自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ロウバイと虫(またまたまた)

2014-02-28 | ロウバイ

キンバエが訪れているのを見ました。このハエについては,すでに『ロウバイと虫(まだ)』 で取り上げています。再び記事にするのは,じっくり観察できた結果,ハエの行動がなかなか味わい深いものに思えたからです。

警戒心が強いはずなのに,今回はそれが伝わってきませんでした。それで,十分時間をかけて撮影できました。ありがたい限りです。

花から出てきた姿は,花粉まみれ。出てきて,また入っていきました。おいしい餌でいっぱいのようで,ご機嫌のなのでしょう。 

 
時間をかけて,花粉を舐めている様子。

 
やがて出てきて,掃除をし始めました。


その後,歩いて隣りの花に移動しました。そこで餌をたっぷり口にして,また元の花に戻ってきました。それで,また花の中に。

再び出てきたところを写したのが,下写真です。花粉がたくさん! 花にとっては,大型昆虫は上得意先。受粉・送粉に大きく寄与しています。 


こんなわけで,キンバエとロウバイは持ちつ持たれつの関係を保ち続けています。 

 


冬の花と昆虫と

2014-02-27 | 随想

昆虫に対するわたしの好奇心のことで,ブログに関心を持ってくださっている方がこんなことをおっしゃいました。

「冬に昆虫が活動しているんですね。知らなかったです!」

これは,わたしが冬開花する植物に目を向け,そこを訪れる虫を追い続けていることを知っておっしゃったことばです。ふつう,人は,昆虫たちはこの時期冬眠していると思い込んでいます。わたしもまた,以前はそうでした。それで,たまたま真冬に訪花・吸蜜中の虫に出会うと,たいへん意外な思いがしていたものです。

しかし,近頃はそんな思いがすっかり消えています。それで,この方にこうお答えしたのです。

「色が付いた花が咲くのは,花が『ここに咲いているよ!』って虫たちにメッセージを出しているからですよ。匂いがするのもメッセージ。花が毎年同じ時期に咲くのは,虫の訪問を当てにしているからですね。ということは,花が咲いていれば必ず虫がやって来ているとみるのが順当な受けとめ方です。冬,比較的暖かな日には虫が観察できます。冬に咲く花は開花期間が長いですね。時間をかけて虫を待っているのではないでしょうか」

冬活動している昆虫は,絶対数は多くありません。それは花の種類・数を思えば理解できます。しかし,すくない中でその個体に出会えるのは大いなるたのしみでもあります。

今,オオイヌノフグリが道端に咲いています。数はかなり多いです。


ホトケノザも花を付けています。これらの花にも時としては,訪れる昆虫がいるかもしれませんが,たいせつなお客であるヒラタアブはほとんどが蛹越冬中です。わたしが昆虫をずっと待っていても,まず,観察できないと思われます。こういう事情ですから,オオイヌノフグリが訪花昆虫を当てにしていても受粉が叶いません。叶わないと,無駄花になってしまいます。

そんな無駄なことを,この植物がわざわざ進んでするわけがありません。じつは,昆虫の働きがなくても結実に至る見事なしくみを整えているのです。一言でいえば,自家受粉(近親結婚)という戦略です。言い換えると,保険金をかけているようなものです。

ところが,その戦略だけに頼っているととんでもない事態に対応できない恐れがあります。遺伝子の多様性が確保できないため,種として環境の変化に応じていけないかもです。たとえば気候やウィルスによるダメージは,種を絶滅へと導きます。

絶滅というとんでもない事態を想定しておくために,昆虫の活動期には他家受粉によって種子を生産する戦略に移行します。まことにうまくできています。

そんな話をしていると,その方は「なんとスゴイ世界なのでしょう。わたしの目ではちっともわからないことです。大好きなオオイヌノフグリに,大きな秘密があるんですね」とおっしゃいました。

 


マンサクと昆虫(13)

2014-02-27 | マンサク

アカバナマンサクが盛りを過ぎました。花の数が少なくて必然的に訪花昆虫が目立たないなか,「よく来てくれました!」と思わず感動した出会いがありました。

ホソヒラタアブがやって来たのです。アカバナで確認したのは初めてです。初めてというのはとにかく新鮮な感じがします。 


コンデジを接写モードにして,ゆっくり近づいていきました。アブが飛び去ったらもうおしまい。緊張感でどきどき。慎重に慎重に,確実に確実に,「どうか飛んで行かないで」,そんな気持ちでした。 

結果,撮れた写真が今回のもの。コンデジなので,解像度には限界があります。それでも,からだに付着した花粉が見えます。こういう画像は,わたしには貴重です。


暖かい,2月の昼下がりでした。関心を持ち続けていれば,自然は結構プレゼントを届けてくれます。わたしには極上のプレゼントです。ありがたい限りです。 

 


マンサクと昆虫(12)

2014-02-26 | マンサク

これまで見たことのないハエが花に潜り込んでいるのを発見。翅が覗いていて,その模様がひどく特異なのです。黒くて大きな斑紋があって,そこから一本大きな曲線を描いて走っています。そして短めの,やや直線的な線が数本見えます。

あとで調べると,ミバエの一種らしいことがわかってきました。さらに,褐色の体色から,どうやらチャイロハススジハマダラミバエではないかと思われます。なんだか,舌を噛みそうな,覚え切れそうもない名の持ち主! もしそうなら,出現期が4~7月とされているようなので,一足早い登場ということになります。

花から出てくると,頭部や脚に,花粉をどっさり付けていました。

 

 
「どうか飛んで行かないで」と願っていると,別の花に入って花粉を舐め始めました。その前のこと,偶然,同じ花に別のハエがやって来ました。すると,脅すとうなしぐさをして追い払いました。


胸部には,縦筋が五本。

また別の花に,歩いて移動していきました。 


そこで,花粉を舐めることに熱中していました。とてもおいしそうです。 


トリミングすると,その集中ぶりがもっとよく伝わってきます。葯から花粉が溢れ出ている様子が,なんともスゴイ! 

 
マンサクの花が枯れるまでには,まだ当分日があります。この調子だと,まだまだ新しい発見が続くでしょう。 

 


マンサクと昆虫(11)

2014-02-25 | マンサク

2月23日(日)。風は冷たいものの,日差しはすこし柔らかな一日でした。昼前,マンサクにハナバエが一匹いました。しきりに花に潜り込んだり出て来たり,また潜り込んでは出て来たりと,ゆっくりとではありますが,動き回っていました。

それで,これに注目して撮影しました。すでに本シリーズでご紹介した写真に出てきた種かもしれませんが,からだの様子が印象的だったものですから,取り上げておきます。

からだは花粉まみれ。やはり今どきの,マンサクのような咲き方は虫たちの目に付きやすいのでしょう。


花から花へと移動するのに,花弁が大いに役立っている様子です。脚の置き場には,“もってこい”という感じなのです。からだの前方から,頭部を撮影しました。もう花粉でいっぱい!


近くの花弁の裏側に,ごく小さな虫がいるようなので,確認するとクモでした。こっそり,ひっそり身を隠しています。訪れる昆虫を待ち伏せしているのでしょう。撮影しているときに,肛門から排泄物をプツッと出しました。一瞬の出来事で,まるで泡のようでした。ちゃんと目覚めているのです。


反対側からも撮っておきました。花弁の幅が2mm。クモの体長もせいぜいそれぐらいです。いったいどんな獲物を狙っているのか,と思ってしまいます。

 


ロウバイと虫(またまた)

2014-02-24 | ロウバイ

ロウバイの開花期間はたしかに長いですね。いい香りを,ずっと放ち続けています。といっても,わたしたち人間の嗅覚では,近くに寄らなくては感じとることはできません。鼻がよければ,プウンと漂う匂いをキャッチできます。

虫は生き延びるために,嗅覚器官を相当に発達させています。犬どころの話ではないでしょう。きっと。ごくわずかな揮発性物質を嗅ぎ分けるのですから。それでロウバイの香りに誘われて,訪れるのは当たり前すぎる話ではあります。加えて,黄色い花弁は遠くからでも目立ちます。そこから匂いが放たれていることなど,なんともないわけです。

この時期,ホソヒラタアブが訪れているのを目にしました。ふつう成虫が活動を始めるのは3月あたりでしょうから,かなり早く出現しているといえます。じっと花の中にからだを入れて,蜜や花粉を口にしているようなので,急いでコンデジを持って来て,なんとか写真に収めました。


からだ中,花粉だらけ。


しばらくすると,ツマグロキンバエも来ました。今の季節,目立つ競争相手はいません。襲ってくる外敵もいません。天気さえよければ,安心してゆっくりご馳走にありつけるでしょう。ほんとうに,そのとおりの動きです。からだにはたっぷり花粉が付着しています。機会に恵まれれば,なんとか,食餌行動中のハエを撮りたいのですが。

 


ロウバイを一本庭に植えておくのは,季節の匂いを嗅ぐたのしさが味わえるのと同時に,昆虫たちの餌場づくりとしても意味があります。

 


マンサクと昆虫(10)

2014-02-23 | マンサク

寒い日のことでした。

ユスリカの一種がマンサクの花に潜り込むような格好で付いていました。触覚には枝が四方八方に生えています。このブラシ形状はオスの印。からだをよく見ると,花粉だらけ。「これも受粉にちょっぴり貢献しているのだろうか」。ふと,そんなふしぎな思いにとらわれました。 


トリミングしてみましょう。


ユスリカは口器が退化していて,食餌をしません。ただ,上写真で確認すると,“退化していいる”といわれる口器(?)が見えます。たしかに,それを動かす行動が見えました。いったいどうなっているのか,気になります。

それはさて,ユスリカは冬に蚊柱をつくって群飛することでよく知られています。それはオスが集団になって,メスを呼んでいる姿だとか。この個体もその一員なのです。人間を襲うことはありませんが,どうも好感をもって迎えられているようでもなさそうです。洗濯物にでも付くと印象が悪くなりますね。 


マア,偶然ここに着地して,からだに花粉が付いたのでしょう。写真を見ると,花粉の量の多さがみごとな程です。真ん中に位置するメシベに,どうやら花粉が付着している様子。

これで,結実することは明らかです。


この花の頼もしい訪花昆虫とはいえないまでも,こうした突然の訪問者があって,ほんのちょっぴり受粉の手助けをしているという驚きです。注意して観察していないと見えてこない事実もあります。ラッキー! 

 


科学教室『葉脈の栞づくり』

2014-02-22 | 日記

過日,葉脈の取り出しについて記事にしました。今日,科学教室で,同じ手順で葉脈を取り出して栞をつくりました。

使った葉は,結局,ナンテンとカナメモチの二種です。今の時期,葉からは水分が減っているので,使える葉は少ないなあという印象を持ちました。これら二つは冬でも大丈夫です。ナンテンは,とくに。

参加者は6人(うち,ひとりは保護者)。学年は1年から5年まで。

作業手順は次のとおりです。

  1. アルカリで煮た葉の表皮を,手で取り除く。
  2. 超音波洗浄器で葉脈だけにする。(1・2については,きれいになるまで繰り返す)
  3. 漂白剤を使ってきれいにする。
  4. 食紅で着色する。
  5. 台紙を付けてラミネートする(台紙には文字を手書きしておく)。

しっかり煮て,しっかり洗っていたので,作業はスイスイと進んでいきました。洗浄器を使ってもまだきれいにならないときは,筆先で軽く押さえながら汚れをとります。そうして,また洗浄器に入れます。この繰り返しで,どんどんきれいになっていきました。このときの感想をYさん(3年)はこう書いています。「葉っぱにかわがあって,それがきれいにむけるのがすごいと思いました」と。


着色するときは,さすがに子どものスゴサが出てきました。「ほほーっ!」と驚くような着色のしかたをするのですから。


終わってみれば,各自がなんと3枚,4枚と作っていました。大したものです。これで,葉とすこし対話できたかなと思います。読書するとき,どんなふうに栞を活用するのか,それもたのしみです。

 


マンサクと昆虫(9)

2014-02-21 | マンサク

ツマグロキンバエは,一年を通してあちこちの花を訪れる常連です。花にとっては上得意先です。「おかげさまで,……」という気持ちが強くあるでしょう。

すこし暖かい日差しを感じるときは,マンサクにもやって来ます。離れたところから観察しても,からだに花粉が付いている様子がよくわかります。それで,清潔にしておこうとしきりに掃除をするしぐさが観察できます。 


ハエが動いたので,もっと近寄って撮りました。オスです。花粉がかたまって付いています。 


近くの花に目を移すと,メスがいました。 


「どうするかな」と思って見ていると,歩いて別の花に移動した後,花粉を舐め始めました。 

 
わたしには気づいていない様子。おかげで,マアなんとか納得のゆく一枚が撮れました。感謝。 

 


マンサクと昆虫(8)

2014-02-20 | マンサク

寒さが和らいだ昼下がりのこと。日だまりができる天気なので,マンサクに昆虫がやって来るにちがいないと予感。カメラを用意して,しばらく観察していることにしました。

予感が当たりました。しばらくして,ハエが訪れました。そして,頭を花の中に突っ込んで食餌行動に勤しんでいました。 

 
今度はホソヒラタアブが飛来。蜜や花粉を舐めている様子です。アブは程なく飛び去りました。

 

 
隣りのアカバナマンサクに大型のハエがやって来ました。赤い花弁と,花の匂いを敏感に嗅ぎつけたのです。さすがに機敏!

 

 
ハエは警戒心が強くって,パッと飛び去りました。鮮やかな身のこなし方です。わたしがいないときに,また来るにちがいありません。

冬でも,わたしたちが比較的暖かいなと感じる日は,昆虫の活動にも快適のようです。大敵であるクモも,小さなものがごくわずかにいるだけ。のびのび食餌できます。