自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

マンサクと昆虫(36)

2014-03-31 | マンサク

今シーズン,露地植えの黄色い花を訪れたキンバエの一種を見たのは初めてです。黄色い花に,焦げ茶色の組み合わせは,すこし離れたところからも目立ちます。

金属光沢そっくりな体表を見ると,このハエのたくましさを感じます。まるで鎧です。嗅覚のスゴサも感じます。遠くからでもビーンと嗅ぎつけるのでしょう。 

 
結局,ハエは花に執着しなかったようで,飛び去りました。

これを目撃した日の翌朝,このマンサクに薄っすら雪がかかっていました。


こんな時期の昼間に,ハエは気温の上がり下がりを敏感に感じて活動しているのです。今か今かと,春を待ちわびているのでしょう。 

 


ヒラタアブの成長(5)

2014-03-31 | 昆虫

発見第一号の卵の,その後についてです。

透明感が出てきて,どうも孵化が近づいたように思われました。


拡大して見てみましょう。よくよく見ると,殻の奥に黄色と黒色が見えるような,見えないような,そんな感じがします。 


「きっと孵化が迫っているのだ」。わたしにはそう思えてきました。このときが真夜中。それから6時間が経った朝,卵を見ると,中身がなくなっていました。夜のうちに孵化してしまったのです。6時間の間に,大変化があったことになります。 

 


 辺りを探すと,幼虫がいました。思わず,「これだー!」と呟いていました。

 


この個体でも,孵化の瞬間を見逃してしまいました。残念。

 


イナゴに春が来た

2014-03-31 | 昆虫

畦を歩いていると,イナゴが飛び出しました。ツチイナゴです。このイナゴは成虫で越冬したものです。春が来て,わくわくして目を覚ましたはず。パタパタと,わたしの足元から飛び上がって向こうに行きました。

そっとそっと追いかけて採集。もちろん被写体になってもらうためです。願いが叶って,すてきなモデルになってもらえました。春の始まりなので,ツクシとの組み合わせです。

林立するツクシ群落で,一本のツクシをがっちり抱きかかえている姿を。

 


すぐ近くの道路脇に移動して。


溝沿いの畦に生えたツクシで。


同じところで,横向きになってもらって。

 
春の日差しをいっぱいに浴びた,心地よい姿が撮れました。間もなく,春本番を迎えます。

 


マンサクと昆虫(35)

2014-03-30 | マンサク

いかつい,いかめしい姿のキンバエのなかまが訪れました。 

花弁の林の奥にいる個体を見ると,口の辺りにどっさり花粉が付着しています。「これはスゴイ!」と思わずこころの中で叫んでしまいました。


からだを覆う毛のスゴイこと! 口はもちろん,からだのあちこちに花粉が付いています。 

 
まだ食べ足りないとみえて,移動しながら,花に頭を突っ込んでいました。


大きなハエは動きがじっくりしています。びっくりさせない限り,気づかれない限り,いい被写体になってくれます。 


蕊が黒ずんでいます。既に受粉が行われているのです。そんな花でも,まだ花粉や蜜が残っています。それを求めて,訪れる昆虫がいるのです。 

 


ヒラタアブの成長(4)

2014-03-30 | ヒラタアブ

3月23日(日)。ヒラタアブの幼虫を発見。卵の観察・撮影をしていて,偶然見つけました。

薄い褐色に身を包んでいます。光を当てると,きれいに反射するのがいかにも初々しさを物語っています。すぐ脇に,アブラムシが二匹。ちっとも慌てる様子はありません。初めてお目にかかる生きものなので,なにがなんだか,さっぱり認知できないのでしょう。 

 
透明感のある体表をしています。体毛がきっちり並んでいます。


動きは緩慢ですが,それでもゆっくり移動します。ただ,ほんのわずかに。 

 
幼虫が動いても,アブラムシはまったく無頓着です。むしろ関心を示しているように見えます。天敵だという意識はまるでないのでしょう。そのうちに,ガブリと捕まるのではないでしょうか。 

 


マンサクと昆虫(34)

2014-03-29 | マンサク

このハエは,見かけ始めると,よく目に付くようになりました。アカバナマンサクで見たのは初めて。体長は5mm。名はまだ定かではありません。

頭をグイッと花に突っ込んで,花粉を舐めていました。 


花から出て,下側の花に移動。頭部や胸部,それに脚に付いた花粉が黄色っぽく見えます。 


そこ花の頭を入れ,食餌に夢中になっていました。 


また向きを変えて,一所懸命に栄養分を補給していました。 

 
肉眼ではふつう目に入らない世界の出来事です。そこでけな気に生きている小さないのちがあるのです。

 


ヒラタアブの成長(3)

2014-03-29 | ヒラタアブ

3月23日(日)。どうやら孵化が近づいたらしい卵が二つ。なんとか誕生の瞬間を激写できないか,と思いました。 


拡大して見てみると,中の様子が確かに変化してきているようです。先の黒いものは穴なのでしょうか。よくわかりません。 

 
もう一つの卵はどうでしょうか。色が真っ白からくすんだ色に変わってきています。


拡大してみると,やはり中が薄く黄色がかっています。孵化近しということなのでしょう。 

 
でも,初めてのことなので,どういう過程を経て孵化するのか,まったく予想がつきません。なんとか,誕生場面を目にしたいのですが……。 

 


マンサクと昆虫(33)

2014-03-28 | マンサク

このキバナマンサクで見かけたハエ,これまでにも登場しました。 クモの餌食になった種です。

ハエが夢中になって食餌行動に勤しんでいる姿が,印象的だったので敢えてアップすることにしました。ごく小さな昆虫にも,写真で見るような見事な体型,色彩が備わっていることがまたふしぎでもあります。

 
上からの撮影なので,口吻は確認できません。それでも,食餌にかける懸命さが伝わってきます。

 
移動して,下向きに咲く花に頭を入れて食餌をし始めました。こういう場面は,撮影には苦労があります。どうしても光量不足になるのです。それで,下からフラッシュを当てて撮ることにしました。


時間をかけて食餌をしていました。途中,頭をすこし出した瞬間にシャッターを切りました。

マンサクとの付き合いを通して,このハエは数々の生態を見せてくれました。こころから感謝しています。  

 


ヒラタアブの成長(2)

2014-03-28 | ヒラタアブ

ヒラタアブの成虫が産卵の最適場所を探し当て,そこにポツリと産み付ける技は,考えると大したものに思えます。 

ぎゅうぎゅうアブラムシがひしめいている箇所があります。アブラムシは移動性が小さく,そこに卵が産み付けさえすれば,孵化後の餌は完全に保証されています。こんなところをよくもマア,きっちり選ぶことヨと,感心させられるのが,下写真。卵は矢印の先にあります。


アブラムシの囲まれて,卵は孵化時を待ちます。ちっともその存在を気にしていないようなアブラムシが気の毒になります。 

 

 
やがて孵化して,出てきた幼虫は苦もなくアブラムシを口にできます。次々に口にしていきます。

もちろん,この幼虫の前にも天敵が現れます。そこが自然界のバランスでもあります。 

ところが,これはあくまで本筋であって,実際場面はファジーな場面だってたくさん。下写真は,葉の表面にポツンと取り残されたようにして産み付けられた卵の例です。周りには一匹のアブラムシもいません。


育つうえでの最適な環境からは相当にかけ離れています。結果としては,あちこちに産み付けて,そのうちのほんの数%が生き残ればいいわけです。


下写真の卵は,中の水分が失われつつあります。いのちの発生の途中,なんらかのトラブルが生じて,成長が停止したのです。種の保存はそう簡単なものでなく,苦難続きです。


 


ホシノヒトミと昆虫たち(8)

2014-03-27 | 昆虫と花

ホシノヒトミの花は小さいため,大型の昆虫が訪れる機会は少ないのですが,ときには驚くようなこともあります。大きさでオオハナアブに劣らないほどのハエがやって来ました。ハナバエのなかまです。

この組み合わせも珍しいのですが,加えてからだ中が花粉まみれなのです。これにはドキッとしました。


おまけに,レンズを近づけても気づいていないようで,なんとも落ち着いて蜜源を舐めていました。 

 
おかげで,うんと接近して撮ることができました。からだを覆う,針のような剛毛には恐れ入ります。それが送受粉に大いなる貢献をしているわけです。

目を向けていると,いつ,どんな出会いがあるかわかりません。それがこころからのたのしみでもあります。