自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

❜17 ホッカイコガネ栽培記~種子を得たくて~(1)

2017-02-28 | ジャガイモ

ジャガイモを植える季節を迎えました。ホームセンターの店頭にはその種イモがたくさん並んでいます。ただ,昨年までと違う点があります。なにかといえば,昨年までは「こんなにたくさん種類があるのか」とびっくりした印象が強いのに,今年はごく限られた種類だけです。

そのなかにホッカイコガネは? 昨年まではわずかでもあるにはあったのに,今年はまるでなし。この調子では入荷しないかもという不安がよぎり,店に尋ねました。そのときははっきりしなかったのですが,数日経って連絡が入りました。「昨年,北海道は台風の被害に遭ったので,収穫量が激減しました。それで,今後入荷の見込みはありません」とのこと。

がくーん! 結実するのをたのしみに栽培してきたホッカイコガネ,味もメークインに劣らず良質なホッカイコガネが,なんと今年は栽培できないとは! 

これで諦めては寂しいばかり。というわけで,ネット通販で調べました。ここも販売は数カ所。それでも送料等を入れたらずいぶん割高になるものの,入手できるとはありがたいこと! もちろん注文しました。量は2kgです。

届いた種イモを手にして,ハッピーな気分に浸れました。「おかげで今年も栽培できるぞー!」っていう気持ちですね。


植え付ける場所は,昨年と同じように畑とプランターです。プランターはミュージアムで展示しようと思っています。昨年以上に刺激的な展示にしようと,今から密かに知恵をひねっています。

さて,2月27日(月),畑を耕して植え付けの準備をしました。


畝に溝を掘りました。溝には肥料を入れる予定です。


一方,種イモについては一定の大きさに切り分けました。こうして切り口が乾くのを待ちます。数日すれば大丈夫です。

 


今冬のマンサクと昆虫(15)

2017-02-27 | マンサク

2月26日(日)。風のほとんど感じられない穏やかな一日でした。こんな日はマンサクに昆虫が訪れるとはだれにでも予想できる話。そんなつもりで花を観察していました。すると,さっそく目に入って来たのが例のキタオオブユ。それだけなら別に珍しくはありませんが,花粉がからだにたくさん付いているので,「これはこれは大したものだ」と感じながら画像に収めました。 

 
盛んに動くのでなかなか思うようには撮れないのが惜しいところ。体長は5mm程度です。

 
近くにいたのが,おなじみのツマグロキンバエ。わたしの動きを察知して,このあと飛び去りました。


小さなハエのなかまもいました。剛毛で覆われ,花粉が付着したからだが印象に残りました。 

 
気温が上がれば,昆虫は活動を始めます。この日の最高気温は12.1℃でした。 

 


今冬のマンサクと昆虫(14)

2017-02-26 | マンサク

別株のマンサクが遅れて開花し始めました。

花を見ていくうちに目にとまったのはケブカカスミカメ 。花弁に口吻を突き立てているのにはびっくり。汁を吸っている姿です。尖った先端を表面に突き立てています。花弁の幅は2mmです。カメムシのからだはその幅にすっぽり入っています。そんなちいさなからだの出来事です。


念のために,トリミングをしてみました。かたちから判断すると,脚ではなさそうです。


顕微鏡モードにしてさらにアップして撮りました。移動を始めた瞬間! 画像はぼやけていますが,やはり口吻が伸びているように見えます。まず間違いないでしょう。 

 
このあと,この花弁が付いた花に向かいました。中央に頭を埋めて餌を補給している様子です。時折わずかに動きますが,ほとんど静止したまま。

 
口吻を突き立てて汁を吸うことで栄養を摂取しているのですから,たぶん蜜源辺りを狙っているはず。こんなに生々しい食餌行動が連続して観察できるとは思いも寄りませんでした。

 
ついでながら,こうした一連の行動で花粉がからだに付着します。ということは! 送粉者の,りっぱななかまといえそう! 

 


今冬のマンサクと昆虫(13)

2017-02-25 | マンサク

どうやら今冬はクロヒラタアブとの相性がよいようで,度々出合えます。

この日は寒さが特段に厳しく,クロヒラタアブほどの大きさの昆虫とはまずお目にかかれないだろうと決め込んでいました。そうして探しているうちに,ばっちり目の前に現れたというわけです。なんとハッピーな! 寒いので,動きは緩慢です。カメラを手にしていると,手が寒さでぎゅっと引きつるという感じになりました。それでも,こんなタイミングはめったにないので撮り続けました。 

  
一つの花に口吻を突っ込んで,餌を舐めている様子。からだにはわずかに花粉が付着しているようです。


一つの花で餌を撮り終わると,歩いて移動しました。そのとき,口吻を出したので撮ったのが下写真です。 


別の花に頭部を入れ,口を伸ばしました。 

 
それが終わると,また移動しました。


寒いので,じつにゆっくりした動きです。それで,ときには左手で枝を持って構図を考え,同時にその手をカメラの雲台のようにしながら,撮影していきました。

同じ被写体を繰り返しとり上げるのは,その種について深く理解していこうとするスタンスだと思っていただければうれしいです。広く観察するのでなく,深く観察することによって,生態により近づけるのではないかと思うのです。 

 


マンサクの開花

2017-02-25 | マンサク

マンサクの花が開くのは,桜の蕾がふわーっと開くさまに似てはいるでしょうが,長い花弁がゼンマイじかけで開かれてゆく光景はそれとはずいぶん違っています。細長い花弁で自分の存在をアピールしたいだけあって,そして最少エネルギーを費やすだけで大きな効果を期待しているようで,開花後の花と蕾とでは大きさや雰囲気がまるで違って見えます。


厳寒に耐えて,ぎゅっと引き締まった蕾に花弁が準備されています。それが,寒さに抗しながらすこしずつ紐解くようにほころびかけます。力がすぅーっと解き放たれるような雰囲気とでもいえるでしょうか,ふわーっと開花宣言をします。


その様子はまことに見事なばかり。


開花の過程を追って見ていくと,うなずけます。


花弁の内側と外側で伸縮率が相当に異なっているようです。なんと滑らかな広がり方! 花弁1枚は幅2mm,長さ20mm。内側の伸長がいかにスゴイか伝わってきます。これぞ自然の妙です。

 


今冬のマンサクと昆虫(12)

2017-02-24 | マンサク

キタオオブユはすでに取り上げた訪花昆虫です。それでも,時間をかけて撮影できた被写体なので,様子がリアルに伝わると思い,アップすることにしました。

体長は5mm程度。目に入ること自体が珍しいほどの小ささです。花の周りを,関心をもって歩いているという感じです。わずかに花粉が付着していることから想像すれば,花を訪れていたのでしょう。

 
花弁を歩きながら移動。

 

 
そのうちに,花に向かいました。

 
花に関心を持っている様子が窺えます。


頭部を突っ込んで,なにやらご馳走を口にしている模様。このときはこれで撮影を終えました。 

 
後日。キタオオブユを発見しました。完全に花に頭を埋めていました。


やはり花の中においしいものがありそうです。からだには花粉がたくさん付いています。 


花から花へと移って行きました。その先でも。頭を完全に埋めていました。どうも花粉でもなさそう。 

 


さらにアップして撮りました。これは蕊でなく,花弁の付け根あたりを探っているようです。そこにお気に入りのものがあるのかもしれません。花粉は,こうした行動の際に付いたものなのでしょう。 

 

 
冬は花がすくないので,マンサクは貴重な栄養源だと見えます。

 


今冬のマンサクと昆虫(11)

2017-02-23 | マンサク

2月12日(日)。午後。気温4℃ほど。冷たい風が吹いています。

この環境下でも,きっちり昆虫は活動しています。これまでの事例報告と重複しますが,書きとどめておきます。新たな視点は花粉です。からだに花粉が付着しているというのは,送受粉に貢献している姿である証拠。

ユスリカのなかまが頭・胸部に花粉をどっさり付けていました。見た瞬間,「ほ,ほーっ!」と唸ってしまいました。

 


別の個体も花粉を付けていました。 

 
後日,晴れ上がった日のこと。花の中をしっかり覗いている姿をとらえました。

 
花粉を付けて,活動中の個体も。

 
気持ちよさそうに,花から花へ歩いて移っていきました。


ちがった種のユスリカもまた,花粉をたくさん付けて活動中でした。葯から花粉があふれ出る頃になりました。 


小さないのちの躍動を見逃しては申し訳ありません。しっかり観察眼をはたらかせなくちゃ。 

 


谷間のセツブンソウ

2017-02-22 | 植物

毎年今頃になると,セツブンソウを思い出します。谷間に住む知人が所有する山麓で,今年もセツブンソウが咲く季節を迎えました。電話して尋ねると,確認していないが,まだすこし早いのではないかとのこと。

蕾でのよいので,できればそれらが群生している様子を画像に記録したくて訪ねることにしました。自宅から30分ほどの道のりです。そこは谷あいの村で,ふしぎなことにそこにしかセツブンソウが生えていないという珍しい場所です。狭い区画にわんさかと生えている光景を目にしたら,誰だってもう忘れられないでしょう。わたしもその一人です。

着いて確かめると,ポツンと花が一つ咲いているだけ。蕾が林立しているわけでもありません。 

 
おかしいなあと思いながら,よくよく見て行くと,ポツンポツンと目に入って来るだけ。「こんなことがあるわけがない」と思って探しても,やっぱりあっちに一本,こっちに一本といった感じなのです。


見て行くうちに目にとまったのがシカの糞。花の脇にパラパラと散らばっていました。「ははーん,シカが食べたんだな」と合点。そういえば,周りの田には鹿柵が張り巡らされて,シカの行動は制約されています。この群生地はシカが自由に歩き回れる区域にあたります。 

 
本来なら花はもう咲いていたのでしょうが,惜しいことにシカの餌になったのでしょう。

 
こんなふうにかたまって咲いているのはかろうじてここだけ。

 
季節感をちょっと味わえましたが,環境の変化を強く感じることになった撮影日でした。 

 


今冬のマンサクと昆虫(10)

2017-02-21 | マンサク

2月12日(日)。 起きると,窓の外は薄っすらと雪化粧。マンサクの花に,また災難が訪れました。

この日は休み。観察には好都合です。寒いのを承知で観察に。さっそく見つかったのが,なんとクロヒラタアブの死体です。枯れ葉の上にちょこんと載っていました。

 
からだには,わずかに雪が。


雪でもユスリカなら見つかるはず。そう思いながら探していきました。間もなく,お目当てのものが目に飛び込んできました。 

 
雪の上を歩いていく個体もいました。


こういう環境には相当に強いようで,複数目にしました。 


寒いのにあくまで花に執着気味の個体もいました。 


別の種もいました。雪がかからない位置でじっとしていました。 

 
小さくても,顎がじゅうぶんに発達しています。これで餌をバリバリ食べるのでしょう。


キタオオブユらしい個体も。頭部には花粉らしい粉が付着しています。 

 
寒さが身に沁みながらも,生きものたちはそれにじっと敢えます。不利な環境下でなんとか生き抜こうとする姿が輝きます。 

 


今冬のマンサクと昆虫(9)

2017-02-20 | マンサク

蕊が隠れているように思えたので確認すると,案の定,そこにはハエのなかまが。花弁の幅が2mm程なので,極小のハエです。あまりにも小さ過ぎて,名を同定するなどわたしには到底不可能です。

 
近寄って撮影しました。複眼がずいぶん離れて,単眼も3個見えます。

 
もっと倍率を上げて写しました。こんなに小さくても,外骨格の表情はちゃんと凸凹しています。

 
小さいいのちにも宇宙が広がっています。大きないのちのそれから類推するほかありませんが,こんないのちが存在することを忘れたくないなあと強く感じます。それが冬,わたしたちの目に触れることなく生きているのです。「ほっ,ほーっ!」の世界です。