自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャガイモの真正種子栽培,本実験(その11)

2014-05-31 | ジャガイモ

5月31日(土)。ジャガイモの成長は順調です。

2週間も経てば,ご覧のとおりです。あれだけ頼りなげに見えたポット苗も,かなり復活してきました。しかし,途中で枯れたものもかなりあって,今のところ丈夫に育っているのはポット数にして82。その他,素焼きの植木鉢に密植状態のもの,プランター植えものがあります。

さて,このうちの平苗床でおもしろい現象が生じているのを発見しました。密になって育っているので,一本一本は貧弱です。


そのまま放置してどうなるか見ているのですが,そのうちの数本の根元付近の話です。腋芽が膨らみかけているのです。第3節までのものが確かに,赤みを呈して膨らみかけています。

 


このままにしておくと,もっと膨らむのではないでしょうか。この現象のしくみを解くと,以下のようになりそうです。

  • もともとは地中のストロンが伸びて,その先に塊茎ができるはずだった。
  • たくさんの茎が出てきて,下の方に光が当たりにくくなった。
  • 光が当たりにくいので,腋芽が肥大化し始めた。

他の茎では肥大化する腋芽は見当たりませんが,まだまだ出てくる可能性はあります。意図的に腋芽を太らせようと思えば,ストロンを切ってしまえばいいでしょう。そうすれば,葉でつくられたでんぷんが地中の塊茎に貯えられなくなって,腋芽に行くほかありません。この実験もまた,始めましたので,次回報告します。

ポット苗は一本植えなので,これからもっとしっかり育つでしょう。ただ,ポットの大きさが小さく感じられてきました。このままにしておくつもりなので,露地栽培とは成長ぶりがちがってくるのは止むを得ません。 

 


ハチの狩り現場

2014-05-31 | ハチ

畑のグリンピースが,今年は思いのほか豊作でした。一畝は10mありますが,そこに栽培していたので,結構収穫の手応えがありました。

収穫期に近づくにつれて,葉がどんどん食べられていくのがわかりました。例年のことなので「マア,しかたないか」と思いつつ,そのまま放置していました。結果,葉が無残にも穴だらけになったのです。

さて,収穫しているとき,おもしろいことに気づきました。葉を食する幼虫(いもむし)はほとんど見かけません。たぶん蛹になって,地中かどこかにいっているのでしょう。ところが,そんなグリンピースの葉の間を,ハチが数匹飛び回っているのです。

わたしは,幼虫狩りにやって来たのだなと直感。収穫しながら,ときに手を休めて観察していました。そのうちに,一匹のハチが葉の上で肉団子を抱え,くるくる回していているのが見えました(下写真)。団子は緑色。確かに緑をしたイモムシを連想させる色合いでした。 

 
コンデジをポケットから取り出して,大急ぎで撮りました。わたしの気配がしたのか,ハチは軽く飛び上がり近くの茎に再び降りました。ギュッとつかまって,団子を丸め続けました。たぶん,団子の状態がまだ整っていないと思ったのでしょう。

 
ハチにとっては今が巣作りの好時期です。イモムシもハチもいのちを引き継ごうとしています。生きている限り,いのちの利用も当たり前のように展開していきます。それが人にとって,ある場合は害虫となり,ある場合は益虫となります。 

 


ガラス板の上の姿

2014-05-31 | ベニシジミ

おもしろいことを思いつきました。

ベニシジミはからだを蓑のような体表ですっぽり覆っているので,からだのつくりがよくわかりません。口や脚がほとんど観察できないのは,なんだか惜しい気がします。それで,ガラス板に載せて写したらどんなふうになるか,興味が湧いてきました。

さっそく,からだの下から覗いてみました。体形はまるでゾウリムシそっくり。口器も胸脚も腹脚も肛門も,これだけ内側に位置していれば,外側からは観察できないはず。緑色の蓑が覆っていることで,葉の緑にどこまでも似せているのです。

 

 
歩くとき,頭が前に突き出てきました。ゆっくりした歩き方ですが,ゆっくりなりに,脚をうまく使った巧妙な動きに見えてきました。

 

 
今度は側面を撮りました。頭は左側です。ほんとうにふしぎなかたちです。みごとなラインといってもいいでしょうか。 

 


前から見ました。頭がほんのすこし覗いています。 

 


そのままにしていると,頭部を突き出して歩き始めました。口器と眼が見えます。 

 


縫いぐるみの先に,頭部が収まっているといった感じです。しっかり大きく歩くときは,ベニシジミの幼虫だってグッと頭を出すことがわかります。 

 


意外な窓をとおして撮影することで,思いがけない世界が拡がりかけます。 

 


ジャガイモの挿し葉,挿し木

2014-05-30 | ジャガイモ

ジャガイモとサツマイモは,よく比較の対象になります。ジャガイモは塊茎でナス科植物,サツマイモは根塊でヒルガオ科植物であることが基本的な相違点です。

今は,ジャガイモは花が咲き,塊茎が膨らんでいる時期。つまり成長真っ只中というわけです。それで,おもしろ実験観察を試みることにしました。これはとても簡単でもあり,印象に残る実験です。ぜひブログにお立ち寄りの皆様方にもお勧めしたいと思います。タイトルにあるように,挿し葉,挿し木をするという内容です。

今日(5月30日),下写真のように葉を採集しました。葉が1枚から数枚のもの,さらに枝そのままのもの(頂芽を切除しておく)を,各種準備しました。これらの葉に,下部の節が付いた状態にしておきます。 ポイントは,蕾から開花前までのもので,充実して伸び切った葉・枝を使うこと。


加工した葉・茎を植え,十分灌水しておきました。このあと,強い日差しを避けるために遮光シートで覆いました。 


結果はすでにわかっています。ストロンが出てこないものの,地中の節にある腋芽が発達してきます。ストロンの先の塊茎とそっくりに肥大化! 葉が光合成によってデンプンをどんどん製造するものの,植物体が大きくなる方には回されず,それを腋芽の成長に費やすほかないのです。地中であっても,そこに根が生じることはありません。

こういう実験観察を裏付けにしながら,ジャガイモの特性について学ぶ意味は大きいでしょう。ことば先行型で「ジャガイモは茎,サツマイモは根」なんて覚えるだけでは頭でっかちになるだけです。親子で試すことは大いに値打ちがあります。プランターでOKです。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その310)

2014-05-30 | ジャコウアゲハ

めったに目撃することはありませんが,幼虫が思わず落下しそうになることがあります。

下写真の例がそれです。ところが,絹糸でちゃんとからだをつなぎとめています。幼虫が歩いているところをようく観察していると,絹糸を出している場合があります。いつもそうなのか,それはあまりにも小さな世界なので,はっきりとはわかりません。

 
ともかく,落ちそうになることは自然界ではいくらでもありうることです。となると,草むらでそんな事態に遭遇したら,個体は元の食草に戻る保証はありません。戻れなければ,いのちを失うだけです。

そういう非常事態に備えてか,絹糸を吐きながら命綱と心得て歩いているのではないでしょうか。

ずっと以前にもよく似た例を報告しました。この後どうなるか見ていると,あらあら,元の位置に戻っていくのです。くにゃくにゃしながら命綱を手繰り寄せ,がんばって上がっていきました。

つい先日も,アゲハ棲息保護区域で見かけました。コンデジで撮影したものなので,ピントは甘いのですが,資料として貴重なので載せておきます。


 

それらはふしぎな,そして当たり前すぎる風景です。

 


排泄と食餌

2014-05-29 | ベニシジミ

葉の上に,ベニシジミの幼虫が落としたウンコがかたまってありました。水分があって光っているのは,排泄後間もないことを物語っています。どんどんウンコをする,といった印象です。


近くの葉に,小さなウンコがたくさん落ちているので,「きっとこれの幼虫が落としたものだ」と思って探すと,すぐ上に本人ならぬ,本虫がいました。保護色のために,パッとは目につきません。撮影していると,肛門からウンコが一粒ポロリ。


食餌行動で口の動きを見るのは容易ではありません。頭部がフードを被ったかたちになるので,なかなか観察できないのです。下写真の頭は,よく見えた方です。


大抵の場合,前脚で葉を挟み,口に引き寄せます。


結果,葉がフードに覆われて,口器がまったく見えなくなります。


こうしたかたちをしているのは,警戒心が強い現われなのかもしれません。

このように,排泄と食餌は,生きものならではの暮らしぶりを教えてくれます。

 

 


寄生バチ“アオムシコマユバチ”

2014-05-29 | 昆虫

アゲハの庭園に,ハボタンがそのまま残っていて,そこでモンシロチョウの幼虫“アオムシ”が数匹育っています。庭園はあくまで生きものが育つことを旨として管理しているものですから,わたしはアオムシだってあるがままに,なるがままに放置しています。

そのアオムシに寄生バチであるアオムシコマユバチの繭がどっさり。1~3齢期に体内に産み付けられ,そこで成長した幼虫が終齢幼虫から出てきて黄色の繭を作ったものです。


それを見かけてから数日後の話。アオムシはすでになくなっていました。そして偶然,その繭に羽化したばかりの成虫が一匹いたのです。アオムシコマユバチです。体長3mm。誕生して時間が経っていないとみえて,そこを飛び去ろうとする気配はありませんでした。それで,撮ったのが下写真です。たぶん,これが誕生第一号でしょう。ただ,どの繭から出てきたものか定かではありませんでした。


コマユバチを見た同じ日のこと。アオムシがウマノスズクサの葉にいて,じっとしているのを見かけました。そんなところにいるわけがないのに,ふしぎでしかたありませんでした。

このことがあった翌朝の話です。アオムシを見ると,同じ葉にいましたが,すっかり様子が変わり果てていました。というのは,前日はアオムシだけだったのに,たった一日で繭だらけのからだに変わっていたのです。そして,アオムシのからだはすっかり弱々しくなっていました。


この風景もまた,ふしぎなものに思えました。それで,くっきりと目に焼き付けられました。

アオムシは天敵に食される例が目立ちます。小さいものではコマユバチやクモ,カメムシ,大きいものになるとハチやスズメなど。それに加えて,転落死など非生物的要因による死もあります。香川県で調べられた少し古い例ですが,4月世代では卵~羽化の間に91.6%の個体が死んだという記録があります。

それにつけても,このほど見かけた一連の風景は派手で,容赦のない世界に見えてきます。

 


ベニシジミの幼虫いくつも

2014-05-28 | ベニシジミ

いつものウォーキング道。田植えが進む水田に沿って,ずっと向こうまで真っ直ぐに続いています。その道端は草が刈られたり,刈られていなかったり。草はすぐに成長するので,刈られていても10cm程度にはなっています。

歩いていて,ふと,スイバとギシギシが目に入りました。そして「ベニシジミのことを忘れていたなあ」と思い出しました。この辺りは春先,ベニシジミをよく見かけたところ。いずれ,食草であるスイバとギシギシにいるベニシジミの幼虫を探してみようと思ったのでした。たくさん成虫がいたのだから,たぶん,苦労しなくても見つかるだろうという予感がありました。

探すめあては食痕の有無です。円に近いごく小さな穴がぽっかり開いた葉がたくさんありました。裏にいたのはハバチ(オオコシアカハバチ)の幼虫でした。あちこちで見つかりました。

ベニシジミの食痕は,カタバミを食するヤマトシジミの例から想像すれば,表皮が残っていたり,かたちがもっと大きく大胆であったりする筈。そんな根拠を頼りに探すと,ちゃんと見つかりました。体長が18mm。終齢幼虫でしょう。


葉とそっくりな保護色をしているので,ちょっと見つかりにくいだけで,目が慣れると,複数見つかりました。小さい幼虫もいます。タイミングよくウンコをしました。 

 
別の株で,大きな幼虫がまた見つかりました。


それにしても,葉の色となんと似ていることでしょう。 


削るようにして葉を食べるので,葉裏の薄皮(表皮)が残ります。この食痕こそ,ベニシジミの存在を示すものなのです。


幼虫を持ち帰って,スイバにのせて観察することにしました。これだけの個体があれば,羽化までの変化を見届けることができるでしょう。 

 


3齢幼虫の誕生

2014-05-28 | アゲハ(ナミアゲハ)

余程チャンスに恵まれないと,自然界で脱皮中の姿を見るとか,脱皮直後の姿を目撃するといった経験はできません。それだけ幼虫の数が少ないということになりそうです。

飼育をとおしてそういう場面を見るのは,そう困難なわけではありません。脱皮の前に,準備のために静止している時間が長く続くので,予測可能だからです。

ところで,先日はスダチの葉を観察していて,アゲハの3齢幼虫が誕生した直後を目撃しました。めったに見られない場面なので,枝を折って,その後の行動を撮影することにしました。その様子をご紹介しましょう。

頭部を見ると,薄い褐色です。脱皮直後という印象が伝わってきます。

 


脱皮し終えた位置でじっとして,活動を待ちます。 


やがてからだを反転させ,脱いだ皮に向かいました。 


皮を食べるという遺伝情報がどこに,どう組み込まれているのかわかりませんが,とにかく,ボリボリ,バリバリ食べていきました。 


皮の一かけらも残さずに食べ終わりました。そうして,またからだを元の位置に戻して静止。 

 
基本的な流れにぴったり合ったかたちで,一連の動きが流れていきました。「なんと基本に忠実なことか!」と,びっくりしてしまうほどです。 

こういう変化が,幼虫の数だけ,繰り返して起こっているふしぎを感じます。そのふしぎがわたしたち人間の想像が及ばない世界に広がっているのに,気づかない現実を勿体なく感じます。まことに身近な世界なのに!

 


ジャコウアゲハ観察記(その309)

2014-05-27 | ジャコウアゲハ

ジャコウアゲハの産卵場所は幼虫の食草ウマノスズクサです。ところが,竹や植木鉢,レモンの葉など,そのほかのたくさんのものにも産卵している例があります。このことはすでに書いています。

食草以外に産卵するのは,じつはまったくの偶然に過ぎません。産卵姿勢に不都合が生じたか,まちがった感知によるか,です。事実,わざわざ竹林を訪れて産卵するとか,植木鉢を置いているところに産卵するとか,あるいはレモンの木に盛んに産卵するとか,そんなことはないわけです。

ウマノスズクサの株があるすぐ脇にあるものに,たまたま産み付ける偶発的な事態が生じただけの話です。

この解釈の妥当性を示す例がまたひとつ見つかりました。この例とは,カタバミの葉の裏側に産卵しているというものです。 

 
ウマノスズクサを植えた植木鉢にカタバミが生えてきているので,除草していると,偶然これが見つかったのです。ウマノスズクサの根元にあるために,産卵孔がこの葉に触れて,産卵が促されたのでしょう。

こういう例に出会うと,観察の注意深さがいよいよ必要だなと思えてきます。