自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

スイカ紙!

2015-07-31 | 野草紙

草はなんでも紙になります。からだを構成する植物繊維がある限り,それを上手に取り出しさえすれば紙にできるのです。取り出した繊維をからめて乾かしさえすればよいのですから。

そうはいうものの,繊維といっても草によって特性が様々です。直立形,匍匐形,蔓形,……とからだのかたちが多様ですから,植物の生活形に沿って繊維の特性を考慮しなくてはなりません。一概に「なんでも紙になる」といっても,繊維の強度や長さに違いがあるため,実際には扱う植物によって留意する点が異なってきます。

さて,スイカ紙の話題を取り上げましょう。

勤務している施設で,野草紙を作る試みをすこしだけしています。その一環で,親子二組が夏休みの自由研究でスイカ紙を作りたいという話になりました。スイカを材料にして紙を作るのですが,スイカの茎,すなわち蔓なら簡単です。しかし,この場合のスイカ紙は実の外皮付近が材料なのです。中身を食べ,食べたあと捨てる部分です。

そんなところに繊維があるのかと問われると,自信をもって答えることはできません。繊維らしい繊維は見当たりません。それでも,繊維もどきの成分なら素人のわたしにだって抽出できます。その“もどき”のくわしい正体はわからないのですが,要するにそれから紙が作れるのです。ここでは,その“もどき”を植物繊維と呼んでおきます。

できる紙は,パラフィン紙のような透明感のあるものです。とてもふしぎな感じが漂う紙です。

これまで何人かの方にスイカ紙作りの手ほどきをしてきましたが,皆さんには好評でした。「すてきな紙ができました!」と,感想をいただきました。

今回のスイカ紙作りは,親子が家庭でチャレンジするという前提で,あらかじめわたしが漉き枠(メッシュ付き。ベニア板でも可)でスイカ紙を乾かしておき,それを見本紙としてお見せするという筋書に沿ったものです。

以下手順を再現しておきますので,よろしければ興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。紙の大きさは葉書サイズと考えてください。ではどうぞ。

① 材料を洗ってから,表皮をむいて捨てる。

  量はスイカ普通サイズ1個分使用。むく部分の厚みは自由。緑のすじが残っていれば,紙にそれが漉き込まれます。「これがあのすじだ!」とわかります。


② 適当に小さく切って,煮る。

  炭酸水素ナトリウム(重曹)を大さじ3杯ぐらい入れる。はじめに小さな片にしておくほうが早く処理できる。煮熟時間は30分程度。重曹の入れ過ぎ,煮過ぎは,繊維を弱くしたり痛めたりする原因になる。


③ 手揉みしてドロドロ状態にする。

  ふるいのなかで手揉みする。ミキサーを使用する必要はない。


④ 材料を水洗いする

  とにかくきれいにする。重曹をすべて洗い流す気持ちで。

⑤ 水で溶いて漉く

  取り出した植物繊維(紙料)を水に溶いて,漉き枠(あるいはベニア板)に流し込む。漉き終わったときの湿紙の厚みは5mm程度。


⑥ 水切りをする

  木枠を外して水切りをする。湿紙を斜めに立てかけておいて,水が流れ落ちるようにする。相当量が流れたら,乾燥板を180度回転させ,反対から流れ落ちるようにする。これは湿紙全体の湿り気が均一になるようにするためである。


⑦ 乾燥する

  はじめは直射日光に当てて一気に乾かし,乾きが進むと風通しのよい日陰に置く。乾燥とは水分が減少することであり,減少とともに紙本体が収縮することを意味する。激しい乾燥は本体を一気に著しく収縮させるので,ひび割れたり剥がれたりする原因になる。今の時期なら2日もあれば乾燥できる。

 


⑧ はがす

  カッターナイフを使って,周辺から慎重にはがしていく。ここで破れたら,これまでの苦労が水の泡。もとの赤や緑があちこちに残る独特の風合いが広がった紙ができあがる。手揉みの工程でミキサーを使っていたら,完全な混色になる。

このように,2日で紙が完成します。見本紙を見て,親子できっと驚かれるでしょう。「ほんとうに,これがスイカ紙?」と,仰天されるのではないでしょうか。 

 


夏の『虫の目写真』あれこれ(2)

2015-07-30 | 随想

公園で被写体を探しました。セミはほとんどが高いところで鳴いていました。低いところで見かけても,わたしを敏感に感じてか,逃げていきました。

そんななか,例外的にわたしの目の高さ辺りにニイニイゼミがいるのを発見。幹直径が20cmぐらいのコブシでしたが,虫の目レンズの魔術にかかると,たいそう太っちょに見えます。セミはまったく逃げる気配がありませんでした。わたしに気づいていなかったのでしょうか。


メタセコイヤが林立しています。空を雲が覆っていると,辺りには薄暗い雰囲気が漂います。根元にわずかな野草が生えていました。その葉にアブラゼミの殻が。フラッシュを使って撮影しました。斜面なのでファインダーを覗くことができません。それで,レンズ先を見ながら,見当をつけてシャッターを押した作品です。


通路脇の葉にツマグロヒョウモンの幼虫と蛹が付いていました。被写体の奥行を出したくて,葉の向きを考えながら構図を決めました。7月28日付け記事中の写真と合わせてご覧いただきますと,“虫の目ならでは”がご理解いただけるのではと思います。


すぐ近くで,蛹が一つ,キアシナガバチに襲われているところでした。道脇でこういう風景が観察できるとは! 被写体が小さいので,おもしろみに欠ける作品なのですが,生態を知る資料として価値がありそうです。


公園で撮った写真の一部は,園内にある科学館で順次展示することになります。

 


夏の『虫の目写真』あれこれ(1)

2015-07-29 | 随想

夏は草木が茂る分,昆虫たちが躍動します。躍動するので,いろんなダイナミックな姿が観察できます。それを虫の目写真でとらえるのはたいそうおもしろいことです。

夏が近づくにつれて,「虫の目写真が撮れるゾ!」と気持ちが弾んでいました。その夏が本格的に来て,「さあ,いよいよだな」と高ぶる気持ちでいます。

先日,第一弾としてセミを撮ろうと思い,神社と公園に出かけました。ともに蝉しぐれが降り注ぎ,好被写体にも出合えました。田舎のセミは,どうも警戒心が強いようで,人が近づく気配を感じるとサッと退散します。それで,相当注意深く,抜き足差し足という感じで被写体に近づいていかなくてはなりません。おまけに,高いところにとまって鳴くのがふつうなので,接写写真を撮るにはさらにまた苦労がいるというわけです。

ときには,先にピント合わせをしておいて,ファインダーを覗くことなく,両腕を伸ばしてカメラ本体をグッと前方に突き出すようにしながら,見当をつけて撮影することがあります。地面から低いところに被写体がある場合は別なのですが,2mぐらい高さがあると,もう偶然の出来に任せるほかありません。

じつのところ,虫の目レンズは胴が長くて先が魚眼レンズになっているため,被写体近くに硬いものがある場合はファインダーを覗きながらピント合わせをするわけにはいきません。レンズと被写体との距離が1cm程度なので,その硬いものがレンズに触れる恐れがあります。それで慎重さが必要になります。

神社では,たまたま社務所に脚立が置かれていたのでそれを拝借できました。蝉は木にとまって鳴いています。それも,相当の高さで。木肌がレンズに接触しないように,目測で距離を確かめながらカメラを前方に突き出して撮るのですから,マア,たいへんといえばたいへんです。

ニイニイゼミと鳥居を組み合わせた写真です。セミがいるのは桜の老木。ごつごつした木肌の風格が伝わるでしょうか。セミは保護色をうまく使って生きています。翅の表面を見ると,無数の微細毛が見えます。これなら水滴が弾けるはず。

 


藤棚の下から伸びた桜の小木にアブラゼミがとまって鳴いていました。鉄骨にレンズが触れないように,鳥居を入れて遠近感が出せるようにと思い,レンズとセミの距離を目で確認しながらシャッターを押しました。鉄製のパイプが曲線を描いているのは,このレンズゆえの効果です。葉陰で暗いためフラッシュを使用しています。

 


接写と遠近の世界を思いがけない効果で演出するのが虫の目レンズです。じっと見ていると,物語が流れ出すような気持ちがしてきます。

この夏は虫の目レンズです。 

 


ツマグロヒョウモンの蛹と天敵

2015-07-28 | ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンは今,終齢幼虫だったり蛹だったり,はたまた成虫だったりします。春の頃と比べると,生育ぶりにズレがかなり出てきた感じがします。

さて,科学館のある公園を訪れました。虫の目写真をテーマにして,夏の昆虫写真を撮るためです。セミを撮ったあと,ツマグロヒョウモンがいるいつもの場所に行ってみました。しかし,一匹も見つけることができませんでした。

やむなく,すぐ脇の散歩道を歩いて別の場所に移動しているときでした。棲息地とは反対側の草むらに点々と幼虫・蛹の姿があるのに目がとぶりまったのです。ほんとうにたくさんあるようなのです。これにはすっかりびっくり。ざっと数えただけで10個体はありました。食草のスミレが群生している辺りでは一匹も見つからなかったのに,です。

一枚の葉に幼虫と蛹が付いたものも。なんともふしぎな光景。


なかに,蛹が妙に変形している個体がありました。よく見ると,何者かに襲われた感じです。いったい何者なのだろうか,気になりました。 

 
ところが,写真を撮っている途中,思いがけない場面を目撃することになったのです。別の蛹が一つ,外敵に襲われていたのです。外敵はキアシナガバチでした。


垂蛹に取り付いて,懸命にそれを葉から離そうとしていました。やがて蛹の尾端と草の接合部が切れ,ハチは蛹を口にくわえて移動させようとしました。そうしながら,ハチは肉団子をつくっているように見えました。 


ハチの行動を見ていると,先の蛹は,どうやらこのキアシナガバチのしわざと見ていいでしょう。

わたしがツマグロヒョウモンの蛹とハチを,こうした「食べる」「食べられる」関係で目撃したのは初めてです。 ハチの攻撃力は強力ですが,今回の例は静止した蛹を一方的に攻撃するのですから,ひとたまりもありません。ハチはここを餌場と心得て,繰り返しツマグロヒョウモンを襲うのではないでしょうか。

自然の摂理は容赦なしです。 

 


青少年のための科学の祭典へ出展

2015-07-27 | 日記

7月26日(日)。快晴。『青少年のための科学の祭典』で隣市の会場へ。ブース名は『火打ち石を使って火を起こそう』。

ブースの目玉は子どもボランティアが応対にあたるという点にあります。その子どもボランティアは小学校1年,3年,4年,6年で,みんなで6人。うち5人は探検隊のメンバー,残りの1人は昨年に続いて協力してくれた6年生。おもしろいことに,6人の居住地は3市町にまたがり,学校は3校。ほかにお母さんボランティアが1人。

わたしが子どもボランティア活動に期待するのは,子どもがすこしでも価値ある社会経験を経ることで,対人関係調整能力,つまり社会性を鍛え,自己判断力とか自主性とかといった資質を伸ばしてほしいという点にあります。学校ではできない取組をとおして何がしかのプラス経験を蓄積して,人や社会とのつながり方を学ぶ,これが地域で子どもの育ちを支えるおとなの役割だと思うのです。

開店前の準備,練習。1年生でも,道具の使い方にずいぶん慣れてきているのでびっくり。それに続いて打ち合わせ,開会式への参加。それが終わって,午前10時,いよいよ店開きです。

お客さんは途切れずありました。初めて体験する子は最初緊張気味でしたが,すこしずつ慣れてきました。


余計な感想を書く必要はないでしょう。わたしはあくまでコーディネート役で,お客さんへの対応は子ども自身の役割。「お客さんが来られましたよ」と子どもに伝えると,子どもはしっかり動いていきます。お客さんの脇で丁寧に説明する姿,手を添えてわかりやすく解説する姿,それぞれ印象的でした。


おもしろいことに,すっかりはまる子が出てきて,店から離れようとしない風景がありました。保護者の説明から,気に入っている様子が窺えてうれしくなりました。火が起こるまで感心するほど粘り強く取り組む子もありました。


おとなが何人も関心を示して挑まれました。これもすてきな場面です。「石はどこに行ったら採集できるの?」「鉄はなにを使っているの?」「炭はどうやって作るの?」なんていう質問があって,「わたしもやってみます」とおっしゃったのにはびっくり。こんな質問が,子どもにもなされます。子どもは,自分の経験を踏まえてきちんと説明していました。


閉店の午後4時がやって来ました。「これで店じまいにします」と伝えると,子らは片づけ始めました。「あれをして」「これをして」と指示されながら動くのでなく,自分で判断して動いたのです。これは立派だと,わたしは感じました。期待している姿なので,締めくくりにしっかり褒めておきました。

みんなが一言ずつ感想を出し合った後,記念撮影。こうして無事故で一日の活動を終えることができました。子どもたちの成長が見えました。それを確認できたおとなの喜びがありました。

 


わくわく探検隊『太陽と友だち作戦①』

2015-07-26 | 日記

7月25日(土)。快晴。

今日の探検隊活動に,二組の親子を含めて10人が参加。内容は『太陽と友だち作戦』と名づけた活動の第一弾。水レンズをつくって,実験をしようというもの。

活動が始まる前に,子らに「探検活動は気にいっているか」「もしそうなら,なにが気に入っているのか」と尋ねました。とても積極的に発言してくれたのでしたが,その声を集約するとこうなります。「自然となかよくなれる」「学校では学べないことが学べる」「科学のおもしろさがわかってきた」。ほかにもわたしが期待したいものがありますが,それはさておいて,これらのことばが子どもの口から出たのはじつに意味ある話です。「学校では学べないこと」なんて,最高の言葉じゃないかなと思うのです。

水のレンズの発想は子どもから出たものです。ビニルシートで覆われた温室のことで,一人の子が,雨がシートにたまって火事になったという話をずっと以前にしたことがあります。それは冬のことでした。「水がレンズになるんだったら,夏に実験しよう」と話がまとまり,今夏,挑戦に至ったわけです。

簡単な水レンズは,5円玉の穴に水滴をのせてのぞくというもの。それをやっていると,定規に水を垂らしてもできるんじゃないか,という話になって確かめ。そのとおりの結果に。

それを確かめていると,一人の子が「金魚の水槽をのぞいていると,金魚が大きく見えるのもレンズなのかなあ」とつぶやきました。それを聞いて,子もおとなも相槌を打ちました。こういう自由さがあるのが探検隊活動のよさ。

続いて,丸底フラスコ型のガラス瓶に水を入れる,直径40センチの時計皿2枚で作った凸レンズ型容器に水を注入する,この2つの実験を屋外で行いました。

 


「まさか燃えないだろう」なんて予想が圧倒的でしたが,まるで反対の結果に。大きいレンズだと瞬く間に炎が!


水レンズはガラスやプラスチック製のレンズとなんら変わりません。水は温度が低くても,レンズになるのです。材質は関係なし,というわけです。一人のお母さんの感想から。「我が家では窓際に金魚の水槽を置いているんですけど,危険なんですね。初めて知りました。移動させます」。 

活動をとおして太陽とちょっと友だちになれたようです。

 


レモンは花が二度(続)

2015-07-26 | 昆虫と花

『レモンは花が二度』を書いてから,その後に見かけた昆虫や生きものの話題です。

畑仕事をしていると,アゲハが飛来。そうして卵を産み付けました。産卵を終えると,近くを周回して,また戻って来て産卵。よほど,このレモンの木がお気に入りのようです。

そのうちに,いろんな虫たちが目にとまりかけました。

セイヨウミツバチが来ました。


クマバチも来ました。前回は写真に撮れませんでしたが,今回はほんのすこしだけ姿を写せました。しかし,複眼が撮れなかったが心残りです。


キタテハが懸命な姿で蜜を吸っていました。


イチモンジセセリも花から離れようとしません。


ハナムグリが歩いていました。隣りにはツマグロキンバエも。


カマキリもアマガエルも。昆虫たちが訪れれば,天敵たちは保護色を生かしてそれらを獲物とし,生き延びていきます。 


前回取り上げた卵から孵化したアゲハの幼虫たちの多くが,すこしずつ大きくなりかけています。

 

 

すでに一足先に大きくなった幼虫もいました。


こんなにぎやかなレモンの今です。どうやら受粉がうまくいったようで,あちこちで子房が膨らみつつあります。

 

 


ヤマトシジミの交尾

2015-07-25 | ヤマトシジミ

自宅から離れた畑での出来事。畑仕事を終えて帰り支度をしているとき,偶然,交尾中のヤマトシジミが目にとまりました。

「これは,これは」と思い,携行しているコンデジを出して撮影準備。写真に収めたくて探しても,なかなかチャンスに恵まれる被写体ではありません。偶然をありがたく感じながら,そっと近づいていきました。慎重に,慎重に。わたしの気配を感じたかどうかわかりませんが,幸いじっとしたまま。

下写真では,左がメス,右がオス。色と大きさで見分けられます。


ある瞬間,パッと離れ離れに。そうして,すぐ近くの葉に降りました。「しめ,しめ」。そこでも求愛行動が続きました。


上写真を撮った直後,再び交尾。


しばらくしてから,舞い上がって近くの葉に移動。


ふしぎだったのですが,別のペアが近くにいました。


運がよければ,こんなスゴイ“シャッターチャンス”に恵まれることがあるのですね。日頃から自然となかよくしておくに越したことはありません。

 


ブットレアの花と昆虫たち

2015-07-24 | 昆虫と花

すでに取り上げた話題なのですが,再びブットレアの花と昆虫たちについて書こうと思います。もっとも,ごく最近の目撃例に限定しての話です。

「庭にチョウを呼びたいのならブットレアを植えたい」という呼びかけは,いろんな本で紹介されています。わたしもそれを読んで,矮性のブットレアを一本植えました。一昨年暮れに,ポット植えのか細い苗を買ったのでしたが,特価で100円にしてもらったことが信じられない程丈夫に育ってくれました。加えて,昆虫を招く効果の程はそのとおりなので,たいそう喜んでいます。挿し木で殖やすのもじつに簡単。それで,今では2本になっています。

開花期間が長く次々花が咲くので,観察を息長く行えるよさがあります。人にもお薦めしたい庭木です。

雨上がりの,いく分暗い夕刻。虫の目レンズでとらえたキタテハです。カメラを三脚にセットし,シャッター速度を相当に落として撮りました。キタテハは落ち着き払った様子で,わたしの慎重な動きに反応を示すことなく吸蜜に夢中でした。無造作に立っている竹の支柱はウマノスズクサ用のものです。

 

 
別の日,クローズアップで。口吻がほとんど筒状の花の奥に入り込んでいるのがわかります。

 
他の昆虫と共生しています。クモが獲物を狙っています。

 
 セセリチョウの仲間もよく訪れます。ダイミョウセセリです。

 


オジロシジミが,どうやらクモに捕まっている様子。白いクモが,花の奥に隠れているみたいです。シジミチョウはほとんど身動きしなくなっていました。突然襲われ,被害に遭ったのです。 

 
翌日見ると,もう花は枯れ,オジロシジミの死体が哀れな格好でそのままありました。すぐ近くに,ガの死体が引っかかっていました。それもクモにでもやられたのでしょう。

 
脇にある花で,前日オジロシジミを襲ったクモが目にとまりました。やはり花の奥に身を潜めているのです。褐色斑点と白い体色の組み合わせは,身を隠すのにぴったり。訪花昆虫は,まさか外敵がいるなんて思いも寄らないでしょう。

 
せっかくなので,小さないたずらを。花から追い出して写真を撮りました。調べると,アズチグモとか。

 
いのちある限り「生きる」というのは,意識するしないにかかわらず常に生死の境をゆくということです。運・不運,幸・不幸,観察を続けていると,それらのいろんなかたちが伝わってきます。ふと立ち止まって考えてしまいます。

ブットレアは,いのちの物語をさまざまに提供してくれます。

 


畑のセスジスズメ

2015-07-23 | 昆虫

セスジスズメはスズメガの一種。幼虫はたくましいほどに,いろんな食草をもりもり,ばりばり食べます。

いつ頃か畑に侵入したヤブガラシが,野菜の間からわんさかと芽を出し,はびこっています。ジャガイモの生育季節には,ジャガイモの茎に絡んで勢いを誇っていました。ジャガイモを掘って以降,長い地上茎はなくなりましが,地中にあちこち残った地下茎から,芽を吹き出しています。そこから出た葉に幼虫が付いているのです。

地表から10cm程のところに幼虫がいました。こんなにわずかな葉でも容赦なく食べ尽くします。でも,ヤブガラシもじつにたくましくって,容易に復活します。


空腹時だと,ヤブガラシが見つからなければカラスビシャクも。 


別のところで,大きくなった幼虫が地表でからだを休めていました。遠景を取り込んで収めたのが下写真です。レンズは『虫の目』を使用。中央付近に,葉を食べられたカラスビシャクがポツンと立っています。小石がごつごつ剥き出した地表で,のんびりしている様子が伝わるでしょうか。満腹気味だと見えます。


畑では,サツマイモやサトイモの葉も大好物です。葉が食べられていると思えば,セスジスズメの仕業です。花壇だと,ホウセンカだって食べます。嗜好の広さには頭が下がります。

やがて地中に入って蛹化します。畝を耕していると,蛹がよく出てきます。こんな簡単な目撃例がつながって,生態が見え始めます。