自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

地域ミュージアムで考える(16)

2016-07-17 | 随想

ミュージアムには,そこに関心を向ける人にアピールする強いテーマがなくてはなりません。ミュージアムが林立するなかで,わたしたちのミュージアムが生き残るには地域の関心が深まり,来館者へのアピールに頼もしさが感じられなくてはなりません。

目玉が地球・天文なのははっきりしてしますが,わたし自身はまだなんだか足りないなあという印象を抱いています。地球なり天文なりが一味違った見え方がしてくる仕掛けがいるのではないか,これが正直な印象です。

たとえば,今のところわたしたちが発信したいメッセージがはっきり打ち出せていません。わたしはそのことを,旭山動物園で気づかされました。学校でも企業でも,目標のようなメッセージ風のようなものを掲げて組織づくりを内外にアピールしています。旭山動物園のそれはパンフレットに明確に記されています。『伝えるのは,命』。

それ流にいいあらわせば,わたしたちのミュージアムだと『伝えたい,地と宙のワンダー』ほどの言葉になろうかと思います。

また,たとえば,“地”と“宙”にちなんだ手作りの仕掛けがもっとあればと思うのです。近年展示内容をリニューアルして魅力を増したとはいえ,やはり展示物というものは基本的にはそこで働くスタッフの情熱が結晶化して,次々に産み出されるものでしょう。いえ,産み出されるべきものです。施設・設備の単なる運用では,いずれスタッフの創造的な力が衰えていくでしょう。そして,古くなった展示物が残されるだけで更新していく手作りの仕掛けはなし。これでは,あってほしいミュージアム像からは遠ざかるばかりです。

「ここならではの押し出しができないだろうか」。そんな気持ちで,ささやかな仕掛けを始めました。多面体地球作りです。段ボールを使っています。今は正四面体と六面体。大小サイズを変えて作りました。入館者のワンダーに訴えるつもりですから,どんどん手で触ってほしいのです。


置いているのは展示空間のあるところ,あちこち。「おやっ,ここにも!」という思いを持っていただきたいと思っています。繰り返し触れていただくことで,印象として刻み付けられるでしょうから。


一度,お越しください。「へぇー! やるねえ」と感じていただけるかな。 

 


ツバメシジミの幼虫と再会!(4)

2016-07-17 | 昆虫

7月15日(金)。朝見ると,ギシギシの葉柄に付いた個体がいよいよ羽化近しの兆し。からだの透明感から見ると,目が離せない状況です。

午前9時44分。いつ,殻が割れて出てくるのかドキドキして待っていました。


午前10時28分。殻が割れかけて,幼虫がからだを盛んに震わせています。 


同じ状態が数分続きました。胸部の毛,触角,複眼といったものが見えています。ふつうなら,するするっと現れるはず。それで異変を感じつつも,「あるがまま」を大事にしたいわたしとしては手を貸すわけにもいかず,見守り続けました。 


午前10時50分。からだの動きで,からだが葉柄からぶら下がった状態になりました。一方の翅は出ましたが,もう一方は殻に閉じ込められたままです。このままでは出られないと思い,出してやりましたが,もうダメでした。30分も経つと縮んだままで,もう拡がらないのです。 


羽化には,速やかで,順序にしたがった滑らかな変化が欠かせないことがわかります。貴重な観察例になるはずでしたが,このいのちにはほんとうに気の毒な結果になりました。 もちろん,これも生態を学ぶ上では貴重な資料になりますが。