自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

'24秋 虫の目レンズは友 ~ハラビロカマキリ~

2024-09-30 | 昆虫

近頃,前栽の木の剪定をしています。伸び放題だった草木がすこしずつ形を整えて,前栽らしさが復活といったところです。

おもしろいことに,作業中いくつかの昆虫に出会いました。これが意外なたのしさでもあります。この日はハラビロカマキリ3匹,オオカマキリ1匹と出会いました。このうちハラビロカマキリはどこからか飛んできて目の前に降りたのです。おもしろい!

下写真はハラビロカマキリのメスです。

 

逃げるときは速足でさっさと移動しますが,両前脚を上げる,このお得意のポーズをとって静止することがあります。こちらを威嚇しているにちがいありません。このカマキリの特徴でもあります。

 

近くにレンズを持っていくと乗り移ってくることが度々。前が見えているんだなあと感じます。

 

出会いはたのしいものです。いくらでも歓迎したいですね。

今日は年度上半期の締めくくり日。どんどん日が経っていきます。日々,すこしでも前向きに暮らしたいなあと願っています。

 


'24 昆虫の頭・顔 ~キタテハ(越冬型)~

2024-09-29 | 昆虫

前栽で剪定作業をしていると,そこへキタテハが。色が濃いので越冬型と直感。捕獲して正解とわかりました。それを夜になって顔写真撮影。

 

要領はいつもどおり。プラスチック容器を被せておいて,動かなくなったときに,そっとそっとそれを外します。下写真がそれです。チョウを真正面から撮ったときのものです。

 

動きません。なんだかまるで魔法にかかったよう。ほっ! ここに至るまで,ずいぶん辛抱しました。

 

超接写で撮ったときは,ワーキングディスタンスが5cmほどでした。

 

万一舞い上がったら困るので,いつも捕虫網を準備しています。今回はそれを使わなくてすみました。

まずは斜め前方から。

 

反対側から倍率を上げて撮りました。複眼の毛の様子がわかります。

 

もっと倍率を上げました。ゴミがたくさん付着しています。

 

上写真二枚目をトリミングして,毛の根元を見てみましょう(この記事中の写真でトリミングしたのはこの一枚だけ)。個眼と個眼との境から生えているのがわかります。偽瞳孔に近づくほど毛の長さが短くなっています。偽瞳孔の辺りにも生えているのですが,直線状の毛を真上から見る格好になるので,毛の存在そのものがわかりません。

 

おしまいは真正面から。偽瞳孔の位置が,個眼を真上から覗く格好になったところに移動。

 

ピタリと静止しているときに撮れたのはハッピーでした。撮影後,放してやりました。来春まで生き延びるでしょう,きっと。

 


野草紙づくりのサポート(5)

2024-09-28 | 野草紙

おしまいは,アイロンを使った乾燥法の話をしましょう。

下写真の紙料はススキです。

 

この場合はステンレス網から湿紙を離す必要があります。そこで,固定式の網に変えて,下の木枠に取り外せる網か竹簾かを載せ,さらにその上にチュール布をおいてから漉きます。こうして漉いた湿紙の上にもチュール布を載せます。つまり湿紙はチュール布に挟まれ,サンドイッチ状になった状態です。

 

このまま水切り板で圧を加えて,できるだけ水を切っていきます。一気に水切りをすると湿紙が変形する恐れがあるので,じわりじわりと両手で力を加えます。これはふつうの場合。

今回は時間を節約するために万力を使用しました。

 

その後,新聞紙で水分をさらに除きます。新聞紙を交換しても湿らなくなればOK。あとはチュールを外して,布で挟み,アイロンがけをします。紙の腰を強くするには薄めた膠液を塗るのがお奨めです。

アイロンがけは乾きムラが出やすいので注意が要ります。ムラが出たまま放っておくと紙が反ります。これを防ぐために,乾いたと思ったら本に挟み,重しを載せておきます。そうすることで熱が紙全体に均一に行きわたることになります。結果,フラットな紙になります。下写真の紙の出来はまあまあです。

 

これでススキ紙の出来上がりです。

 


野草紙づくりのサポート(4)

2024-09-27 | 野草紙

ステンレス網の上で自然乾燥させたエノコログサ紙です。表側は圧が加わっていないので凹凸がはっきり見られます。こちらが裏面になります。

 

これを剝がします。剥がすのはむずかしくはありません。

 

これはトウモロコシ紙です。

 

これはススキ紙。

 

ひっくり返して表面を見ました。右上はトウモロコシ紙,左下はエノコログサ紙,中央はススキ紙です。

 

両面に圧を加えて表面を滑らかにすれば完成です。

 


野草紙づくりのサポート(3)

2024-09-26 | 野草紙

材料を煮終えたら,それを細かく砕きます。

理想的なのは力仕事で木槌で叩いて紙料(パルブ)を取り出すことです。手軽にやるのならミキサーを使います。ただ,ミキサーは短時間でかき混ぜることを主眼にした器具なので,限界を承知していないといけません。たくさんの材料を入れてミキサーの能力を超える使い方をしていると,オーバーヒートを起こしてしまいます。わたしのお奨めは材料が内部でダンスする程度,というものです。なお,ミキサーは使いようによってはとても危険なので,使用上の注意をしっかり伝えておくことがたいせつです。

これによって,紙料が取り出せたら,とにかくきれいに水洗いします。とことん洗います。

葉書サイズの紙を漉く場合,必要な量を団子状にしておいて,一つ分だけ水に溶きます。これに粘剤(ネリ)を加えて,紙料中の植物繊維が均等になるようにかき混ぜます。粘剤を入れ過ぎたら,(失敗ではありませんが)水が漉き枠から落ちるのに時間がかかります。

学校で紙づくりをする場合は,溜漉き法がよいでしょう。紙料を無駄なく使いきれます。流し漉き法は初心者にはむずかしく,慣れていないとたいへん。

漉き舟で漉き枠をセットします。

 

漉き枠の内に紙料を流し込みます。この写真はエノコログサの繊維です。

 

漉き枠を水から引き揚げて水切りをした後,上の枠を外します。

 

天日で自然乾燥する方法です。斜めにして水切りしながら乾かします。この状態の紙を“湿紙”と呼びます。

 

下写真の左はトウモロコシ,右はススキです。

 

9月とはいえ暑さの厳しい日だったので,4時間で乾きました。つづきは次回に。

 


野草紙づくりのサポート(2)

2024-09-25 | 野草紙

以下,紙づくり,わたしの手順です。

まず材料の採取からです。畑や道端など,ごく身近なところから採って来ました。

これを水洗い。写真の例はトウモロコシの苞葉です。

 

これをネットに入れて,鍋に入れます。そしてセスキ炭酸ソーダを適量入れました。液が黒っぽいのは先にエノコログサとススキを煮て,その液を再利用しているからです。

 

石は重しです。沸騰中,ネットが浮かんでこないように煮沸効率を考えています。この方法なら同時に三種の草を煮ることも可能です。

 

煮終わった材料です。

 

きれいに洗った後,ネットから材料を取り出しました。

 

とてもしなやかになっています。他の二種も同じように煮ます。ただ,からだが硬いので煮る時間が長くなるだけです。煮終わったら,同じように水洗い。揉み洗う要領で。

 

これで,この工程は終了です。

 


野草紙づくりのサポート(1)

2024-09-24 | 野草紙

つい先日,遠くの港町にある小学校から野草紙づくりについて教えてほしいと依頼を受けました。4年生の「総合的な学習の時間」のテーマとして紙づくりを取り上げ,海浜植物を使って作ったものの,期待したものができないという話でした。

わたしはフリーの身ですから,「お困りでしたら,いくらでもサポートさせていただきます,遠隔地であっても気遣いなしでお願いします」と伝えました。結局,お訪ねして子どもたちの作業の中で助言することになりました。いってみれば“紙づくりおじさん”になるわけです。

その後,子どもたちがこれまでに漉いた紙について,写真を送っていただき,それをとおして見える問題点を伝えておきました。

さて,せっかく行くのですから,わたしが漉いた紙を見てもらうことにしました。子どもの目線で考えると,葉書程度の大きさで,秋の素材を使ってみるのがよいだろうと思いました。それで,採取したのがエノコログサ,ススキ,トウモロコシの三種です。前の二つは茎と葉,トウモロコシは実を包んでいる苞葉です。

今回,紙をつくるにあたっての基本的な心得は以下のとおりです(主なもののみ)。

  • 木質化している(しかけている)硬い部分は使わない。(根元に近い部分を避ける)
  • 植物を煮る時間は硬めのものは4時間が目安。長くて6時間。(この例ではエノコログサ,ススキ)
  • 溜漉き法でつくる。(植物繊維を無駄なく利用できる)
  • 紙漉き道具が少ないときは,湿紙をアイロンで乾かす。(ただ,乾きムラが出ないように注意する)
  • お盆を過ぎると,自然乾燥に時間がかかるようになるのでアイロンを使うのがよい。

採取する植物の一番目はエノコログサ。

 

二番目はススキ。

 

おしまいは,畑のトウモロコシ。これがいちばん手軽。タイミングよく9月収穫用に晩生種を栽培していました。苞葉がしなやかなので2時間も煮れば大丈夫。

こうして三種の植物繊維を取り出しました。紙がつくれるかどうか,これは繊維が取り出せるかどうかにかかっています。とにかく繊維が取り出せさえすれば紙ができるのです。ということは,わたしの場合,今の段階で紙がもうできたといっても差し支えありません。

 


オクラのフタトガリコヤガ(8)~初齢幼虫~

2024-09-23 | 昆虫

初齢幼虫は,からだを赤紫色の筒状のものが通っているのが大きな特徴です。

この幼虫を半日から一日おいてから撮影したものが以下の写真です。赤紫が消えています。頭を動かし,口を上下させながらなにか食べていました。葉に生えた突起でも口にしていたのかもしれません。

 

この個体は赤紫色が残っています。たぶん,これが無くなっていくのでしょう。

 

これは別個体です。透明感のあるからだです。

 

観察をとおして確認できる事実こそ生のすがたです。

 


オクラのフタトガリコヤガ(7)~続々々・孵化~

2024-09-22 | 昆虫

例9。たくさんの卵があった中,遅れて孵化した個体です。

 

無事に誕生!

 

幼虫の体色がわかります,

 

例10。卵の集団からすこし離れたところにある卵。

 

なにがシグナルになって孵化開始となるのでしょう。先に孵化した幼虫たちの振動が関係しているのではないでしょうか。

 

例11。ずいぶん遅れて孵化した幼虫です。

 

奥行きがある場面は,接写ではピントが甘くなります。やむを得ません。それで頭部にピントを合わせることになります。

 

これだけ撮影したら,わが家の畑にいるフタトガリコヤガの生態にかなり近づくことができたように思います。

 


オクラのフタトガリコヤガ(6)~続々・孵化~

2024-09-21 | 昆虫

例6。ほんの少し孵化の兆候が現れた瞬間を見逃さない,これがフタトガリコヤガの撮影には欠かせませんでした。幸い複数の卵があるので,見逃しは少なくてすみました。

 

出終わるまで撮影を続けます。

 

例7。一つぽつんと産付された卵です。

 

例8。二つの卵が同時に孵化を迎えました。こういうときはそれこそたいへん。

 

からだを大きく伸ばした後,下向きに。

 

一気に孵化が始まるといった状況なので,それに対応するのがたいへん。