自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

象糞紙を漉く(7)

2016-07-05 | 野草紙

子ども農業雑誌編集者のKさんと,紙づくりについていろいろやり取りしている中で出て来たのが「アルカリ剤として,重曹の代わりに,アルカリ度がすこしばかり高めのセスキ炭酸ソーダを使ったらどうなのだろうか」というもの。それなら安全で,短時間の煮解で済ますことができるだろうし,環境にも影響がすくないのではないか,というわけです。

セスキ炭酸ソーダについては,わたしはつい最近名を知った程度で,アルカリ強度・安全性を検証するうえでもいつか試す必要はあるなあと思っていました(なんと,つい先日,我が家にもあるのがわかった! 家族が100円ショップで買っていたという話! 知らなかったー!)。結局,Kさんとのやり取りがきっかけになって,「よし,今ちょうど象糞繊維を煮ているときなので,やってみるか」という気持ちになりました。そんなに覚悟めいた話ではありませんが,結果をしっかり得ないといけませんから,一応それだけの思いをもって臨むということです。

さっそく袋入りのセスキ炭酸ソーダ(1kg)を買ってきました。製品の説明には以下のように書かれています(赤字部分)。読む限り,好奇心を引き付けます。

「本品は,手肌への負担が少ない重曹と洗浄力の強い炭酸塩の中間に位置する物質です。強い洗浄力を持ちながら,手肌への負担も少なく水に溶けやすい,重曹と同じ環境にやさしい無機物です」

さあ,作業開始です。寸胴鍋の水を沸騰させ,その中に糞繊維を投入。これが午後1時15分。


同時に,セスキ炭酸ソーダを入れました。


以降,煮こぼれしないように火力を調節しながら煮ていきました。今回は吹きこぼれなし! そうして,煮た繊維を手で揉んでみると,これでよい感じ。


さっそくミキサーに入れ,試しに叩解してみたのが午後4時30分。繊維を煮た時間は3時間余り。思ったとおり,細かな良質の繊維が取り出せました。繊維の色は重曹のときの褐色と少し異なっていて,やや黄色がかっています。

結局,重曹を使った場合は6時間30分煮ましたから,ちょうど半分の時間で煮終えたことになります。アルカリ度を厳密に測定・比較したうえでの実験ではないので,正確なことはいえませんが,おおよそ半分の時間で作業を終えることができそうです。

安全,能率,この2点からいえばセスキ炭酸ソーダはずいぶん効果的だと結論づけられるでしょう。Kさんとのやり取りは刺激的な結果を産み出しました。感謝。 

 


続く,ナミアゲハの孵化

2016-07-05 | アゲハ(ナミアゲハ)

畑のレモンの木にはナミアゲハの卵がどっさり。“どっさり”と表現できるほど,あちこちに産み付けられています。卵はたいてい若い葉に付いています。その枝に,目印としてビニル紐を付けています。そうしておくと,卵一つひとつの様子が順を追って,速やかに確かめられます。

今,アゲハの孵化が続いています。たくさん孵化すれば,その瞬間を確実に撮影できます。そんなよき例をご紹介しましょう。

6月25日(土)の早朝のこと。「あっ,殻に穴が開き始めとる! 急いで撮影や!」。大急ぎで持ち帰って撮影準備に入りました。

 

 
上写真を撮ったときから,下写真までは1時間。やっと出始めました。


頭部をぐーっと伸ばすようにして着地点を探しているかのよう。 


細い隙間から出るのは苦労があるようです。 


再び,身を乗り出すようにしながらからだを前方に突き出します。脚が出てきました。透明感のある脚が初々しさを物語っています。 

 
ついに着地!


出終わったあとも卵殻の周りをうろついていました。殻に口を付けることもありました。しかし,淡泊にも,卵殻を一切食べることなくその場を去って行きました。


明るいうちに,こうした光景を観察できるのはハッピーなことです。