畑にて。
早朝,畑脇の空き地で交尾中のモンシロチョウを見かけました。わたしが歩いていると,びっくりしたように舞い上がりました。そうして近くの草に着地。上がオス,下がメスです。
そのうちにまた近くの草に移動。追いかけて,そっと撮影。チョウのとまっている葉にはニジュウヤホシテントウの食痕がたくさん。卵も葉裏のあちこちにあります。
今はどこに行っても,いのちがうごめいている感じです。
畑にて。
早朝,畑脇の空き地で交尾中のモンシロチョウを見かけました。わたしが歩いていると,びっくりしたように舞い上がりました。そうして近くの草に着地。上がオス,下がメスです。
そのうちにまた近くの草に移動。追いかけて,そっと撮影。チョウのとまっている葉にはニジュウヤホシテントウの食痕がたくさん。卵も葉裏のあちこちにあります。
今はどこに行っても,いのちがうごめいている感じです。
道端に生えるイヌガラシの葉に,モンシロチョウはどんどん産卵します。畑の作物だけでなく,自然の中に生えたアブラナ科植物はモンシロチョウの幼虫の大好物なのです。
朝,いつも歩く道端でイヌガラシを調べると,案の定どっさり卵が付いていました。
こんなにあるのなら孵化がきっと観察できるだろうと思い持ち帰りました。卵の色はいろいろ。これは産付日が異なっているからです。別個体の成虫が産み付けたのでしょう。思ったとおり,昼にはさっそく孵化が二つ観察できました。そのうちの一つをご紹介します。
これが孵化直前の卵です。顎がくっきり。そのままの向きで孵化します。卵サイズは高さ1.0mm,直径0.45mm。
顎の動きが盛んになると孵化間近の印。
顔が出てきました。ちょっとだけ休むといった感じ。
ぐうっと頭を出します。
着地寸前。
倍率を上げて奥行きのある風景を撮る場合,頭部にピントを合わせると他はボケてしまいます。接写の限界です。それを避けるとなれば,低倍率で撮ってトリミングするほかありません。
モンシロチョウの卵をどの程度精緻に接写できるのか,別の卵で試みました。
産付時に比較的近い卵は白色を帯びています。これをフラッシュ光で撮ると,どうしても白っぽくなるので卵表面の凹凸が見えづらくなります。
孵化が近づいた卵を撮りました。オレンジ色を呈しているので,表面の様子がわかりやすいように思います。左からのフラッシュ光を強めにしています。
上写真をトリミングしました。表面がかなりはっきりわかります。生まれてくる幼虫の口が見えています。
さらにトリミング。これだけ大きくなると,小宇宙の様相が手に取るように見えて来ます。
超接写はなかなかおもしろいものです。
ブロッコリーの葉にはモンシロチョウの卵がたくさん産み付けられています。農薬を散布しないし,ネットで覆いもしていないので,チョウはふんだんに卵を産付しているのです。
卵サイズは高さ0.9mm,直径0.4mm。この形は小学校の教科書でもおなじみです。
孵化近い卵です。全体が黄色みを帯びます。
上写真から二日後。口が見える方向から撮りました。顎がくっきり見えます。この段階は孵化が間近です。幼虫はからだをU字状に曲げてカプセルに入っています。
誕生しました。このからだの大きさとカプセルのそれとを比べると,「こんな大きなものが入っていたのか」とふしぎなほどです。
超接写で動く被写体を撮るときは,どうしても被写界深度が浅くなるので,横向きの姿勢を撮るほかありません。
むらの農道脇に,麦畑が広がっています。その農道を通って,子どもたちが通学しています。わたしは安全見守り隊のメンバーとして,週に何度か一緒にそこを歩いています。
昨日の朝,麦の穂にモンシロチョウがくっ付いていました。そこがねぐらだったのです。
麦の穂がねぐらによいのかどうか,それはわかりません。これまで見かけたのは,双子葉植物の葉の裏だったり,表面だったりといった例が多かった気がします,中には,10頭ほどのモンシロチョウが草一本の葉に,一頭ずつ行儀よく休んでいる例もありました。
この日は麦の叡(エイ)。縦方向に林立しています。それが束になったところに白い姿。よく目立ちます。
夜の雨で水滴が付着。もちろん,からだの表面は水の被害から守られるように手厚い防御策が施されています。
縦方向で撮りました。チョウは穂を抱きかかえるようにしてじっとしています。曲がりながら伸びる白い糸状のものはノギでしょうか。
それにしても長いノギ。
撮影している間,動きませんでした。まったく! からだが冷えていたのでしょう。
モンシロチョウの幼虫はアブラナ科の葉が大好きです。
野生植物ならなにをおいてもまずイヌガラシが浮かびます。道端の至るところに生えています。それで,モンシロチョウの活動時期になると,イヌガラシを探して飛ぶ姿を頻繁に見かけます。葉を見ると卵が産付されています。多いときはどっさり。葉の裏が主ですが,裏にだって産み付けられています。写真をよく見ると,葉の表と裏に卵が見えます。
下写真の中で数えられる卵の数は? 答えは10個です。葉の表側だけでこれだけですから,裏側も入れるとたっぷり。
中には幼虫も。
よほどアブラナ科植物がお気に入りなのでしょう。それで,畑の野菜にも飛来します。それはモンシロチョウがよくないわけではなく,自ずとお気に入りの野菜をヒトが植えているのでヒトが招き寄せているようなものです。こんなわけでヒトには迷惑でも,モンシロチョウを悪者扱いにするわけにはいきません。
さて,しばらくモンシロチョウの卵の変化を追ってみます。
我が家の敷地の端に,葉ボタンを植えたプランターをおいています。葉ボタンは越年栽培をしているもので,木質化した茎が伸び,小さな葉をたくさん付けています。そこにモンシロチョウがわんさかやって来て卵を産み付けます。
産付時期はそれぞれにちがっているので,卵の発生過程はさまざまです。観察にはもってこいだと思います。
さて,その敷地を有害獣除けにネットを張っているものですから,葉ボタンを訪れたモンシロチョウは外からは産卵したくてもしようがありません。うまく内側に入るほかないのです。
初めから内側に入ったチョウは難なく産卵を終えます。
先日,外から葉ボタンに関心を示して,なんとか接近しようとするチョウを見かけました。産卵がしたくて仕方ない様子。ネットと葉との距離は1,2cmといったところです。
チョウが葉に近づいたとき,試しにネットを押して,チョウが葉に触れることができるようにしてみました。すると,さっそく産卵行動が始まったのです。
そこで,チョウが何を目印にキャベツを訪れるのか,気になって調べてみました。
結果わかったのは,まず視覚(色や形)で葉を見分ける,次に嗅覚(匂い)をはたらかせるということです。葉から出る揮発性成分を前脚先に生えた感覚毛で感知するらしいのです。これはアゲハと同じです。メスのチョウの行動をよく観察していると,前脚を葉に触れて食草かどうかを確認している様子が見えてきます。
わたしはアゲハについてはそのメカニズムが我が国の生物学者によって解き明かされたことは知っていましたが,モンシロチョウも同じだったとは知りませんでした。
ラッキーな観察例となりました。
家の周りでいちばん見るチョウはモンシロチョウです。頭・顔尾写真はこれまでにも取り上げていますが,改めてチャレンジしました。チャレンジとは大げさなのですが,生きた個体を台においた状態で撮るのは初めてです。もちろん室内で撮ります。透明のプラスチックコップの底をできるだけ浅くして,チョウに被せます。あいすくり
透明のプラスチックコップの底をできるだけ浅くして,チョウに被せます。アイスクリームの容器を被せるようなものです。チョウは暴れますが,間もなく台上で静かになります。そして,そっとコップを浮かせます。すっかり取ってしまうと舞い上がる恐れがあるので,要注意です。落ち着いていれば取っても大丈夫です。
こうして撮る場合は,必ず三脚が要ります。
斜めになったからだを真正面から撮りました。
真っすぐになっているときに撮りました。
チョウは一度も室内を舞うことはありませんでした。撮影時はじっとしていました。撮影後は「ありがとう」の気持ちを伝えたつもりになりながら,自然に戻しました。
5月23日(日)。早朝,アゲハの庭園でモンシロチョウのカップルを見かけました。
モンシロチョウは,今も庭においている葉ボタンの葉に産卵に訪れます。このまま夏を越した葉ボタンは茎を木質化させて,結構おもしろいすがたになっていきます。それを待つ間チョウが盛んに卵を産み付けるので,よいプレゼントだと思っています。
さてこのチョウは,この葉ボタンに産卵するでしょうか。
翅に朝の光が当たって,翅脈が浮き上がります。雌雄の区別なのですが,メスの方が黄色味が濃いとされているので,左側がそれでしょう。
モンシロチョウはたくましいチョウです。畑だとキャベツとの相性がいちばんよいのですが,なければダイコンの葉でも産卵します。アブラナ科植物をどうやって見分けるのか,ふしぎです。きっと生き延びるための判別法があるはず。
畑の野菜を霜害から守るために,一部ネットで覆っていました。すると,その野菜でモンシロチョウが育ったらしく,ネットの内側に一頭いました。これが家での今季初見となります。
それなら頭・顔の写真と撮っておこうと思い,家の中に持ち込んで撮影しました。寒さで動きが鈍いのが幸い。なかなかリアルな画像が得られました。
どんなチョウの写真を撮ってもいつも思うのですが,毛で覆われたこのからだの様子に例外はありません。だから,「まさに,これがチョウならではなのだー!」。髭爺さんの風貌たっぷりです。
どこに行っても見られるおなじみのモンシロチョウの頭部です。
反対側から見れば……。
もっと近寄れば……。個眼が見えます。
真正面からも。口元が少しだけ見えます。
さらに接近!
こうだから,何度撮って飽きません。間もなくモンシロチョウが畑に現れます。野菜も,わたしもたいへんです。