自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ツクバネの実(種)

2016-12-31 | 植物

ツクバネはビャクダン科に属する落葉低木です。それに,雌雄異株で雄花と雌花が付く株がきまっています。実は4枚の羽根をもっていて,落下時に回転しながらより離れたところに移動します。羽根つきの羽根を連想させるかたちをしています。庭木としてはなかなか味わい深い木だと思います。

それの自生地で,数年前に実(種子)を拾って来て庭に植えていたところ,運よく発芽。雌雄両方が生長していたのですが,惜しくも雌株が枯れてしまい,雄株だけが残りました。これでは実が生るのをたのしめません。

それで,改めて種子を拾って,今度は雌株を育てたいと思い立ちました。といっても,種子で雌雄を見分けることは不可能です。複数発芽させて植え付け,花で判断するほかありません。それには4,5年かかるものと思われます。息の長い取組になりそうです。

というわけで,年の瀬,時間を空けて採種に出かけました。落ちた実もありましたが,残ったのがほとんど。残った実には羽根があるもの,ないもの,あっても1枚,2枚といったものもありました。実のかたちには優雅な趣きがあり,たくさんぶら下がっている風景はなかなかのもの。


うんと近寄って撮りました。羽根つきの羽根にそっくり!  まるで大空に向かって飛んでいるよう。


林の辺縁部で見た光景です。 


大部分は枝先に実が1つ。 


撮っていると,小さなガが実に着地。すぐ飛び去りました。 

 
なかには2個のことも。珍しい!

 
さらに珍しいことに,3個の例も見つかりました。


撮影後,実をいくつか採取。近く植えることにしています。 

 


サザンカの花,昆虫(1)

2016-12-30 | 昆虫と花

12月29日(木)。曇り。厳しい寒さです。午後2時現在6.5℃。冷たい風が吹いています。

家のサザンカが満開です。蕊の根元には滲み出た蜜がどっさり。舌先でちょっと舐めてみると,甘い!


この寒さに合わせて開花するサザンカに,当たり前のように訪れる昆虫たちがいます。ハエやアブのなかまです。いくら寒くても,活動できる気温に上がると,花の色を見分けてやって来ます。中には,花の中で寒さよけをしているものもいます。

キゴシハナアブがいました。メスです。じっとしています。赤い花にやって来て,蕊の黄色を目印にして蜜源を探ります。赤色の中央にある黄色という色の組み合わせが功を奏しているのです。 

 
この寒さでは動きようがありません。ひらすら耐えるだけ。


別の花にもいました。こちらはオス。もちろんじっとしたまま。


ツマグロキンバエは環境への適応がかなりあるとみえます。メス個体が花弁の外にいました。しかし,動きは鈍い限り。 

 
ほかに生きものの気配はないかなと思って探してみました。見つかったのは,体長5mm程度のごく小さなクモ。同定はしていません。普通ならわたしに気づいてさっさと逃げるでしょう。この寒さでは逃げることも叶わず,といった感じでした。それにしても,寒い季節でも獲物を密かに待ち伏せているのです。捕らえられる側にすれば,警戒を怠るわけにはいきません。


時間をおいて,風が収まった夕方見かけたのが2種。ともにハエのなかまです。花弁の上を歩いて移動していきました。

 


冬の昆虫にことのほか関心を抱き続ける者として,例年どおり今冬のサザンカの花も観察対象にしようと思います。

  


すっかり冬眠中,キタキチョウ

2016-12-29 | 昆虫

一年の締めくくりに庭掃除。枯れ葉がたくさん。それらを集めたら,廃棄用大型袋にどっさり。作業を終えて庭を眺めると,なんと気持ちよいこと!

作業の途中の話。夕方になっていました。ツワブキの葉柄を適当に間引いて切っていると,キタキチョウがポロリ落下。葉裏に付いて休眠中だったというわけです。申し訳ないことをしました。落ちても,脚を完全に曲げたまま。つまり,眠った状態なのです。


急いで写真に記録。


虫の目レンズで撮ると……。


夜,見ると,ツワブキの葉柄にちょこんと付いていました。地面に横たわったままでは眠り心地がよくないらしく,ここまで歩いて来たのです。


同じ庭のハギの木で,今年はずいぶん生態を観察させてもらったチョウです。卵も,幼虫も,羽化も。冬の今も,こうして現れてくれたとは光栄です。感謝,感謝。 

 


冬,カマキリを超近距離撮影(続)

2016-12-28 | 昆虫

オオカマキリを捕っておいて,晴れた日に改めて撮り直すことに。つゆの付着していないすっきりとした姿を撮ろうと思ったからです。

日を浴びて体温が上昇したらしく,動きが出てきました。ときには,驚くほど速く動きました。撮るときは,その合間を縫って,といった感じです。

鎌を上げて身構えます。威嚇の構えです。

 


ぐっと近寄ってみました。複眼に映った白い点をよくよく見ると,個眼が確認できます。

 
反対方向からも撮りました。まるでこちらを見ているよう。いえ,実際見えているにちがいありません。その証拠に鎌でレンズを触ろうとするのです。




かなり動くので,止まる瞬間を待って撮影。

 
脚を曲げる姿勢をとったので,前脚を入れて撮りました。突起の鋭さが,攻撃的な性質を物語っています。外骨格が印象的で,兜を連想させます。

 
おしまいに,前方向から頭部前面を撮りました。三角頭が感覚機能を担っていることに納得。

 
複眼をアップすると,個眼の様子がよくわかります。


光のもとで撮った写真からは,色彩はもちろん,体表の凸凹状態がじゅうぶん伝わってきます。迫真性があります。 

 


地域ミュージアムで考える(42)

2016-12-27 | 随想

レストランや喫茶店の店先に,メニューなど掲示物を立てかける三角架を見かけることがあります。いわゆるイーゼルです。これをミュージアムの玄関に置いて,近くを通る人に催し物を紹介することにしました。世はPRの時代です。ミュージアムでなにをしているのか,積極的に伝える努力をしなくてはなりません。ミュージアムがある公園の入口に掲示板があるのですが,これだけではPR不足だと感じていました。

それで,言い出しっぺのわたしがイーゼルを手作りすることにしました。

この際わたしは天然木を使うという点にこだわろうと思いました。自然に関するミュージアムなので,作るのならできるだけ素材も加工材でなく,雑木を活用したいと感じたからです。

手作りしたことがないので,まずネット検索をしてみました。しかし,参考にしたいものは見当たりませんでした。それで思い出したのが,市内にある資料館に手作りしたイーゼルが置かれていたこと。さっそく見に行きました。

それは天然木をうまく使って作られていましたが,わたしの納得のいくものではありませんでした。なかでも,相当探さないと入手できないと思われる金具が使われている点が気になりました。紐以外は純天然木製にしたいというのがわたしの思いだったので,金属に頼るのはどうも気になりました。ただ,パネル受けや,支え木の取り付けなど部分的には得るものがあったのは収獲でした。

結果,自分なりの思い付きであれこれ考え,それで作ってみることにしました。出来上がりは頭の中にあるだけ。できるだけそれに近づくようにしながら,木材を加工していきました。木組みには木工ボンドとダボを使いました。そうして3時間で完成! まあ,いい加減な駄作といえばそうでしょうし,努力作といえばそうなのかもしれません。

全体を見れば,下写真の姿です。


受け手はコーンパイプ型にしました。


支え木に穴を開けて外れないようにしました。


掲示板を置くと,こんなふうに。玄関先にちょっと彩りができたように思います。さて,肝心の効果のほどはどうでしょうか。

 

 

 


師走,金沢風景(7)

2016-12-26 | 旅行

21世紀美術館を再訪。この日は休館日のため,敷地内でゆっくり写真が撮れました。晴れた日で,オブジェが青く輝いていました。泡を連想させる愉快な金属球の集合体。凸面鏡の塊り! それに周りの景色が映ります。わたしもその景色の一部分を構成しています。 

 
中に入って見上げると,お椀状の面が並んでいます。こちらは凹面鏡。そこにも,足元や球面が映っています。

 
光の三原色のオブジェは,美術館を代表する野外構造物です。赤・青・黄の透明板に光が当たって,色の重なりが別の色をつくり出します。


影には緑も見えます。赤いパネルは見えません。影で確認できるだけです。 


反対側,つまり太陽の方向に移動しました。赤いパネルがあります。 


光のおもしろさは,やはり晴れていないとわかりにくいものです。

帰る時間が近づいて来て,金沢駅に移動。駅前広場で見た,噴水モニュメントがこころを引き付けました。噴水の高さはほんの2,3cmといったところ。文字部分だけから水が噴き出しているのです。今は午後「3:06」であることがわかります。  

 
しばらくすると,パターンが変わります。「ようこそ金沢へ」の文字が浮かび上がります。水の高さがもうすこし高かったら見やすいかも。


帰途,車窓から雪をいただいた白山連峰が遠望できました。間もなく本格的な雪の季節がやって来ます。里の家も木々も,田もすっかり雪で覆われる日が近づいています。 

 
ゆっくり旅はほんとうにいいものです。 

(完) 


レモンの収穫

2016-12-25 | 随想

レモンが色づきました。すでに初霜が降りました。急いで収獲しなくてはなりません。

今年の実り具合はまあまあというところ。多い年に比べるとかなり少なめ,少ない年に比べるとかなり多め,といったところです。

 
かたまって実っているところは,こんなふうにどっさり。景観としては上々です。


外から見ると,葉に隠れたように生っています。 


この木の実りを見て,近くの方が「道の駅で売ってあげるで」とおっしゃいました。むろん,丁重にお断りしました。使い道は,例年,お世話になった方々にプレゼントすることにしているからです。

4,5年前に植えた別の木にも,初めて実りました。2個です。この木もこれから期待したいと思います。 

 
持ち帰って並べてみました。酸っぱい匂いが伝わってきそう。もちろん,無農薬栽培で実った実です。この点は誇れるつもりです。年内にはあちこちにお届けすることにしています。


毎年2月に,木にはお礼肥として寒肥をたっぷりプレゼントしています。今冬ももちろんそうします。剪定もしなくちゃ。レモンの木に感謝。 

 


ロウバイ,花と昆虫(1)

2016-12-24 | ロウバイ

12月24日(土)。クリスマスイブ。朝,庭のロウバイに近寄ると,花が一輪ぷっくと開き始め! 「これはスゴイ! クリスマスプレゼントだぁ」。こころが叫んでいました。わくわくしながら匂いをかいで,そうして写真に収めて。芳香が微かに鼻を刺激します。


昨年は25日にほころびかけたのを見ていますから,平年並みということになります。全体の様子から見ると,いくぶん早めかなあという印象。

蕊が収まっています。昆虫は見当たりません。


ロウバイはわたしが観察対象にしている木です。真冬に咲く花に,どんな意味があるのか,どんな昆虫が訪れるのか,ずっと探ってきました。今冬もまた,この好奇心を満たしてくれそうです。身近なところにあるので,観察が容易である点は大助かり。

さて,どんな記事がアップできるか,たのしみにしています。

 


冬,カマキリを超近距離撮影

2016-12-23 | 昆虫

12月18日(日)。畑の野菜用ネットにオオカマキリがいました。寒さにやられてじっとしていました。動くには動くのですが,相当ダメージを被っている様子。からだじゅうに露が点々と付いていました。


前から見ると,威圧されそうな雰囲気。


近づいて撮りました。顎や触角が動きました。生きているのです。


正面から撮りました。複眼・単眼,口器,それに触覚がすべてというつくりです。外界を知るための感覚器官,獲物を食べるための口器。それらが前脚と連動して捕食行動がなされます,その指令系統がまた頭部にあります。そう考えると,さすがにどう猛な三角頭という感じが伝わってきます。しかし,低温には勝てません。死期が迫っています。力いっぱい生きてきたことでしょう。


撮影機材はコンパクトカメラです。近頃は常時携行しているこのカメラにほとんど頼っています。

 


年の瀬,庭の生きものたち

2016-12-22 | 生物

12月22日(木)。昨日は冬至。晴れて穏やかな一日でした。今日は曇りのち雨。でも,冬ながら過ごしやすい気温でした。午前中,雨が降る前に庭で作業。

近くを黄色いチョウが舞いました。キタキチョウかなと思って見ていると,鉢植えの竹にとまりました。近づいて確認。やはりキタキチョウでした。この気温ぐらいでは冬眠に入れないのでしょう。お蔭で,私の大好きな接写をさせてもらえました。


うんと近寄って。これだけの毛で寒さからからだを守ります。こうして見ていると小宇宙を覗いている気分になります。


マンサクの蕾がこんなにたくさん。枯れ葉と同居しています。蕾の中が覗いて見えるものもあります。わずかに黄色!


植木鉢のマンサクは葉を完全に落としました。早春の準備を整えています。あと1カ月ほどで開花が始まるでしょう。


このように冬を成虫で眠って過ごそうとする昆虫がいます。厳しい寒さでは活動することができないのです。秋にはすでに花芽を形成していて休眠状態にあった樹木があります。厳冬期に目覚め,いち早く活動を開始して昆虫の訪れを独り占めしようとする作戦に見えます。

自然の姿はたくさんのことを教えてくれます。