に付きません。小さないのちも,ひとつのいのち。

もしかすると,クモの犠牲になったのかもしれません。 

このような風景を,わたしは何度か見かけました。

幼虫にとっては災難にはちがいありません。観察者は感情を入れず,事実を事実として見るほかありません。

 


クロアゲハの成長(2)

2013-05-31 | クロアゲハ

5月29日(水)午後5時。梅雨に入り,一日雨。産卵後ちょうど2日(48時間)経過。

卵の色がすこしずつ変わってきました。全体が淡く褐色がかっていて,それより濃い褐色の紋様が浮かんできました。キアゲハの場合とそっくりです。順調に推移していることがうかがえます。

 

5月31日(金)午後5時。産卵後ちょうど4日が経過。

木に付いた卵を撮るのは苦労です。雨や風の影響で,いつでも楽に撮れるわけではありません。それで,卵の付いた枝を切り取って,コップに挿しました。これで思う存分観察できます。まずは,その第一号写真です。

 

拡大してみましょう。二日前と比べて,目立った違いはなさそうです。中では孵化に向けた準備が進んでいることでしょう。 

 

 

 


ジャコウアゲハ観察記(その226)

2013-05-30 | ジャコウアゲハ

5月22日(水)。

幼虫がわんさか生まれています。わあっと押し寄せてきた感じです。もちろん,予想済みです。たとえば,下写真は『その218』の写真中のB株です。葉が付いているときは21個の卵で埋め尽くされていました。今は無残にも葉はなし。21の幼虫が生まれたはずですが,たった3個体の姿があるのみ。

さて,その差である18個体の消息はどうなったのでしょうか。

こんな調子なので,棲息地に移す作業を急がなくてはなりません。 

午後,幼虫を採集して本来の集落内棲息地に持っていきました。そこも悲惨な状態です。刈り取った草を燃やした跡が! それでも,わずかに生えてきているウマノスズクサを探して,そこに置かないわけにはいきません。

次の草刈り時期までにそれなりに食草が伸びるでしょうから,個体が自然界で生き延びる期待は多少なりとも持てます。それに期待するほかありません。

この日,棲息地でかろうじて見つけたウマノスズクサで卵,あるいは孵化後の幼虫を認めた葉はたった一枚でした。天敵“ヒト”の存在がクローズアップされてきます。 

 


ナナホシテントウの蛹(2)

2013-05-29 | 昆虫

一週間経っても,十日が経っても,一向に羽化する気配が感じられません。それでもおかしいな,おかしいなと思いながら待ちました。

二週間後,意外な光景に出合いました。蛹の背に,黒い丸いものが見えました。「おやっ? なにかな」。目を凝らして確認すると,どうも穴らしいのです。ルーペで見ると,穴が一つぽっかり開いていました。真ん丸い穴!

「あれっ!? 寄生バチでも出てきたのかな?」。そう思って,もっとよく見ると,なんとごく小さなハチが背に取り付いていました。「ははーん,これが羽化して出てきたんだ。やっぱり寄生バチだ」。直感です。

しばらく見ていると,背を移動していました。とてもゆっくりした動きで,そこから去ろうとする気配はありませんでした。たぶん,羽化後間もないのでしょう。

さらに一週間後,またまた驚くべき事実と遭遇。もう一方の蛹からも同じように寄生バチが出てきたのです。背中に穴が開いているのも同じ。ハチが背中を移動している姿もそっくり。同じハチの仲間です。

蛹は災難に遭っていたわけです。道理で羽化しないはず。代わりにハチが出現! 名は同定できません。テントウムシの蛹にも天敵がいました。幼虫時に産み付けられたものでしょう。身近な自然界には,わたしにとって未知な事実がいっぱい詰まっています。 

 


キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その4~)

2013-05-29 | キアゲハ

キアゲハの幼虫は,食べるときは貪欲にバリバリ食べます。4齢幼虫ぐらいになると,からだが大きいので大きな顎を使って,ぐいぐい平らげていきます。見ていると,それはもう見事な感じです。 

食べる分,糞もしっかりします。排泄される瞬間を見ようと待ち受けるのは相当なエネルギーを要するとてっきり思っていました。ところが,チャンスに恵まれれば簡単に巡り合えることがわかりました。 

肛門の辺りがブルブルッと落ち着かない様子

と思ったら,尾脚が葉からすこし浮き上がりました。そして肛門が開いて,瑞々しい糞が覗きました。 

見る見るうちに,全体が現れました。 

肛門の筋肉が,糞を排泄します。 

小さくても,動的な場面はやはりこころを動かされます。 

 


ナナホシテントウの蛹(1)

2013-05-28 | 昆虫

思ったとおり,前蛹は蛹になっていました。腹部の先には,脱いだ皮が押し下げられ,縮まっていたのです。 

二個体とも同じ変化をたどっています。

ということで,ここまでは順調に推移。

調べると,一週間ほどすれば成虫が誕生するということです。うまくいけば,羽化場面が見られるかもしれません。期待が膨らみます。

 


ジャコウアゲハ観察記(その225)

2013-05-28 | ジャコウアゲハ

雨が降り続いた翌日,ウマノスズクサに付いた卵・幼虫の異変を観察していると,どうやら災難に遭ったらしい例に二つ出合いました。

その一つ。生まれて間もない幼虫が,溺れた感じで葉の表に横たわっていました。頭部が水から出ているものの,からだのほとんどが水没しています。これでは呼吸できないでしょう。

水玉は,表面張力によって丸まっています。それだけ水分子相互の結び付きが強いということです。その力に打ち勝って,脱するだけの力がまだ備わっていなかったようです。もがいたような格好で時間が止まっています。かわいそうに。

二つ目の例。葉の表に産み付けられた卵に水玉が付いていました。雨粒は表面を叩き付けて落ちてきます。やはり,表側に卵を産むのは危険なのです。

100個の卵があれば,何個かは孵化しないでしょうし,孵化しても,直後のいのちはひ弱です。そのために危険に晒されればいのちを失うこともあるでしょう。

成虫になるまでには,いろんな災難が待ち受けています。100個のうちの2個が成虫になって,無事に次の産卵に携わることができれば,棲息数の上では現状維持になります。いのちの成長にとっては,なんともたいへんな道のりです。

 


クロアゲハの成長(1)

2013-05-27 | クロアゲハ

5月27日(月)午後5時。庭に植えているキンカンの木に,クロアゲハが訪れているのを目撃。しきりに木を気にしている様子です。

しばらく見ていると,周りを飛びながら,産卵場所を探しているようです。フワフワと辺りを飛び,風に吹かれては遠のいて,そしてまた近寄って,そんなふうなのです。「この分だと,きっと産卵するだろう」と予感できました。

惜しいことにポケットにはコンデジがありません。それで飛ぶ姿を目に焼き付けて,もし葉にでもとまったらそこをきちんと確認しようと思いました。

と,そのとき,一枚の葉に降り,その瞬間卵を産む格好をしました。腹をギュッと曲げ,葉の裏側に回したのです。終わると,あの執着心はどこに行ったのかと思うほどあっさりと向こうに消えて行きました。

あと,葉の裏を確認しました。純白の卵が一個,葉先に付いていました。直径1mm! 「ヤッター!」。そんな気持ちが湧いてきました。ここからいのちの誕生に向けた観察が始まります。

卵は白くって,真ん丸いのですが,意外や意外,結構表面はざらざらした感じです。「そうなのか」と感じ入りました。お腹から出たばかりで,粘液でも付着しているのでしょうか。

この中に,いのちが宿っています。さて,いつ孵化するか,です。たぶん一週間後辺りでしょう。それまでに色の変化が見られるはず。たのしみがまた一つ増えました。

 


ジャコウアゲハ観察記(その224)

2013-05-27 | ジャコウアゲハ

出勤前の慌しい時間帯のこと。偶然,葉からぶら下がっている幼虫を見かけました。生まれてから日が経っていません。体長はほんの5mmほど。宙ぶらりんになって,クネクネ曲がっています。風が吹いて,揺れています。今にも落ちそうなのです。

からだを支えているのは命綱。綱役の絹糸は細すぎて,わたしの肉眼では見えません。しかし,ぶら下がる糸があるから,落下せずにこの位置にいることができる筈,と理解できます。

わたしは,これまでに何度かこういう格好になった幼虫を見ました。自然界でも見ました。それらはそれぞれもっと大きな幼虫期にある個体でした。今回は一齢幼虫なので,印象がまた違っていました。「こんな幼虫もちゃんと糸を出して,いのちを守っているのか」と感慨のようなものを感じたのです。

それで,翌日試しに家の中に植木鉢を持ち込んで,意図的に同じ状況をつくりだしてみました。爪楊枝の先で軽く押し下げるだけでよいのです。すると,すぐに葉から2,3cm離れます。何度繰り返しても,うまくいきます。一齢幼虫のときから,いざという場合に備えて絹糸をちゃんと出しているのでしょう。

ぶら下がった幼虫は,時間はかかりますが,クネクネしながら元にちゃんと戻っていきます。そう簡単に息が絶えるなんてことはないわけです。

どうやら,糸を肢で抱えているように見えます。もじゃもじゃっとしている塊りです。これも,授かった知恵なのでしょう。

自然の中で生きようと思えば,外敵だけでなく気象条件に災いされることもあるでしょう。小さなときは,吹けば飛ぶような存在です。一瞬の風や,たたきつける雨粒に,飛ばされないとも限りません。そうした災難を最小にとどめるためのしくみが,絹糸です。あっぱれです。

 


ナナホシテントウの幼虫(2)

2013-05-26 | 昆虫

幼虫の変化が見たくて,葉ごと持ち帰ってその葉を水入りのコップに立てかけておきました。採集した個体は二つ。数日して,共に変化が見えてきました。幼虫が静止状態になり,やがてからだを大きく湾曲させたのです。

これは明らかに前蛹状態を迎えたことを示しています。肢をグッと後ろ方向に向け,特異なポーズをとっています。 

同じ時期に,二つの幼虫に変化の兆候が現れました。

間もなく,殻を脱いで蛹になるでしょう。大変化の節目です。その瞬間を見届けることができればいいのですが,昼間の出来事ならそれはまず叶わないでしょう。惜しい,惜しい。