自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

Yさんのこと

2013-12-31 | 随想

学校支援ボランティアの“活用”,人材の“活用”といういい方をする人があります。それがふつうのようです。でも,その“ふつう”を気にしておきたいと思います。わたしは使う気にはなれません。その理由はいずれ書くことにします。

ことばはともかくとして,地域の人の助けなり応援なりを得て(いただいて),学校づくりをしなくてはならない時代に入っています。というより,助けが不可欠なのです。ただ,学校本位の目で“活用”するといった次元で助けを求めるのは禁物。それはまことに軽率な話です。

軽率さに気づいて学校が地域と一体となり,地域本位・子ども本位の発想に軸を移さない限り,学校の未来には期待が持てない,というのがわたしの変わらぬ見方でした。今もそうです。なぜなら,学校本位の発想では一定の心理的垣根が相変わらず存在し続けるでしょうから。結果,真の信頼関係が築けないと思われるからです。

今のままでは,わたしの描く像に遠く及ばないでしょう。社会の常識が学校の常識に変わる本流がほしいのに,学校内部からそれをつくり出す萌芽が見えてきません。悲しいですね。地域で暮らしていると,関係者には申し訳ありませんが,自覚とスペード感が欠けているようにしか思えません。

現職校長時代,わたしが地域の方に期待した手助けは,子どもの学校生活,教育活動,学校運営へのきめ細かな援助でした。やがて自分なりの段取りがうまくいったようで,ある程度,そして徐々に実を結んでいきました。

一つめの勤務校では当時めずらしかった教室学習支援,校外学習支援,図書室運営,クラブ活動指導などボランティア活動の面で改革が進みました。立ち上げ時こそ苦労しましたが,すこしずつ地域の理解が広まりました。それが教職員の意識を変えるきっかけになり,学校の垣根を低くする流れにつながったのでした。

 

二つめの学校でボランティアとしてお世話になった方がYさんです。山間部に位置する学校でした。わたしがボランティアを探して谷あいを歩いているとき,声を掛け知り合った方です。その後の手助けでは子どもの登下校の見守り,学校施設の手入れ,学習活動への参加などで,献身的に汗を流してくださいました。子どもたちに溶け込んで,笑顔で声掛けをしていらっしゃる姿が脳裏に焼き付いています。

 

ありたがいことに,その後,当時描いたデザインが元になって学校と地域との連携が深まっていると聞いています。Yさんの姿が目に浮かぶようです。

ところが年末に,そのYさんのご家族から喪中葉書を頂戴したのです。なんともショックでした。転勤後,ご自宅を数回お訪ねしましたが,そのときはお元気そうだったのに。突然の訃報に目を疑ってしまいました。さっそくお訪ねして,奥様とご長男から,死の直前のご様子,またわたしとの出会いの話などについて,お伺いできました。一つひとつが刺激的な内容でした。会話を通して,わたしが求めていた学校づくりが全うであったことを改めて確認できた思いがしました。

Yさんはわたしの目指す学校づくりのよき理解者で,学校を“地域化”するのに汗を流されました。その汗で,職員の意識が徐々に変わってきたのですから,真の貢献者であり“人財”であったのです。職員が持つ,一種頑固な“おらが学校”意識に風穴を開けていただいたことに感謝しています。

わたしの中のYさんは,未来の学校をつくる礎の役を演じ続けてくださいました。見事な助っ人であり,支援者でもありました。ご冥福をお祈り申し上げます。合掌。 

 


今,クロアゲハの幼虫(続々々)

2013-12-31 | クロアゲハ

12月28日(土)午後11時34分。脱皮近しと予感してから,なんと12時間が経ってようやく脱皮が始まりました。皮が尾端方向に送られていきます。どんな仕掛けが備わっていて,こうなるのか,ほんとうにふしぎな程です。

 

午後11時47分。からだが伸びて,胸脚が後ろに移動していきます。体節間には空気の層ができて,皮が白く見えます。表皮の薄さが感じられます。 

 

午後11時54分。頭部が現れました。胸脚と胸脚の間がこんなに広がっています。スゴイ,スゴイ。 

 

12月29日(日)午前0時01分。触覚,口吻,翅がはっきり見えてきました。皮はからだの中央付近まで脱がれています。

 

午前0時04分。ほぼ脱皮を終えました。

 

午前0時08分。しばらく動いて,皮を完全に脱ぎ終えようとしていました。

 

午前0時15分。皮がからだから離れました。無事に脱皮が完了! 

 

12月29日(日)午前7時04分。 翅が大きくなっています。腹部が引き締まってきました。

 

触覚のうち片方がからだから離れています。トラブルが生じたようです。結局この触覚は,この位置のままで固まっていきました。 

 

夏だと3分程度で脱皮を終えるのですが,今回は15分はかかりました。変化の遅さは5倍程度でしょうか。すべての変化が,寒さの影響で遅めです。気候の影響は成長にとって大きな要因であることが理解できます。 

 


ジャガイモの種子,予備的発芽実験の試み(その上その上)

2013-12-30 | ジャガイモ

12月27日(金)。

ポット植えのジャガイモの様子を書いておきます。播種後一つ目の発芽を確認してから,ほぼ4カ月が経ちました。冬に入って,成長が鈍くなってきました。イモは確実に太ってきた感じです。

ふつうストロンの先が地中にあってイモが形成されるために,イモの表面は白っぽくなります。ポット植えの場合は,ストロンが地上から出始めます。それをなるがままにしておいたので,イモが地表に出たまま形成されたものがかなりあります。それらには光が当たり,緑色を呈しています。結果,「イモは茎なんだなあ」と納得できます。 

 

発芽第一号。イモが一回り大きくなりました。 

 

意図的に地中に埋めた腋芽も,膨らみかけています。 

 

細い茎であれ,茎に似合わず大きく育った葉でデンプンがつくられ,それが塊茎に運ばれたのです。 3個のイモが順調に育ち,行儀よく並んでいます。

 

ストロンを通して,デンプンの成分が塊茎に運ばれたのです。イモにはストロンが,まるでヘソの緒のように付いています。

 

このまま順調に育つと,生育期間はどのくらいまで伸びるのでしょうか。春まで? 夏まで? わたしたちの地方では,2月から3月にかけて種イモを植えます。つまり,2~3月までこの状態が続けば,夏まで育ち続けるのかもしれません。

そんなわからなさを抱きながら,今回の予備的発芽実験については来年早々終結させる予定です。その時点で,結果をまとめようと思っています。 

 


今年はレモンの生り年

2013-12-29 | 随想

“生り年”ということで,ずっと以前,カキやレモンのことを記事として取り上げました。たしかにとくべつに実りがよい年があるようで,今年はレモンがずいぶん生りました。高さがほんの2mの木に300個近くも!

 

 

ほとんどが高さ1mまでのところにかたまったように生っていました。ふしぎなものです。

霜が降りると実の内部に影響が出るので,年内に収穫を終えました。並べると,すごいなあという感じがしました。 

 

知人にどっさり配りました。自然からの贈り物をおすそ分けする気持ちで届けたのです。喜んでいただけたのは何よりです。

今年,レモンの木はこれだけもの実をプレゼントしてくれました。2月にはお礼に寒肥をプレゼントしなくてはと思っています。感謝,感謝。 

 


今,クロアゲハの幼虫(続々)

2013-12-29 | クロアゲハ

12月28日(土)。朝のこと。体色が薄くなってきました。蛹化が近づいてきたと思われます。飼育箱から出して,鉢皿に置いて撮影しました。体表には皺がたくさんできています。写真では白い線がたくさん見えますが,それがそうです。皮を脱ぐ準備がゆっくり進んでいるようです。ただ,通常の蛹化直前に見られる動きはまったく確認できません。

 

夕刻になって,動きがすこし見えます。全身を絞るような,見慣れた動きです。頭部から,からだの後ろに向かって筋肉の弛緩運動がかすかに伝わっていきます。これで果たして脱皮できるのだろうかと疑いたくなる程の頼りなさです。

からだの表面には,皺がずいぶん増えました。まるでヒビ割れしているような感じです。

 

夜遅くなって,動きがそれなりに激しくなり始めました。いよいよ脱皮だなと思われる動きです。目が離せません。

近くにいた妻がいいました。「こんなに寒い冬に,脱皮なんてするの?」と。たしかに,そんなふしぎが浮かびます。でも,これが事実なのです。いのちのドラマが展開していきます。

 


ジャガイモの種子,予備的発芽実験の試み(その上)

2013-12-28 | ジャガイモ

12月27日(金)。植木鉢のジャガイモは,寒くなるにつれて勢いがなくなってきました。葉が褐色に変わってきたものがあります。


以前,元気に成長しているとき,茎に土を被せました。それによって倒れた茎が地中に埋もれたものが相当数あります。結果,腋芽も土に埋まりました。そのことによって,腋芽にも養分が蓄積され,イモになっているのではないかと予想しています。つまり,茎の途中にイモができているというわけです。それを確認する日が近づいてきました。たのしみです。

植木鉢のジャガイモの育ちを見ていて,目に付いたのが下写真の茎です。背が低いのですが,茎が赤みを帯びて,膨らみかけています。腋芽もまたそうです。葉が枯れ始めているのでこれ以上の変化はないでしょうが,茎そのものが太るというおもしろい現象です。

 

鉢には,ジャガイモが密生しています。掘り上げたら,どんなふうに変化に富んだ生態が見えてくるか,それもたのしみです。 

 


“花と実(タネ)”とジャガイモとわたし,よもやま話(7) 

2013-12-27 | 随想

その4。サボテンの実生発芽実験。

花と実との関係について考えているとき,いくつか気掛かりな植物がありました。その一つがサボテンです。サボテンは栄養生殖による繁殖戦略に長けた植物で,親の周りにミニサボテン,つまり子どもを次々につくって殖えていきます。その様子は,花を必要としていないかのようです。なのに,花が確かに咲きます。

これは無駄花なのでしょうか。そんな筈がないというのが,わたしの追求の始まりでした。今でははっきり理解し納得しているのですが,事実がよく見えていない当時のわたしにはまことにふしぎでした。

他の人はどうなのでしょうか。その頃のわたしの認識と似て,サボテンに花が咲くという事実を知っていても,種子ができて,その種子からだって栽培できると断言できる人は,今も多くないはず。サボテン愛好家は別です。

追求は公立図書館での文献調べから開始です。しばらくしてある程度はわかってきました。ちょうどその頃出合ったのが下写真の『サボテンの実生』(奥一著/鶴書房刊,初版 1961年)でした。どのようにしてこの本に巡り合ったのか,今となっては定かではありません。書店の植物コーナーで偶然見かけた可能性がいちばん強いように思います。そうなら奇遇としかいいようがありません。本の内容にはたまげました。なにしろ,サボテンの実生栽培に徹底してこだわった解説書ですから。お蔭で,わたしの初歩的な疑問はことごとく氷解していきました。惜しいことに,今は絶版になっているようです。

この本には,付録としてサボテンの種子進呈券が付いていました。もちろん,それを著者の奥さんに送って,種子をいただきました。

 

本の内容も刺激的なのですが,表紙カバーの写真もまたそうです。実から種子がこぼれ落ちている様子をとらえたものです。これにははっきりいってショックを受けました。そして,「そうか! 花後に,そんなふうに種子ができるのか!」と納得できたのでした。

文献探しを通して結構役立つ材料が手に入りました。今のように情報がどっさり入る時代とは雲泥の差がありますが,十分に満足できました。たとえば,サボテンが林立している乾燥地帯(原生地)では,鳥が受粉を仲立ちしているとか,サボテンに穴を開けて棲み処にしているとか,そのような話題はわたしの追求心を満たしてくれたのです。

 


今,クロアゲハの幼虫(続)

2013-12-26 | クロアゲハ

12月24日(月)。幼虫は三匹とも, 水入り容器に差したスダチの葉で元気そうです。葉を食べる音が,バリバリと聞こえていました。

三匹のうちの一個体が,葉の裏面で前蛹になりました。尾端はふつうにしっかり固定されているようです。帯糸はなんだか頼りなさそうで,口の辺りで目視できるだけです。

 

 

頭部を下向きにして前蛹になっているのは珍しい光景です。変化はゆっくり進みますから,蛹になるのに2,3日はかかるでしょう。

 

12月26日(木)。どうしたのか,前蛹の個体が飼育箱の底に落下しています。尾端と帯糸の双方になにか負荷がかかったのでしょう。ここでも蛹化はできますが,問題はスムーズにいくかどうかです。

 

前蛹期間はこれで3日が経過しました。暖かい季節なら丸1日で蛹になります。冬季は成長具合が鈍るというものの,じつに遅々としています。

 


今,アゲハの幼虫は……(続々)

2013-12-25 | アゲハ(ナミアゲハ)

12月24日(火)。深夜に幼虫を見ると,からだ全体が青みがかった緑色をしていました。脱皮間近と予感。

12月25日(水)。朝の最低気温(外気温)0.9℃。早朝見ると,脱皮を終えていました。記念すべき“クリスマス脱皮”です。脱皮後すこし時間が経ったようで,頭をやや持ち上げた姿勢でじっとしていました。脱いだ皮はからだの後ろに,頭の殻は前方にありました。体長2cm。戸外の葉にいても無事に脱皮できるのでしょうか。わたしには,外気温が災いして成長に大きな影響を及ぶようにしか思えないのですが。

 

 

夜見ても,顕著な変化は見られません。頭部の色がかたまって来た感じがします。脱いだ皮はそのまま。夏季ならすぐに食べ始めるのですが。

 

この終齢幼虫が蛹化するのはいつ頃になるのか,観察を続けてみます。 

12月23日(月)に一足先に蛹化した個体は,時間が経過し,体色が濃くなっています。腹部の黄色が消え,黄緑色を呈しています。下写真は25日(水)の朝撮影したものです。

 


今,アゲハの幼虫は……(続)

2013-12-24 | アゲハ(ナミアゲハ)

12月23日(月)。快晴。今朝の最低気温は-1.6℃。

前回取り上げた個体に変化が出てきました。

まず4齢幼虫について。葉の表側で,じっとして動きません。加えて寒いので,まるでいのち絶えたような状態に見えます。これは終齢幼虫を間近に控えているためかと思われます。これからの成り行きを気にしておこうと思います。

 

 

次の終齢幼虫について。前回ご紹介した葉で,数日間静止したままでした。それも,からだを横たえたままで。これはもうダメかなと思って,軽く指で触れてみました。しかし,一向に動く気配がありません。この個体こそ寒さのためにいのちが絶えたとしか思えないような感じがしました。

その個体が,今朝,蛹化していたのです。ということは,昨日までじっとしていたのは前蛹の状態だったことによるようです。変化がゆっくり進んでいくので,きちんとした確認ができなかったのです。

 

 

反対側から撮ると,脱ぎ捨てた皮がからだの横にちょこんと置かれているのがよくわかります。

 

 

個体は,帯糸でからだを支えることなく葉の表面で皮を脱いで,やはりからだを横たえたままです。体長は2.8cm。なんとか蛹にたどり着いたといった感じです。いのちの存続にとって,冬はやはり厳しいのでしょう。指を触れると,軟らかい体表をピクンと動かしました。