自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

オオヒメヒラタアブの産卵行動

2014-10-31 | ヒラタアブ

庭のキクが花をちらほら開きかけました。でもまだほとんどが蕾の状況です。

朝,庭の手入れをしていると,そこをいちばんに訪れたのがオオヒメヒラタアブ。「これは,これは」と思いながら,その様子をしばし観察。わずかに開いた花に行くのかと思ったら,そうではありません。蕾ばかりに行く,あるいは茎の間に入って行く,そんな行動をするのです。ふしぎでしかたありませんでした。

しばらく見ていて,「そうか!」と合点。よくよく見ていると,腹端を曲げて,蕾や葉にくっ付けるしぐさを繰り返しました。「ははーん,これは産卵なんだな」と思ったのです。 

 

 
産卵にまちがいないと思って,去った後を確認しました。すると,そのとおりで,そこには細長くて真っ白な卵が一粒,ポツンと産み付けられていました。長さが0.6mm。


くわしく見ると,卵の表面に小さな小さな突起が無数に見えました。こんな特徴的な卵を産むのにビックリ。 


産卵行動を繰り返すので,カメラを向けて撮るうちに,産卵のまさにその瞬間場面をとらえることができました。

腹端を曲げて,産卵姿勢に入ると……。 


排卵孔から卵がポツリ……。 


部分拡大してみると……。「これはスゴイ,スゴイ!」。 頭部は,手前の葉が邪魔になって写っていませんが,キクの株間でこんな風景を撮影できるなんて,まるで夢物語です。


孵化した幼虫の餌はアブラムシです。アブラムシが殖えるとよくわかるのですが,一目見ただけではまだ見当りません。それで蕾付近を探していきました。するとちゃんといたのです。わずかなアブラムシを探知するヒラタアブの能力はさすがです。それでこそ,種として生き残れるというものでしょう。

それで,孵化や羽化を観察できればしようと思い立ちました。孵化は2,3日後のなるでしょうか。 

 


野菜を食べ尽くすカブラハバチ

2014-10-30 | 昆虫

野菜を栽培していると,いろんな虫に出合います。野菜作りを害するものもあれば,そうでないものもあります。害虫でも,度を超す害を受けると,ひどくがっかりします。野菜作りは土作りからといって,土壌の踏ん張りを強化しておけば意外と害虫は増えないものだという見方がありますが,昆虫は手馴れたもので,そのくらいの努力を軽く乗り越えてきます。

その典型はなんといってもカブラハバチだと,わたしは思っています。アブラナ科の野菜はど被害の受けっぱなしです。ひどいときは,葉脈だけを残して食べ尽くします。

退治しようとして手で摘まみかけると,ぽろっと落下して,地表でからだを丸めてじっとしています。この幼虫ならではの,身を守るための手法です。

そんな習性もあって,むかしから人は幼虫退治に苦労をしてきたようです。これまで度々耳にしたのは,「昔はなあ,割り箸の先に土粘土を付けておいて,それをこの黒い虫のところに持って行って,くっ付けて一匹一匹捕ったもんや」といった話です。途方もなくたくさんの数を退治するのですから,労力の程が推し量られます。 

ハクサイに付いているのを見かけて撮ったのが下写真の幼虫。

 

 
ハツカダイコンの葉に,成虫がとまっていました。

 


幼虫はいっぱいいるのですが,成虫はほとんど見かけません。完全変態するなら蛹も見かけるはずなのに,「これぞ,カブラハバチの蛹だ!」という個体を見かけたことがありません。もっとも,わざわざ探したことはないのですが。

野菜作りをしていると,こんなふうに,虫との付き合いに広がり(?)が出てきます。 

 


ルリタテハの成長(4)

2014-10-30 | ルリタテハ

個体Aのその後の経過№4です。

10月8日(水)。蛹化してから日が経つにつれ,かたちがかたまってきました。ちょっとつまむと殻に包まれているなあといった感じです。このとき,身を守ろうとしてからだを曲げてピンピン動きます。


10月11日(土)。肉眼で見る限り,変化は感じられません。 

 

  

 
10月14日(火)。殻を透して,翅の模様が見えかけてきました。確実に,羽化の瞬間が迫りつつあります。


すぐ脇で,終齢幼虫が蕾を食しています。この食餌行動が,蛹になんらかの影響を及ぼさなければよいのですが。

 
羽化は明日か,明後日かでしょう。今のところ,きちんとは予測できません。 

 


夜,吸蜜行動をするガ

2014-10-29 | 昆虫

10月24日付け記事で,夜間,セイタカアワダチソウで吸蜜行動をするガについて触れました。しかし,どうも未消化のような気がしていました。よく考えればそれは,ほかに同じような行動をするガがいないのか,もっとクローズアップして写せばなにが見えてくるか,そんな好奇心を満たす次元にまで目を向けていないからだと思えてきました。

それで,後日,さらに撮影を試みました。ガの名前はこの際同定しないことにして,花と昆虫とのつながりをみておくことにします。

探し始めてさっそく,小さめのガが口吻を伸ばしているのを発見。脚やら触覚やらは花粉だらけです。


ここにも,いました。しっかり口吻を使っています。触覚に付着した花粉がよくわかります。 


先日の観察でもたくさん見かけたガです。複眼の中央部がピンクがかっています。明るいときに見たら,どんな色なのでしょう。 

 
長い触角が印象に残ります。


頭部付近を拡大してみましょう。口吻が二つのパイプから成っていることがわかります。チョウのそれとしくみは同じです。 

 
一つの穂に,違う種のガが訪れています。とくに争うようなことはありません。フラッシュを当てると,眼の中程に当たった光が反射して白く写りました。眼の構造に関係があるのでしょう。

 
上写真に写っているガ(下)の拡大写真です。触覚がいかに大事かという雰囲気が伝わってきます。餌のありかや異性の匂いを感じるのに,欠かせない武器になっているのです。


これら夜行性の昆虫たちは,明るくなるともうそこにはいません。たっぷり栄養をし終えて,さっさとどこか安全なところに移動,そして休眠するのです。

セイタカアワダチソウは昼も夜も,訪花昆虫たちに蜜を振る舞っています。結果,たくさんの花がたくさん結実します。これまでに,セイタカアワダチソウの実生発芽の実験をして,本ブログで経過・結果を書きとどめました。簡単にいえば,たくさんの種子から,たくさん芽生えます。もし不用意に実験をしようものなら,庭のあちこちでセイタカアワダチソウが成育して,とんでもない羽目になります。

かつて,各地でセイタカアワダチソウがはびこってたいへんだという話題が続きました。今はそうした勢いがあるようには見えませんが,この植物の生命力はまったく衰えていません。小さな花をどっさり付け,昼も夜も多種に亘る昆虫を惹き付ける作戦はみごと功を奏しています。大したものです。 

 


野外で見た蛹

2014-10-29 | アカタテハ

野外で羽化直後のアカタテハを見て以降,「それなら,蛹も見つかるのではないか」と気にかかり始めました。「よし,昼のウォーキングのついでにちょっとばかり確かめておこう」。そんな感じで,確認することにしました。

探す当てを,「葉がつづられたところを集中的に見よ」としました。これまで,草をかき分けて茎辺りを探したのですが,結局見つからなかった経緯があります。

一つのカラムシ群落で,茎の先がはっきり葉でつづられたものがありました。


試しに開いてやれというわけで,開いたところ,そこにちゃんと蛹が! 意外と簡単なところにあるのに驚きました。寒くなるこの時期,移動にエネルギーを費やすことなく速やかに羽化しようとしているのかもしれません。


「この分だと,もっと見つかるのでは?」と思い,次の群落に行ってみました。そこでも同じように,茎の先端に葉が引き寄せられているのを見つけて,開いてみたのです。ありました,ありました。やっぱり,です。そして,近くでまた一つ。これで合計3個体になりました。


また移動して,別の群落に行きました。そこでも,まったく同じ状況で1個体見つけました。つまり,合計4個体。


さらに,さらに。別群落でも次々と見つかりました。その数は3。結局,全部で7個体となりました。

「今の時期は,茎の先端付近を探せ!」というのが発見に至る大原則のようです。そう思いながら歩いていると,先端付近の葉がちょうど閉じかけられているのを見かけました。覗くと,終齢幼虫の姿が! 「ははーん,こうしてやがてここで蛹化するのだな」と,生態がつながって見えてきました。


すこしずつ,すこしずつ,アカタテハに近づけているかな。近頃はそんな気持ちでいます。爽やかな気分に浸れたウォーキングでした。

 


秋,メランポジウムと訪花昆虫(6)

2014-10-28 | 昆虫と花

秋冷の候を迎えました。メランポジウムの花には種子ができてきて,花がどんどん減ってきています。当然,訪れる昆虫も少なくなってきました。

そんな中,見かけたのがジャノメチョウ。ヒメウラナミジャノメです。一際目立つ大きさだったので,向こうからその姿が目に飛び込んできたといったふうでした。

よく見ると,口吻,を伸ばして蜜を吸い上げている様子。じつに落ち着いたものです。セセリチョウもそうなのですが,思いっ切り近寄っても,気づいているのか気づいていないのかわかりませんが,びっくりする気配はまるでなし。構図を決めるのに好都合で,被写体としては申し分ありません。


そのうちに舞い上がると,メランポジウムの別の花に移って吸蜜行動を開始。結局,長い時間この花壇にいました。この蜜がお気に入りだったのでしょう。


お蔭で,メランポジウムは大助かり。たいせつな訪問者になったのですから。

ジャノメチョウの仲間はたくさんいます。そのどれもが翅に眼状紋があって,それが“蛇の目”を想起させるという理由で使われていることばです。おもしろい語源です。

 


ダイコンの葉の裏にあった卵

2014-10-28 | 昆虫

ダイコンを播種する際は,ある程度の粒を近くに蒔き, 生長の様子を見ながら間引いていきます。間引いたダイコンを“間引き菜”といい,緑色の食材としてたいせつに扱います。ダイコンのそれはなかなか味わいがあり,わたしは好きです。

わたしが好きなだけに,虫も好きなようで,ときには見る見るうちにレースのように葉脈だけが残る無惨な姿に成り果てます。それでもほとんど消毒をしないというのがわたしの栽培流儀です。葉が虫に食べられるのは,それだけ安全な証しでもあります。

そんな状態の間引き菜を食べるのですから,調理前はよく洗わなくてはなりません。この間なんか,洗うときにとんでもないほどの卵群を発見しました(下写真)。

 
カメムシかなんかだろうなと思いつつ,カメムシがこんなに卵をかためて産むのか気になりかけました。それで,この葉を水に挿して置いておき,孵化を見てみようと思い立ちました。

 
一週間もすると,卵は黒ずんできました。大変化です。間もなく孵化するなと思っていると,驚くような光景に変わっていたのです。ほとんどの卵が孵化し,幼虫がうじゃうじゃする感じで,卵殻の近くを動き回っていました。卵から出てくる幼虫もいました。結局,カメムシではありませんでした。ハバチかガあたりの,完全変態する昆虫でした。


こういうのを見るのは初めてなので,固唾を呑んで撮影しました。とにかくスゴイ光景でした。  

こんなこともあるので,間引き菜を食べるときはよく洗わなくちゃいけません。洗っても,この種の卵はとれないでしょう。そんなつもりで食材と付き合うほかありません。

 


こんにちは,アサギマダラ

2014-10-27 | 日記

10月27日(月)。曇り一時雨。一日,肌寒い風が吹きました。気象台の発表によると,木枯らし1号だったとか。

去年,ヨッさんが「珍しいチョウがおったので,撮ったんや。なんという名前かなあ」といって,持って来られた写真がありました。それには近くの家の庭に飛来したアサギマダラが写っていました。接写レンズで撮られたものでした。当時わたしは,ヨッさんが至近距離で撮影されたこと,そしてこのチョウと出合われたことをうらやましく思ったものです。「わたしも出合いたい!」と思ったことをはっきり覚えています。

ところが,今日,なんとわたしがそのアサギマダラに出合うという幸運な機会に恵まれたのです。場所は自宅前の畑。昼前,そこで収穫作業をしていると,偶然,頭上を飛んでいくチョウが目にとまりました。

瞬間,「アサギマダラだ!」と直感。大急ぎで行方を目で追いながら,後を追いかけて行きました。 「どこかに降りてほしい!」と願いつつ。

100m程離れたところにある,排水溝脇のミゾソバの花に降りました。しめしめと思いながら近づいて,撮ったのが下写真です。5m程離れていたでしょうか。まぎれもなくアサギマダラです。珍蝶が吸蜜をしているのを見て,わたしはどきどきしてきました。

 
チョウはしばらくそこにいて,さっと舞い上がりました。ふわふわといった感じの優雅な飛び方です。今度は50m程飛んで,同じミゾソバの花に降りました。わたしは,ゆっくり斜面を降りて近づきながら写真に収めました。それが下の写真です。


わたしが溝に降りるのと同時に,さっと舞い上がりました。瞬間,「しまった!」と思いました。チョウは,ゆったりと飛び去って行きました。このままでは後悔すると思い,さらに100m程追いかけました。しかし,国道の向こう側に消え,とうとう姿を見失ってしまいました。

このアサギマダラは,渡りをする途中に,ここに立ち寄ったのでしょうか。この土地にとってはなんとも貴重な訪問者になってくれました。 優雅なチョウに出合えて,わたしはすっかりうれしくなりました。

話は変わりますが,わたしはとっさの事態に対応できるようにコンデジを常時携帯しています。今回の特ダネ写真は,このコンデジがあったお蔭で残すことができたのです。コンデジに感謝,です。 

 


カメムシの孵化

2014-10-27 | 昆虫

まったく偶然のことなのですが,草引き作業をしていてカタバミを引くと,そこに黒っぽいものが付いていました。ルーペを持ち出して確認すると,なんとカメムシが誕生した直後でした。

「これは記録しておかなくちゃ!」と,大急ぎで写したのが下の写真。よく見ると,茎に産み付けられた卵であることがわかります。「よくもマア,こんなところに 」。思わずそう思ってしまいました。

 
もっと,アップで撮っておきました。体長1mm。赤みと黒みが合わさった,趣きの感じられる(?)色合いです。


これが成長していくと,随分変身しそうなので,1齢幼虫の段階ではわたしには到底同定できません。 ただ,こういう場所を好んで産卵場所に選んだカメムシのことですから,大きさはそう変わらないのではないでしょうか。

 


早朝,アゲハの庭園にて

2014-10-26 | 日記

10月26日(日)。晴れ。今の時期になると,晴れる日の朝は霧が景色を覆うようになります。今朝もまた昨日に続いて,そうでした。

朝食はいつも簡単な和食にしています。得意気にいえることではありませんが,残飯類をコンポストに捨てるのと,味噌汁づくりはわたしが担当することにしています。そのコーンポストは『アゲハの庭園』内にあります。いつものようにそこへ行くと,容器側面にジャコウアゲハの蛹が付いていました。見た瞬間,わたしは「ほほーっ」と思わず呟いていました。


色は明るい橙色。見るからに蛹化したばかりといった様子です。指を触れると,ピコピコとからだを動かしました。下の地面には,脱いだばかりの皮が落ちていました。越冬に向けた準備ができたようです。

傍に置いた植木鉢には,幼虫が二匹。寒くなるにつれて,変化の速さが鈍ってきました。蛹化になるとはいえ,それはいつ頃になるでしょうか。


同じ庭園内のレモンの木にアゲハの終齢幼虫が一匹。葉の表側にいたので,夜露でびっしょり。これも近々蛹になるでしょう。


このように,朝,二種類のアゲハに出合いました。気持ちよく,日曜日のしごとに出かけた次第です。