自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

わたしにとっての,今年という年

2014-12-31 | 随想

今年という年が間もなく終わります。振り返ればいろいろありました。 いろいろやりました。生活の充実度はそれなりに高い方かなと思います。そうでなくては,支えてもらった家族にも申し訳ありません。

今の年齢に達すると,いい加減な過ごし方をするのはとても勿体ないことだと思います。何事においても自分が生きている証しを感じられる時間をもつ,自分の関心事に精一杯目を向けてそれを深めていく,地域で過ごしているのだから地域にかかわっていく,そんなことを考えてしまいます。

なかでも,昆虫のいのちに目を向けることはほんとうにたのしいことだと実感しています。今年の収穫はたくさん! アカタテハやルリタテハの卵と出合い,孵化を撮影できたのは,もう最高だったなあと思っています。場面をあげるとキリがないぐらい,驚きの出合いが重なってきました。


虫の目レンズをかなり使った実感があります。偶然の構図に出合って,特ダネレベルの画像をものにできたことが何度か。自然とかいのちとか,いろいろ思うことがありますが,やはり生きているというスゴサ,小宇宙のダイナミックさ,そんな人智を超えた世界を垣間見ては圧倒され続けてきました。

それらの一部を,写真展でご紹介できたこともこころに残ります。四回開催しました(四回目は1月8日まで開催中)。来年2月には,次の写真展が控えています。タイトルは『早春。昆虫の小宇宙』。


そうそう,ジャガイモの実生種子の播種観察も大きな取組でした。研究者のほかはほとんどやらないと思われる試みです。それを個人レベルで,内容はあいまいさを残したものの,やれたというのはでっかい成果でした。本ブログでも一部を報告しました。ついで話ですが,来春,誌上で報告する場をいただき,この程原稿をまとめ終えました。読む人にとって,大きな刺激になればいいなと願っています。

あれやこれやがあって,夢中になって駆け抜けた一年でした。改めて,健康であること,家族の理解・支えがあることに,深謝。

(注) 写真は,それぞれ本日現在のマンサク及びロウバイ(我が家の前栽で撮影)。

 


厳冬,クロヒラタアブの蛹

2014-12-30 | ヒラタアブ

ささやかな観察事実を一つ。

クロヒラタアブの越冬態は幼虫やら蛹やら,はたまた成虫やらいろいろです。蛹は,身近なところだと,キクやホトケノザの茎や葉,あるいはその近くで見つかります。それらの植物には幼虫の食餌対象であるアブラムシがたくさん発生するからです。

このほど,たまたまブロック塀に張り付いたツタに,蛹が付いているのを発見。ここはカラスノエンドウやスミレが小群落を形成している近くです。もちろん,そこにはアブラムシがたくさんいたのです。それを食べて成長し,ここに移動してきているというわけです。


そういえば,過日,ここでホソヒラタアブの幼虫を見かけて,本ブログ記事でも取り上げていました。クロヒラタアブとは種類こそ異なりますが,これで,蛹と幼虫とがとつながって見えてきました。

うれしいことに,近くを探してみるとさらに2個体見つかったのです。この分だと,もっと見つかるかもしれません。


ここにヒラタアブたちが産卵して,こうして無事に成長できる環境があるのはほんとうにすてきな話です。自宅脇で自然のささやかな息吹きが感じられるのは,ありがたいものです。 

 


歩いていた寄生バチ

2014-12-29 | 昆虫

我が家の玄関で,小さな小さなハチが歩いているのに気づきました。「こんなに寒いのに,大したハチだ」とびっくり。

せっかくなので,それを捕獲して写真に撮ることに。体型を見ると,いかにも寄生バチのようです。産卵管が伸びているので,メスとわかります。ヒメバチ,あるいはコマユバチのなかまではでないでしょうか。


こういう小さな昆虫は,わたしには到底同定できません。 

 
小さくても,りっぱなからだを持っています。翅も,脚も,複眼も,それに単眼も。

 
単眼は三個。複眼と併せた眼のしくみが成り立っているようで,単眼はどうやら光を感知する役目を担っているようです。このからだが昆虫一般のしくみを高度に備えているとは,やはり驚きです。 

 


雪の朝の昆虫

2014-12-28 | 昆虫

先日の話。その日は薄っすら雪が降り積もりました。朝,窓越しに景色を見ると,いかにも寒々としていました。最低気温-2.7℃,最高気温3.9℃。

さっそく外に出て,観察中の昆虫を撮影。

ツマグロヒョウモン(?)の蛹のすぐ脇に雪がちょこっと積もっていました。 


ツマグロヒョウモンのからだには,雪が付いていました。生き抜くには厳しい環境条件にちがいありませんが,水滴が凍り付く状態よりはまだマシかなと思います。

 


これら二つのいのちを,周りの環境も入れて撮ると下写真になります。 しばらく時間が経ってからの様子です。

 


ナナホシテントウムシの蛹にも,雪がほんのすこし。

 


この寒さにやられて,いのちを絶つ個体もいるでしょう。

話は変わりますが,つい先日,ホタルの養殖をしている方と話していると,こんなことばが出てきました。「ホタルが卵を100個産むとすると,養殖では,そのうち8個が無事に親になる程度なんです」と。 自然界ではもっとすくないとわたしは思いますが,とにかく激減するのは確かです。

寒さに耐えて,ツマグロヒョウモンが分布域を広げているのはそれなりの耐寒性を持っているからでしょう。それにしても,変温動物といいながらも大した生態の持ち主です。 

 


キリモミ式発火と子どもたち

2014-12-28 | 随想

わたしの“遊び心”は,子らが秘めた“活動欲” とよく似ているのかもしれません。この活動欲に火を灯そうと試みると,意外に子どもが乗ってくるので,ついつい同じ目線で遊んでしまうといった面があります。

今,この遊び心が高じて子ども探検隊を組織(?)し,子どもに群れさせ,野外でのびのび活動させられないか,可能路を探っているところです。

さて,さて。「キリモミ式で火を起こしたい!」。そんな活動欲を受けて,アシストすることに。火起こしの世界はわたしの守備範囲内。「どんと来い!」の気持ちで,子らの好奇心を支えてみようと思いました。 

活動日にやって来たのは5人。学年は3年(4人)と5年(1人)。そのうち経験者はTさん(3年)だけ。今夏,青少年のための科学の祭典で体験しました。この状況では,発火はかなり厳しいのではないかと思っていました。5年生ぐらいなら,初めての体験でも共同作業で発火させることができるでしょうが……。それで,摩擦によって煙が出たら合格にすると伝えました。

経過は以下のようにたどっていきました。

  1. 火種ができたときを想定して,材料各種(麻,モグサ)を整えておく。
  2. ヒキリ板(杉材)の溝と臼について説明する。
  3. マイギリ式で炎にする手順を示す。
  4. キリモミ式について,1人で練習する。
  5. 2人あるいは3人一組で,臼を作り,そこにヒキリ棒を立てて回転練習をする。
  6. 組で,ヒキリ棒が途切れることなく滑らかに回転するように練習する。
  7. 組で,煙が出るまでやってみる(あるいは,火種ができるまで)。 
  8. うまくいけば炎にまでする。

下写真は練習風景です。 


慣れてくると,組をつくってやります。ヒキリ棒が板から外れることが度々。それでも,すこしずつ上達してきます。 

上手になってきても,なかなか煙が出るまでにはいきません。理由は,下向きの力が弱いこと,交替する際にさっと入れ替われないこと,などが挙げられます。それで,力の加え方と交替時の素早い入れ替わりについて手ほどきをしました。


そのうちに煙が出始めました。しかし,モクモクといった感じではなく,頼りない程度です。途中,わたしも加わり,煙がしっかり出るまでにして見守りました。子らは必死になりました。しんどくても,力の限りを尽くしました。

すると,溜まった墨から煙がジワーッと上がりかけたのです。火種ができた証拠です。これが種火となって炎に。もう一組はこれ以上に悪戦苦闘した末に,ついに成功したのです。 


子どもたちにわたしが感心したのは,諦めない強さがそこに見えたことです。今回,3年生でもできるという事実を手にすることができました。この活動に要した時間はほんの1時間。火起こし体験は,まちがいなく活動欲に火を灯し,充足感を満喫できる醍醐味を秘めています。 

次回は来年早々。森の探検に出かけます。準備物について話し合っていると,Tさんが「袋がいるなあ。何かが見つかったら入れなくちゃ」といいました。気持ちが乗っています。子どもの発想を下地にして活動を仕組み,アドバイザーの目線で仕掛けることにしています。

 


キタキチョウ,冬眠中

2014-12-27 | 昆虫

冬を成虫で越すチョウは,安心・安全な場所を見つけて眠りについていることでしょう。

先日,仕事場でプランターにパンジーを植えようとして,土の入れ替え作業をしているときのこと。出して積み上げた土にキタキチョウがとまっているのが目にとまりました。吸水にでもきたのかなと思って近づきました。口吻が伸びていません。じっとしたまま。指で軽く触れてみました。しかし,反応はありません。眠っているのです。


その証拠に,まったく動かないのです。


たぶん,プランターの縁にでもいたのが,わたしがひっくり返したのでたまたま現れたのでしょう。土の下敷きにならなくて一安心。

写真を撮っていると,そこに親子連れが一組来られました。興味深そうに「何かいるんですか」と聞かれたので,チョウのことを話しました。すると,「親で冬を越すんですか。知らなかった」とおっしゃって,じっと見ておられました。


その後,近くの植え込みに持っていって,置いておきました。「こういうところで春までじっと眠りについているんですね」と説明すると,びっくりしてお子さんに「春まで寝ているんだよ。スゴイね」といわれました。子どもさんは保育園児。「お腹が空かないのかなあ」と返したのでした。

 


初冬のナナホシテントウ(続)

2014-12-26 | 昆虫

ちょっと前まで,更地に生えているカラスノエンドウに,ナナホシテントウの幼虫がかなり見られました。

近頃の寒さでは,このまま越冬するのはたいへんだろうなと思っていたら,幼虫たちが蛹化し始めました。一目でわかる場所はブロック塀です。


日当たりや風向きなどの環境を感じて,そこで蛹になったのでしょうか。生きていくには,そうした感知能力も備えなくてはならないはず。ここは南に面しています。 

 
これを見つけたあと,塀の他の箇所でも蛹をたくさん見つかりました。同じ時期に,同じようにして成長してきたいのちなのです。

冬のナナホシテントウといえば,成虫が集団で越冬する姿が印象的です。このことから考えると,これらの個体から間もなく成虫が誕生するということでしょうか。目を向けておきましょう。寒い中,いのちは確実に脈打っています。寒さに耐え,春の暖かさを待ついのちを前にすると,わたしもこころがピンとします。 

 


冬,現れたハチの行動

2014-12-25 | ホトケノザ

庭のホトケノザを見ていると,突然大きめのハチが現れました。体長15mmといったところです。産卵管をもった立派な姿をしています。それが忙しなく葉の間を動いたり,脇のコンクリート壁の隙間に入ったり,はたまた犬走りを歩いたりするのです。 

名は今のところ未同定。暖かめの日だったので,体温を上げるために日だまりに現れたか,獲物を探しているか,産卵場所を探しているか,そんなところでしょうか。

 
その翌日は寒い朝を迎えました。同じ場所で偶然見かけたのがこのハチ。寒いので,葉の上でじっとしていました。というより,動けないのです。それで,慌てることなく写真に収めることができました。

 
しっかりした触覚の持ち主です。根元は,方向をしっかり決めるためか,頑丈にできているようです。複眼は頭部を相当に占めています。単眼が三つはっきり確認できます。


冬に姿を現したのは,観察者としてはうれしい話。ほんとうはなにを考え,なにをしようとしているのか,そうしたことが観察をとおしてすこしでも見えてきたら,スゴイのですが。 

 


タテハチョウのなかま,冬季の蛹

2014-12-24 | 昆虫

我が家の隣りにある更地は,とにかく昆虫との出合いが途切れない場になっています。

先日のこと。ブロック塀を見ていると,ツマグロヒョウモンの幼虫が寒さに耐えてじっとしている中,蛹が一つポツンとぶら下がっているのに気づきました。腹端を塀にくっ付けた垂蛹です。これにはびっくり。


正面から撮ると……。


いったい何チョウの蛹かなと思いました。金属光沢を放つ斑紋はタテハ類の特徴です。この更地で幼虫がいくつも越冬中のツマグロヒョウモンかなとも思うのですが,このチョウはあくまで幼虫越冬とされています。もしかすると,早々と蛹化したものの,寒さのせいで羽化に至らないままこの状態にあるのかもしれません。もしツマグロヒョウモンでなければ,正体は何なのでしょう。

生きているか,一応確認しておこうと思い,軽く指でつまんでみました。すると,ピクンと動きました。


春の羽化時まで目が離せません。

 


年末に出合ったヒラタアブ二種

2014-12-23 | ヒラタアブ

12月23日(火)。最低気温0.5℃,最高気温11.1℃。冬にしては風がなく,穏やかな一日となりました。

前栽やらアゲハの庭園やらの手入れをしながら,空き地に生えたホトケノザをぼんやり見ていたときのこと。そこにクロヒラタアブが来ていたとは! 携帯しているコンデジで撮ったのが下写真。 


アブはわたしを警戒することもなく,しばしそこにいて,やがて歩いて葉の下に移動しました。どうやら産卵場所を探している様子です。しかし,見ている間に産卵行動は目撃できませんでした。 

 
アブは別のところに移っていきました。その場所にもう一匹いました。そこにはナナホシテントウもいたので,「アブラムシがいるんだな。これは間違いなく産卵しようとする行動だ」と直感。

アブが去ったあと卵を探しましたが,結局確認できませんでした。それでも葉の裏側にクロヒラタアブの幼虫がいたのでびっくり。それも,二匹! もちろん,アブラムシがぎっしりいました。


大きい方の幼虫はアブラムシを食している最中でした。


同じ茎に付いた近くの葉で,卵の殻が三つ見つかりました。 


ふしぎなことに,ホソヒラタアブもやって来ました。わたしが近づいても,動きは鈍い感じでした。 それで,ゆっくり写真に収めることができました。

 
よくよく見ていくうちに,ホトケノザの茎にクロヒラタアブの蛹が一つ付いているのが目に留まりました。


今日の観察から,ヒラタアブたちは卵・幼虫・蛹・成虫のいずれでも越冬できるといえそうです。ちなみに,今年の1月から2月にかけた厳寒期,マンサクとロウバイの花で成虫を見かけました。環境への適応力が大きいことが窺えます。