自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

テングチョウ,吸水行動

2015-05-31 | 昆虫

アゲハの庭園の脇に,流しがあります。 そこで作業をしていると,テングチョウがやって来ました。「ほほーっ,テングチョウの季節になったんだな」と思い,様子を見ていると,庭園に舞い降りました。

その後のこと。また流しに行くと,突然テングチョウが2匹舞い上がりました。「おやおや,ふしぎなこと!」と思いながら,作業を続けました。それでも,テングチョウは遠ざかりませんでした。近くを飛んでいるのです。ますますふしぎになってきました。

しばらくすると,なんと流しの足元付近に降りました。そこは水が滲み出しているところです。どうも,水分に興味があるらしいと思えてきました。とすると,吸水行動というわけです。

そっとそっと,コンデジを取り出して撮影することにしました。テングチョウはどうやら夢中になっているようで,わたしには気づいていないように思われました。「あっ,口吻が伸びている! まぎれもなく吸水しているんだ。これはきちんと撮っておかなくちゃ」と本腰になりました。

 
わずかに水分が付いている箇所に,執着しているように見えました。「ここにしよう」と決めたかのようです。


接写モードで撮影したのが下写真です。 


やがて吸水を終え, 舞い上がりました。しかし,その後も付近から離れようとはしませんでした。再び降りてきて,器の縁にとまりました。

 
こんなふうに特定の場所に強い関心を示すとは,ほんとうにめずらしい行動に思えてきます。

あとで調べると,テングチョウの吸水行動はめずらしくないようです。集団で吸水することもあるとか。新しい事実との出合いになりました。 

 


ヤマトシジミの成長(2)

2015-05-31 | ヤマトシジミ

5月28日(木)。夜。複数いる幼虫のうち,一匹が茎にいるのを確認。からだの色はカタバミの茎にとても似ています。これは保護色なのでしょう。


5月31日(日)。早朝。植木鉢で確認できている個体数は2。どちらも地面に降りて静止していました。しばらくすると,2つともカタバミに向かいました。どうやってカタバミの方向を感知するのか,ふしぎなほどの感覚を持っています。 

 

 
カタバミの根元に着くと,そのまま葉柄につかまりました。

 

 
前より大きくなっているのがわかります。体色もきれいな緑を呈しています。 

 


受難,アゲハの卵

2015-05-30 | アゲハ(ナミアゲハ)

アゲハの庭園にキンカンが一本植わっています。その木に,アゲハが産卵に訪れます。卵を探すと見つかることがよくあって,日頃から関心をもって見ています。先頃,ほんの10cmの範囲内に卵が3粒もあったので,どれか一つでも孵化する場面を見たいなと思っていました。

そのうち1個が孵化。二つめがこれに続くだろうと期待していたところ,とんでもない結果になりました。じつは,寄生バチが中からでてきたのです。ルーペで見ると,ごく小さなハエが数匹卵の表面やら周辺にいるので,びっくり。卵を見ると,うんと小さな真ん丸い穴がぽっかり一つ。

卵の直径は1.5mm。 ハチの体長はその4分の1程度,すなわち0.4mmぐらいでしょう。とすると,穴はさらに小さくて,0.2mmぐらいでしょうか。

 

中をじっくり覗くと,ハチの姿がありました。これから出てくる成虫です。


結局,中から,この成虫が出てくる瞬間を見届けることはできませんでしたが,こんな小さな卵にも,天敵が産卵していたというふしぎを深く感じました。 

 
こういう出来事は,もう顕微鏡で迫るほかない小宇宙での話。自然の実態って,ほんとうに深く,広く,限りないものです。 

 


ジャガイモの花と虫(9)

2015-05-30 | ジャガイモ

このコハナバチのなかまも,また印象に残るシーンを提供してくれました。

何度か見かけたコハナバチ。もちろん,複数の個体が訪れていました。花から花へと移っている様を見て,「目的はジャガイモの花!」と確信できました。

昆虫との距離を適度に保ち,なおかつ慎重さを欠かなければ,コハナバチはちっとも警戒しませんでした。お蔭で,結構満足のゆく画像が得られたのでした。 

蕊の先端辺りをしきりに気にしていました。このとき,受粉がなされることでしょう。からだには花粉がいっぱい。もちろん,ジャガイモのそれかどうかは不明ですが。


別の個体を見かけました。花は花弁を思い切り反り返らせて蕊の存在をアピールしています。そこを訪れたコハナバチが,ものの見事に柱頭に取り付いています。 


また別の花で見かけた個体です。からだには粉が付着しています。花粉なのでしょうか。 


背景のぼけた色合いが,ハナバチを浮き上がらせています。わたしの気に入った一コマです。

訪花時,受粉時,昆虫にとっても,花にとっても,至福のひととき。それは観察者にとっても同じ。至福の撮影時です。

 


ジャガイモの花と虫(8)

2015-05-29 | ジャガイモ

ジャガイモ畑に通い,花と虫のつながりについて継続観察してきました。 目が慣れてくると,というか,つながり方が見えてくると,というか,実態がわかってくると,自然のありのままの姿が解きほぐされるように明らかになり始めました。

それと呼応するかのように,印象に残るシーンを目にする機会が多くなりました。

ヒラタアブたちの活躍は特筆したい例です。一つの花に2匹もの個体がごく当たり前のように訪れていたり。


わたしが至近距離に近づいても,ちっとも気がついていなかったり。もちろんこれは,気づかれないよう細心の注意を払ってきたわたしの慎重さの結果でもあります。こういう場面を画像として克明に残せたのは,わたしにとってかけがえのない撮影経験になるでしょう。 


このとき,ヒラタアブはしきりに蕊の先に関心を向けていました。なにしろ10分近く,その場を離れなかったのですから。

 
送受粉が,こうした昆虫のはたらきで完了しているとは,ふつう考えかけもしないでしょう。次のように言い表すと大上段に聞こえるかもしれませんが,「花を見ていても,花が見えていない」からです。わたしもまた,昨年のこの時期にはそこに関心はほとんどありませんでしたから。心ここにあらざれば見(視)れども見えず,だったのです。

なにがしかのきっかけで,物事を詳しくとらえようとする動機が心の内に生まれるかどうか,このことが人の知的好奇心の発展のしかたを左右します。なんでも粗末に考えないことです。

ジャガイモの花に乾杯! 

 


ジャガイモ栽培物語《タネイモ編》(11)

2015-05-29 | ジャガイモ

5月27日(水)。ジャガイモの果実がこれだけ生りかけると,実が生らないことのほうがどうもおかしいと感じるほどの錯覚に陥ります。

「貴重な機会。せっかくなので一つの房で花から実へ移行する様子を画像にきちんと残しておくか」と思い,早朝の畑に出かけました。最近は5月とはいえ,真夏日が各地で記録されるという異常な暑さが続いています。そんな炎天下で作業することは健康上よくありません。朝なら,この点大丈夫。それに,朝日が横から当たるので光をうまく利用できるでしょう。

そんなふうにして撮った画像をご紹介します。

束になった感じで,花が実に移行していきます。子房が膨らむにつれて,役目を終えた蕊が落ちます。

 
花がかたまっていれば,実がかたまってできます。花から実への移り変わりが,段階的に観察できます。


こんなふうに横一線に並ぶのは,観察条件としては最高です。 


花が開いて,萎んで,子房が膨らんできて,……。 


必ずしも,下向きに付いているわけでもありません。 


なんと行儀よく並んでいることか! 受粉できなかった花はもあります。それらは花の付け根から落下します。落下した後には,名残りの花茎が残ります。 


ここでも,そこでも,あちらでも,といった感じで観察できます。 

 
なかよく揃った実。朝の光を浴びて,実の中が充実していきます。


こうなると,やっぱり実が生らないほうが変だという感じになってきます。 おわかりいただけると思うのですが。


実はまだ1cm足らず。これからぐんぐん成長するでしょう。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その341)

2015-05-28 | ジャコウアゲハ

アゲハの庭園での目撃話です。4月から5月にかけてジャコウアゲハがずいぶん飛来したと思っていたら,案の定,外敵につまかった個体がいました。


その外敵とはクモ。ジャコウアゲハをはじめ,昆虫たちがたくさん訪れるのを知っているかのように,クモがあちこちに巣を作っています。

不運にも,その巣に引っ掛かってしまったのです。

 


これまでに,ジャコウアゲハがクモの巣に引っ掛かって被害に遭った例を見たのはほんの数例。アゲハの体型と飛翔能力からすると,クモの糸は強力すぎるほどでもなさそうです。小さなクモが作る巣なら,ほとんど被害に遭わないのではないでしょうか。

それなのに,今回は小型のクモにやられてしまった例なのです。食べる方も,食べられる方も,自分のいのちを生きようとしているのですから,なにが起きても,わたしの感傷を差し挟む余地はまったくありません。

アゲハのからだが,静かに風に揺れていました。 

 


ジャガイモの花と虫(7)

2015-05-28 | ジャガイモ

ツマグロヒョウモンについては,蕊にいるのを目撃したことが一度あり,そのときの写真はすでに記事で取り上げています。しかし,ほんのわずかな時間内での出来事で,送粉の仲立ちをしているのかどうかまでは確認できないでいました。

ところが,つい先日,「これぞ,ツマグロヒョウモンが訪花昆虫である証拠!」という目撃事例が確認できたのです。じつは,このときはツマグロヒョウモンを3匹見かけました。それぞれが蕊にいたので,びっくりびっくり。

下写真の個体は,オシベとメシベに脚を置き,柱頭を舐めていました。 

 
しばらくして,オシベ方向にからだを反転。そして,同じように口吻を伸ばし栄養を補給していました。


またからだを反転。飛ぶ動作に入ってから,パッと消えました。


他の花では,別の個体が葯を舐めていました。 


ツマグロヒョウモンは良き送粉者なのです。接写撮影は新しい知見をプレゼントしてくれます。 

 


ジャガイモ栽培物語《タネイモ編》(10)

2015-05-27 | ジャガイモ

5月25日(月)。夕方,ジャガイモ畑に出かけました。結実の様子を観察すると,昨日より子房がぐんと膨らんで見えました。たった一日で! 「これは貴重な画像だ」と思い,とにかくデジカメで撮っておくことにしました。

房に付いた花がどれも実になるような勢いを感じる場面も。


メシベの先端付近に,枯れかけた花弁やオシベが付いたものも。子房がずいぶん大きく見えます。 


「お先に」とばかりに,一足先に結実に向かう子房。隣りでは,一歩後を追うように受粉を終えた花が萎みかけています。 


花々に囲まれて,「お先に」と一歩先に実を膨らませる花があります。 


近いもの同士は,同じように結実に向かうのでしょうか。花弁が落下して,花柱が露わになって。 

 
果実の子どもは,なんとツヤのあること!


花茎が優雅に曲がり,その先に果実を大事そうに付けて。 


真下に向けて実が垂れ下がっています。 

 
これらは,たしかな結実物語なのです。大騒ぎするほどのこともなし。品種によって,どっさり,たっぷり実を結ぶ,という点が重要なのです。先祖の遺伝子を見事に受け継いでいます。 

 


ヤマトシジミの成長(1)

2015-05-27 | ヤマトシジミ

5月25日(月)。カタバミの葉に産付された卵が孵り,幼虫をそのままにして時折観察していたら,すこしずつ成長しています。植木鉢に植えているので,観察は容易。

食痕を見ると,その様子が窺えます。


初齢幼虫の段階では探すのに苦労しましたが,脱皮して大きくなると,それほどの苦労はないでしょう。

今日探すと,脱いだ皮が茎に付いているのが目に入りました。それなら,幼虫は? 探しても見当りません。「あれっ? おかしいな」と思ってよくよく見ていくと,なんと根元にいたのです。見つからなかった筈です。 

 

 
しばらくすると,ちょっと動きました。上に向かって移動を始めました。


見覚えのある,あの姿。そして,あの色。 


植木鉢から出て行かなければ,なんとか継続観察を続けることができそうです。それで,本記事のタイトルをシリーズものにしたのです。