大晦日。今日も一日,掃除やら庭の手入れやら。それに畑にも行って,大忙し。
畑でふと鳥獣害防止用のネットを見ると,なんとクビキリギスがとまっていました。頭は紡錘型で,先近くに触覚と複眼が付いています。口器はオレンジ色。夏道端を歩いていると,「ジィー!」というにぎやかな鳴き声が聞こえてきます。これが,この声の主クビキリギス。
寒いので,動きは何とも鈍い限り。このクビキリギス,成虫で冬を越します。
これまでわたしは,厳寒期に何度かクビキリギスを見かけました。中には褐色をした個体もいました。今日見たのは緑色です。 褐色型になるか,緑色型になるか,それは終齢幼虫期に過ごした環境の湿度に左右されるそうです。湿度が低ければ褐色に,高ければ緑色になるとか。草の多い環境だと当然湿度が高いわけで,結果緑色になるわけです。
写真を撮っていると,頭にクモが現れました。クモには正体がちゃんとわかっているようです。
それはともかくとして,氷点下になる野外でちゃんと生き残るというのはすごいとしか言いようがありません。この変温動物に,とくべつなしくみが備わっているのでしょう。
生態の上で,成虫のまま越冬することを選択したの背景にはきっと意味があるはず。冬季にこんな大き目のからだで過ごすのは容易ではありません。厳寒期は生存にとってたいへん厳しいでしょう。中にはいのち絶える個体もあると思われます。
しかし,春先になって他の昆虫に先駆けて活動を始めることができます。それに対して,地中で卵の越冬した種は幼虫から日数をかけて成長しなくてはなりません。
クビキリギスはその点,早々と活動を始め,さっさと産卵をします。産卵すれば,暖かな季節なので,孵化もその後の成長も早くなります。調べてみると,この種は一化性らしいのです。春から初夏にかけて産卵し,それが孵化して成長して成虫になり,そのまま冬眠するとか。
さらにおもしろいことに,産卵を終えた個体の相当数が二度目の冬を越すといいます。つまり,最長で2年も生き続けるのです。これは身近な自然に隠された驚異です。
年末に自然のいのちに出合い,すてきな締めくくりの日になりました。