自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャガイモ栽培物語《タネイモ編》(1)

2015-01-31 | ジャガイモ

ジャガイモのタネイモを植え付ける時期が近づいてきました。今,わくわくしています。これまでやってきた実験的栽培を,これまで以上に条件をきちんと整えて試すことができるからです。今後,経過についてライブ式で書き綴っていきます。

この一連の記事名を,ずばり『ジャガイモ栽培物語《タネイモ編》』とします。今回はその初回です。

以上が前書き。さて,今年の栽培のねらいは以下のとおりです。

 ジャガイモのタネイモを植えて花を咲かせ,高い確率で果実(実)・種子を得る。

これまでの栽培で,花後に相当数の果実(実・種子)が得られました。また,知人宅の畑で観察した事実からも,意図的に果実が得られる見通しが持てています。今わたしが持っている“知”をさらに広げ,レベルの高いものにするためにも,今年は栽培株を増やしてみようと思っています。

ジャガイモの“花と実(果実・種子)”について関心をお持ちの方は,わたしと一緒に栽培を試されてはいかがでしょうか。とりわけ学校関係者の方には大いに参考になるはずで,学習材として子どもたちに刺激を与えることになるでしょう。手順等は,その都度お伝えしていきます。

さて,ジャガイモの花を咲かせ,高い確率で果実を生らせようと思えば,ジャガイモの品種を選ぶほかありません。よく知られたものではメークインや男爵がありますが,それらはダメです。ほんの稀に結実することはありますが,品種としてまったく期待薄です。「気候や土壌に関係があるのではないか」といった見方がよくなされますが,そうした推測はまったく当てになりません。これは,わたしの栽培経験からもいえることです。品種そのものに結実しやすいか,しにくいかという遺伝情報が組み込まれているため,気候・土壌を云々しても意味はありません。とにかく,偶然の結実を待っていてもムダなのです。

その点,気候や土壌に関係なく高い確率で実を結ぶのは『ホッカイコガネ』という品種です。近頃は市販されている品種が多種にわたるので,探せば身近で入手できます。なければ,店で取り寄せてもらえばいいのです。あるいは,すこし割高になりますがネット購入を利用すればいいでしょう。

ネットで検索して,この品種の特性を調べました。以下がそれですが,わたしなりにまとめています。

  • 煮くずれしにくく,調理しやすい。
  • 煮物、フライに適している。
  • 肉色は黄色。メークインに似た長形のイモ。
  • 植付け:中暖地は2月下旬~4月上旬,寒地は3月中旬~4月下旬

先日,ホームセンターをいくつか回りました。いくつかというのは,『ホッカイコガネ』がない店もあったからです。結局,三つめの店で見つけました。店頭で見つけたときはさすがにうれしかったですね。買ったのは3kg。価格は1㎏が410円(税込)でした。


持ち帰って,今,保存しているところです。植える予定は2月下旬~3月下旬です。

なお,次の児童書は内容がたいへんおもしろく,すぐれていて参考になります。栽培に当たって一読をお薦めします。

  • 『ジャガイモの花と実』(板倉聖宣著/福音館書店) 現在は仮説社から刊行。
  • 『ジャガイモ畑の1年 ~花と実とタネをもとめて~』(おくやまひさし著/大日本図書) 

 


オオヒメヒラタアブのからだ

2015-01-30 | ヒラタアブ

1月下旬。自動車のボディにオオヒメヒラタアブがとまってじっとしていました。息を軽く吹きかけると,弱々しく落下。といっても,いく分飛ぶしぐさを見せながら自動車からすこし離れた地面に降り立ったというわけです。

せっかくなので,被写体になってもらい,クローズアップ写真を撮ることに。

からだを覆う毛が一際目立ちます。頭・胸・腹を見ると,頭の大きさがとにかく大きく,複眼の占める割合に圧倒されます。胸部は運動器官の集合体なので,とてもりっぱな表情に見えます。 

 
複眼はやっぱりスゴイ! 両眼が接していることからオスとわかります。


毛の生えようのスゴサ! 横から見ても。 


前から見ても。 


複眼をもっと拡大して見ると,個眼の整然とした並び方が“ふしぎ” を増幅します。複眼の間,奥に単眼が行儀よく配置されています。外界を視覚的に感知するのに,これだけ緻密なしくみが必要なのです。


いったい何個の個眼があるのでしょう。個眼は胸部側にもカーブを描くように配置されていますが,視野角は180度以上なのでしょうか。

小さないのちをくわしく覗くと,“ふしぎ” と“未知”が広がり,もっと知りたい好奇心にかきたてられます。 

 


葉裏に産付された正体不明の卵(まだまだ)

2015-01-29 | ホトケノザ

1月29日(木)。日付が変わった時刻のこと。前蛹が蛹化していました。薄い黄緑の体色で,ツヤからは軟らかさが感じられます。体節に,さっそく褐色が現れています。触覚や脚の部分が確認できます。チョウの蛹の外観とそっくり。すぐ脇に,脱ぎ捨てられた皮が付いています。

観察のタイミングはばっちり,というところでしょうか。

 


早朝。時間が経つにつれて,からだが引き締まってきたように見えます。

 


夜見ると,いく分褐色がかってきたかなあという感じ。そして,体表に黒みがはっきり現れてきました。その数時間後,黒い体色に変化していました。これはからだが回転したことで,黒い面が現れたことによります。

 


からだを元の位置に戻すと,そこはまだ黒くなっていませんでした。全身の色が一気に変わったわけではないのです。からだの下半分は,薄緑色が褐色に変わりつつあります。


このまま変化が進むと,全身が黒っぽくなるでしょう。一日でずいぶん大きな変わりかたです。 

 


葉裏に産付された正体不明の卵(まだ)

2015-01-28 | ホトケノザ

1月24日(土)。生糸でつづられた巣の様相が変わってきました。さらに手入れがなされて,目が密になっています。驚いたことに,まだその手入れ作業が続いているのです。


よく見ると,太めの糸が骨のようにあって,そこに無数の細い糸が張り巡らされています。まるで葉脈のよう。いえ,それよりずっと細かな目に見えます。丹念な作業振り!


1月26日(月)。糸を完全に張り終えたようで,個体は直線に近い状態で横たわり,からだが引き締まって見えます。 網状のネットをとおして見る姿なので,はっきりしたことはいえません。

1月28日(水)。まだ蛹化していない様子。


このままだと,なんだかベールに包まれたままという感じがします。そのうちにわたし本来の好奇心が膨らんできて,「貴重な機会だ。見逃すな」と呟いていました。迷ったのですが,好奇心の呟くままに,中を覗いてみることにしました。すると,一目で「これぞ,前蛹!」とわかる体型をしていたので,すっかりうれしくなりました。胸脚がギュッと縮んで見えます。明らかに蛹化が近づいている兆候です。観察は正解でした。

 
冬季は,何事も変化が緩やかに進んでいきます。この幼虫もそうです。そうでありながらも,大変化が刻々と近づいています。どんな蛹が現れるでしょう。 

 


早春,マンサクの花と訪花昆虫(2)

2015-01-27 | マンサク

ミバエのなかま(ヒマラヤアミメケブカミバエ?)でしょうか,花弁にとまって口吻を伸ばしていました。明らかに,花弁に付いた成分を舐めているしぐさです。 

 
拡大すると,その様子がよくわかります。

 
この個体は間もなく飛び去りました。しばらくして,またミバエがやって来ました。先ほどの個体と同じものかどうか,それは不明です。花弁の先にとまると,間もなく飛ぼうとするしぐさを見せました。

 


そうして,パッと飛び上がりました。

体長3mm。小さな世界にいのちが息づいています。

 


冬の昆虫観察について

2015-01-26 | 随想

昨日(1月25日)付けのA紙に『冬の昆虫観察』と題する記事が掲載されました。みだしは「命つなぐ姿発見にコツ」というもの。

記事の前提として,冬は昆虫はめったに見られないという見方があるようです。しかし,わたしには,それは一面的であって,先入観にとらわれた感じ方であるように思われます。つまり,先に結論ありき,のスタンスです。

記事の出だしにはこうあります。

「ついついこもりがちなこの季節。でも,寒さに負けず,子どもと出かけてみてはいかがでしょうか。身近な自然に目をこらせば,冬を越えようと寒さに懸命に耐えている虫たちの姿を見つけることができます。専門家に,観察のコツを教わりました」

記事は,専門家の次のことばが結びになっています。それも引用しておきます。

「厳しい冬になると生き物は姿を見せなくなりますが,その命は確実につながっています。見つけるコツを知って,どんな場所でどんな工夫をして春を待っているのか,探してみては」

わたしなりの結論からいえば,半分そうであるけれど,半分そうではない,ということになります。冬の寒さを乗り越えることは,大方の昆虫にとって大課題です。しかし,寒いなら寒いなりにそうした環境に順応してきっちり生き抜くすべを身に付けている昆虫(成虫)がじつにたくさんいるのです。このことを忘れて,ステレオパイプ式に「昆虫は冬は活動していない」かのような解釈で身近な自然を見てしまうのは困りものです。それでは,自然をありのままにとらえる感覚を失う羽目になります。

確かに,冬活動する昆虫の絶対数は極めてすくないのですが,成虫で活動している昆虫は意外にいるのです。もちろん,小さめの虫なので目立ちにくいのですが。それを観察するポイントは,「冬の晴れた穏やかな日,咲いている花を観察する」ことに尽きます。


わたしがその典型だと思う身近な花は,キク,サザンカ,ツバキ,ロウバイ,マンサク,ウメ,ギンヨウアカシア,タンポポなどです。それらは,家の庭,畑,公園,あるいは道端にふつうに見られる花です。その他にも,探せばあるかもしれません。とにかく,冬に花が咲くというのは一般的には昆虫に受粉を手伝ってほしいからであって,花と昆虫とは抱き合わせで考えるべきなのです。

冬に昆虫を見つけようとして,落ち葉や石の下を探すのは手がかりとしてはたいせつです。息を潜めるようにしてそこで越冬している虫が多いのも事実なのですから。しかし,観察するのにそこだけにこだわっていてはいけません。もっと広角に昆虫のいのちを見つめていかなくちゃ。

というわけで,わたしなりにみだしを付けて記事を書くとなれば,こんなふうになるかも,です。「冬 活動する虫・しない虫」。「真冬に生きのびる知恵」。「真冬,命つむぐ虫たち」。どうでしょうか。

 


今年のロウバイ(2)

2015-01-25 | ロウバイ

ロウバイはマンサクと共に,例年どの花よりもいち早く春を察知して咲き始めます。昼の長さの変化を知るのか,温度の変化を感じるのか,それはわかりませんが,とにかくこの花が開き始めると,「春だなあ」とこころがポッと温かくなります。

このロウバイの蕾が,今日1月25日,ほころびかけました。鼻を近づけて匂うと,心地よい香りが嗅覚を刺激します。なんと一年ぶり! 春がそこに見えて,すっかりうれしくなりました。


当然,まだ昆虫が入れるわけではありませんが,ちゃっかりとそこに訪れた個体がいます。ツマグロキンバエです。 

 
匂いを感じたのか,色を識別したのか,不明です。それにしても,大した感覚です。蕾の表面を歩き回って,別の花に移っていきました。やはり蕾だとわかっているようです。

冬,活動する昆虫で意外と目立つのがツマグロキンバエ。解説書の中には「活動時期は6月~10月」というのがありますが,「ほんとうに?」と首をひねってしまいます。一年を通して,きっと,とてもたくましく生きているのでしょう。

ロウバイ,明日あたりは開花するでしょう。いよいよ目が離せなくなります。 

 


珍しい,地表のアリ

2015-01-24 | 昆虫

1月。スイバの葉に潜む幼虫たちを探しているときのこと。

「あっ,アリや!」。もうびっくり。それも数匹。

降り積もった雪が解け,葉が濡れています。さらに,寒い風が地表を吹き抜けていきます。こんな季節,そんな日に,アリが地表に出ているとは驚きです。 


調べてみると,アリは冬期地下深く潜って冬眠しているのだとか。暖かい日に,犬走りのコンクリート上で小さなアリを見かけたことはありますが,今回のような目撃体験は初めてです。 

ゆっくりとではありますが,動くには動いていました。何か異変でも起こったのかもしれません。雪解けでできた水が巣に入り込んで,急きょ避難してきたのかも,です。

それにしても,小さな,大きな事実に思えてきます。 

 


葉裏に産付された正体不明の卵(もっともっともっと)

2015-01-23 | ホトケノザ

1月18日(日)。ずいぶん成長しました。体長3cm。肥えたなあと,つい思ってしまう体格です。


1月22日(水)。葉の裏で,蛹化準備に入ったようです。体色がはっきり白っぽくなった印象を受けます。葉の端から端へ絹糸を渡す“つづり作業”を行って,部屋をつくっていました。できたネットは,目が粗いとはいえ。じつに丹念な作業であっただろうなと観る者を彷彿とさせます。

 

 
からだの尾部は固定気味で,大きく反り返ってネット全体を仕上げていきました。

 
1月23日(金)。早朝見ると,からだを静かに横たえていました。作業はまだ続くのでしょうか,これから前蛹を経て蛹化するのでしょうか。

 
さらに変化を見守っておこうと思います。 

 


突然のクサカゲロウ

2015-01-22 | 昆虫

庭にいると,なにかの虫が翅をぱたぱた動かしながら目の前を横切り,育苗箱の側面に降りました。今頃なにかなと思いながらよく見ると,それはクサカゲロウでした。

こういうときにコンデジを携帯していると,たいへん役立ちます。さっそく撮影に入れます。 


淡い緑色がかった体色は,なんとも清楚で幻想的な色合いです。降りたクサカゲロウは歩いて地面に移動しました。 


小さな翅を支える網状の翅脈。 体長に劣らぬ長い触角が見事です。単眼はなし。

 
幼虫も成虫も肉食性で,アブラムシやらカイガラムシやらを食します。こんなからだをしていて,大した獰猛性を備えているということです。

もっとくわしい頭部写真を撮ろうと思っていたら,いつの間にか消えていなくなっていました。