自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ヒラタアブの幼虫

2014-08-31 | ヒラタアブ

キンカンの木にアブラムシがたくさん発生。それで,アリもたくさんやって来ています。消毒するわけでもなく,今のところ,あるがままです。

さて,まったく偶然なのですが,アゲハが産卵した直後,卵を確かめているときに見つけたのがヒラタアブの幼虫です。懐かしい幼虫なので(5月24日付け記事と関連)他にいないか探すと,二匹目が見つかりました。

成虫がここを最適な産卵場所と心得て卵を産み付け,それが孵化したのです。

若齢幼虫は,表皮を通して体内が透けて見えます。そのスゴサがなんとも“スゴイ” ので,写真に収めました。いかにも内臓が複雑に配置されているといった感じです。小さないのちにも宇宙的構造があるといってもいいかと思います。

 
右側から見ると,こんなふうにです。


左側からも見ました。 


トリミングしてみると……。なんともふしぎな光景です。 

 
“ふしぎ”が,透明パラフィン紙に包まれているみたいです。これがいのちのかたちです。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その330)

2014-08-30 | ジャコウアゲハ

蛹たちの多くで,羽化がどうも遅くって,いったいどうなっているのか気になっています。その間に,色がどんどん変わって薄い褐色だったものが,かなり濃いめになってきました。果たして,羽化への兆候なのか,それともこのまま越冬蛹になるのか,といったところです。

一方では,それらよりも遅く蛹になりながら,羽化する個体があるといった状況です。

ふしぎを感じつつ蛹を観察していると,ビックリ! 天敵にやられたような形跡が見つかったのです。それも2個体。

事例1。蛹の中央部付近,翅にあたる部分に穴が一つ。まちがいなく,寄生していた昆虫が出てきた跡と思われます。

 

 
中の様子を確かめるために,殻を除いてみました。中は空洞になっていました。


事例2。穴が2つ。


同じように殻を一部取り除きました。羽化を間近にしたからだが犠牲に遭った様子です。空洞もできていました。 

 


生きものにとって,生き永らえるというのはほんとうにたいへんなことです。どの段階で,どんな災難に出くわすか,まるでわかりません。いのちのバトンを次の世代に託せるのは幸運だといえます。 

 


ビックリ! ヤマトシジミとの出会い

2014-08-29 | ヤマトシジミ

自宅横に幹線排水路があります。排水路の脇はコンクリートで固められていて,継ぎ目にわずかに隙間があり,そこから雑草が生えています。その中にカタバミがあって,これまでに葉裏でヤマトシジミの卵を確認していました。

そこを掃除することになって,たまたまカタバミを見ました。すると,葉がずいぶん食されていました。ヤマトシジミの幼虫がしたことにちがいありません。それで,幼虫がいないか見ていきました。

驚いたことに,羽化を控えた蛹が一つ見つかりました。 葉柄が立ち並ぶその間に,からだは絹糸で固定されていました。


からだに黒っぽい部分が現れているのは,“羽化近し” の兆候です。

 
「それなら幼虫もいるのではないか」と思い,別の株で探してみました。すると,葉がほとんどなくなった株に幼虫がいたのです。そこにアリがやって来ているのが印象的でした。いちばん多いときで4匹がからだの周りにいたのにはビックリ。


食痕がはっきりとあれば,痕跡を残した生きものがそこにいる確率が高くなります。偶然の出会いでしたが,食痕を見逃さなくてよかったなあとつくづく感じました。 

 


カタバミの芽生え

2014-08-28 | 植物

カタバミはヤマトシジミの幼虫が食する食草。それで,ヤマトシジミの生態を観察していると,否応なくカタバミと付き合うことになります。

カタバミはいうまでもなく,種子の飛散方法がよく知られた植物です。実が熟し始めると,指をそっと触れるだけでパチーンと種子が弾け飛びます。その種がまた,エライオソームと名付けられた甘味成分を持っていて,アリに運んでもらって生息域を拡大するというみごとな戦略を有しています。

この葉を食するヤマトシジミは,これまでに触れてきましたように,自ら甘味成分を分泌してアリに分け与えています。それは,アリに身近にいてもらい,身を守るための作戦だとか。この風景を繰り返し観察していると,自然の妙を感じとることができます。

カタバミの根元から芽生えるたくさんの双葉(子葉)。この子葉はカタバミのそれなのです。 

 

 
これだけたくさんの芽がすべて順調に育つわけではありません。大部分が枯れる運命にありますが,それでもかなりの数が生き残っていきます。

 

 
カタバミは双子葉植物です。本葉はハート型の葉3枚で一組になって,葉柄の先に付いています。芽生えてから日が経つと,子葉の間からその本葉が姿を見え始めます。

 


葉柄が伸びてくると,いかにもカタバミの芽生えらしさを増します。 

 


これは別の場所で写した一こま。独り立ちする雰囲気が伝わってきて,見事!


庭づくりにとってカタバミは嫌な“雑草”です。しかし,カタバミはカタバミとしてたくましく生きているだけであり,人との関係は人が自分の都合に合わせて一方的に決めてかかっているだけなのです。そんなわけで,“雑草”という響きには人の勝手が入っているようで,使うのは好きになれません。

ヤマトシジミとの出会いを重ねたくて,わたしは除草の際は程ほどにカタバミを残すことにしています。

 


誕生間もないカメムシの幼虫

2014-08-27 | カメムシ類

カメムシの同定についてはまったく自信がありません。それでもカメムシの大発生とか,卵の集団とかを見ると,「これはスゴイ!」と目をパチクリしてしまいます。我が家のトマトに大発生して,実を台無しにするカメムシにはまったく迷惑しているのですが,農薬を使うことが嫌で,なるがまま,なすがままにしています。それで,目のパチクリは一向に収まりそうにありません。

そんななかで,見かけたのが『アゲハの庭園』のカメムシ。ホトトギスの葉の裏に,孵化したばかりの幼虫の集団がいたのです。ホトトギスは,ルリタテハを呼びたくて植えているもの。その卵を探していて,偶然見つけました。 

 

孵化直後なのでしょう,殻の上でじっとしていました。その下にある卵殻は真っ白。まるでカプセル風で,蓋が開いて幼虫が生まれてきた形跡が残っています。

さて,このカメムシの正体の話です。名を同定する自信がないのに加えて,幼虫とくると一層わからなくなります。なんとか調べてたどり着いたのが,クサギカメムシ,チャバネアオカメムシ。これとても,もしかするとそうかもしれないというレベルなので,じつにいい加減なものです。 

どんな生きものにしても,“生まれる”というのは大事件です。カメムシだからどうの,というわけにはいきません。カメムシにはカメムシのいのちがあります。それで,生まれるという事実を粗末に扱うことはできません。観察もまたそうした思いに立って行いたいと思います。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その329)

2014-08-26 | ジャコウアゲハ

盛夏。ジャコウアゲハの成虫がわずかに『アゲハの庭園』を訪れていますが,見かける個体はほとんどいません。この気象条件では,羽化する個体はすくないようです。蛹の数は驚くほど多いのに,羽化する兆候はまったく見えません。

激しい雨が襲った日のこと。一時雨が止んだときに,大急ぎで蛹を写しました。この個体は,色から見て,蛹化後,日が浅いことがわかります。

 


まったくはみ出した話ですが,幼虫から垂れ下がる雨粒に近くの景色が写りこんでいます。水玉がちょうど凸レンズになっているのです。そのおもしろさを残したくて,この構図を狙ってみました。


下の個体は蛹化後,30日が経過しました。色からは,相当な時間が経っていることが窺えます。しかしながら,まだ羽化しそうにありません。

 


こんな調子ですから,羽化が始まれば,次々にその場面を観察できます。スゴイだろうなあと今から,わくわくしています。 

 


スミレの芽生え

2014-08-26 | 植物

ツマグロヒョウモンの生態を観察しようと思い,植木鉢とプランターにスミレを植えています。そのお蔭で,数々の場面を目撃・撮影できてきました。

そのスミレはいうまでもなく,種子で殖えます。実のなかに,真ん丸い種子がたくさん並んでいて,熟すとパチンと弾け飛びます。そうすることで,できるだけ分布範囲を拡大しようとしているのです。それで,スミレの生えた場所では,飛び散った種が発芽してスミレの群落ができあがります。

植木鉢のような狭い地表面でも,その根元にもどっさり芽生えが見られます。


芽生えを見ただけでは,なんの植物かわからないのですが,スミレ以外には植えていないので,「どうもスミレらしい」と見当がつきます。

 
芽生えがたくさんあれば,成長に多少の差があるので,種皮を被ったものが見つかります。


種皮を付けたままの子葉が見つかることもあります。


やがて,本葉が現れます。そのかたちは,いかにもスミレを連想させるものです。 

 


これだけわんさか生えてくると,ふつうの露地ならスミレだらけになることでしょう。実際,我が家の庭の一部はかつてそんな状況でした。それでは困るので,徹底的に抜いて駆逐しました。農薬はまったく使わずに,です。今は,植木鉢・プランター程度で育てています。 

『山路来てなにやらゆかしすみれぐさ』(松尾芭蕉)は名句で風雅ですが,スミレが圧倒的に優勢な生活場面を想像すると,「ゆかし」どころではありません。

しかし,これがツマグロヒョウモンの食草とくれば,そうそういい加減な付き合いはできません。 

 


アゲハ一世代の成長(7)

2014-08-25 | アゲハ(ナミアゲハ)

8月9日(土)。個体Aは蛹化。


8月10日(日)。個体D,午後7時30分に脱皮し,4齢幼虫に。

 
程なくして,皮を食べてしまいました。


8月12日(火)午後3時,個体E孵化。

 

 
8月14日(木)午前9時。個体D,脱皮して終齢幼虫に。


これまでの経過を表にまとめると,次のようになります。

 

 


道の隅に,ツマグロヒョウモンの卵が(続々)

2014-08-24 | ツマグロヒョウモン

『続』の記事内容から8時間が経過。卵発見から3日以上経過しました。卵は大きく変化しています。先が黒くなってきました。とくに,卵Bはそれが顕著です。それに,下の方には線状の模様がたくさん確認できます。孵化の準備がほぼ整ったようです。 

 
この時点から3時間後に見ると,すでに孵化し終えた幼虫が葉の表側にいました。このときの体長は1.3mm。からだを覆った毛が際立っています。惜しいことに,誕生の瞬間は見逃しました。

 


一方,個体Aについては誕生を目撃。個体Bを見つけたのと同じ時間帯でした。穴を開けているので,「もうすぐ出てくるな」と思っていると,スルスルッと出てきました。すばやい動きでした。

 


その後,向き直って殻を食べ始めました。


途中,何度か休んではまた食べ始めるという感じでした。結局食べ尽くしました。

これまでにも誕生場面を撮影していますが,今回は,変化の様子をたっぷり,じっくり観察できました。次回以降の撮影にコツを生かせそうです。

なお,2個体については,羽化までの経過を追ってみようと思います。今の時期,どのくらいの期間で成虫になるのでしょうか。たのしみがまた一つ増えました。 

 


道の隅に,ツマグロヒョウモンの卵が(続)

2014-08-23 | ツマグロヒョウモン

卵を見つけて3日後。1mmに満たない卵に変化が見えてきました。上部に,褐色をした斑点状のものが現れ始めました(卵A)。


もう一枚の葉に付いた卵も同じです(下の上写真/卵B)。この葉は卵3個が付いていたもの。他の2個は,惜しいことにシワシワになって成育を停止しました(下の下写真)。 

 


部分拡大してみると,変化がよくわかります。間もなく生まれ出る幼虫が殻を通して見えているのです。頭部辺りだと思われます。これから色がもっと黒みかかってきます。

 
あと一日もあれば孵化しているでしょう。わくわくします。