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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

(続)今年,ジャガイモの花と実

2025-06-12 | ジャガイモ

すぐれた児童書はおとなのこころも引き付けます。内容が本質的でわかりやすく正確なので,説得力をもってそれが迫ってきます。著者が自らが余分だと思われる内容を削ぎ落とし,もっとも本質的だと考える部分をなんとか子どもに伝えようと努め,記述をも含めて十分吟味した結果です。そんな児童書に巡り合うと,こころに灯を得たようで,おとなのわたしまで限りなくワクワクしてきます。

ジャガイモのことをさらに知りたくなって,図書館でそれに関する児童書を数冊借りてきました。そのうちに一冊がなんと,長年のわたしの疑問を氷解させてくれたのでした。疑問というのは「ジャガイモの花にチョウが来ているのを見かけないけど,なぜか。ほんとうに来ないのか」「葯の表面に花粉がないのに実ができるしくみはどうなっているの」というもの。

著書名および著者・監修者名は書かないでおきます。著者は元教師,監修者は栽培・育種現場で長年ジャガイモの研究に打ち込んできた方です。子どもの目線に立って好奇心が満たされるように書かれていることがこれだけでもわかります。

 

本の中身に触れる前に。わたしは以前,あるジャガイモの育種研究施設に問い合わせたことがあります。そのときの回答はわたしにはまったく満足できるものではありませんでした。再現してみましょう。

 

わたし「実が生るには昆虫が来て花粉を運ぶはずなのですが,観察しているとときどきハナバチとかツマグロキンバエ,それにヒラタアブあたりが来るだけで,チョウが来ることはめったにありません(わたしが見たのは数回のみ)。チョウは来ないのですか」

研究者「どうなんでしょうか。確かに見かけない気がします」

わたし「花びらの色や蕊の色で昆虫たちにアピールしていれば,チョウにも目に付くと思うのですが,どうなんでしょうか」

研究者「うーん,よくわかりません。ジャガイモ畑でチョウが花にいるのを見かけることはありませんねえ。申し訳ありませんが,わたしにはその程度しかお答えできません」

 

 

こんなわけで,わたしはこの疑問をずっと抱き続けてきたのでした。疑問の氷解に至ったのですから,ずばり解決したというわけです。児童書のみごとな記述を引用しておきましょう。

「ジャガイモ畑の虫」の項で(写真の解説文)

・ヒラタアブのなかま 成虫は花の花粉を,幼虫はアブラムシを食べる。

・ツマグロキンバエ  緑色で眼がしまもようの小さなハエ。花の花粉を食べにやってくる。

・コアオハナムグリ  緑色をした小型のコガネムシ。花にきて花粉を食べる。

「花のつくり」の項で(写真の解説文)

・おしべの先にあるあな(とうや)。ここから花粉がでる。

・ジャガイモの花はみつをださない。だからチョウやミツバチはこない。くるのは花粉を食べるコガネムシやハエのなかまくらいだ。

・電子けんび鏡で見た花粉。ひとつの大きさは0.02mmくらい。花粉のできやすい品種とできにくい品種がある。

 

問い合わせで「蜜がないのでチョウは来ませんね」とでも教えてくださっていたら解決していたはず。わたしが数回見たチョウはモンシロチョウでした。吻を伸ばしていたので蜜を探していたのでしょう。でも空振りなのですね。やっとそのときの答えが得られました。

この児童書に刺激を受けて,わたしもクロースアップ写真撮影に挑みました。それは次回に。

 


今年,ジャガイモの花と実

2025-06-10 | ジャガイモ

今年もジャガイモの実がどっさり生っています。品種はもちろんホッカイコガネ。実を見て,種を採るのがじつにおもしろい!

これは花。

 

ここからは実。花から実へ。

 

「花が咲けば実ができる」。これは植物界の大原則。

 

実がたわわ。

 

この調子だと実がしっかりできるでしょう。

 

こちらも。

 

栽培をたのしむって,じつにゆかいな話!

 


'23 ジャガイモ“ホッカイコガネ”の今(3)

2023-06-05 | ジャガイモ

6月5日(月)。

ジャガイモの地上部が枯れて来ました。そろそろ収獲時期です。葉が枯れるに伴い果実が熟して来ました。

 

実の大きさは一円玉ほどです。表面にできた点はカメムシが吸汁した跡形です。

 

実が落ちています。

 

生った実,落ちた実。ジャガイモの生育はここまで。

 

地中にはきっと期待どおりにイモができていると思うのですが。

 


'23 ジャガイモ“ホッカイコガネ”の今(2)

2023-05-30 | ジャガイモ

5月30日(火)。昨日梅雨入り。今朝,雨が上がったときにジャガイモの実を撮影。ジャガイモは今,葉が黄色くなりかけています。もうすぐ収獲です。

 

実の重みで果実全体が地面に倒れています。

 

実の表面の黒点はこのカメムシによるもの。トマト科植物のジャガイモのなのですが,同じなかまのトマトの味と比べると,とんでもないほどの味です。ある研究者の手記に焼酎に入れて飲んでいたとありましたが,焼酎派のわたしは同じようにしようとは到底思えません。ジャガイモの緑には有毒物質が含まれているといわれています。ただし,その研究者の話では実の成分は口にしても大丈夫だそうです。

 

ここにもカメムシがいます。この実も汁を吸われそうです。わたしたちにはとんでもない味でも,カメムシには極上の味わいなのでしょう。

 

ジャガイモ物語はなかなかよいものです。

 


'23 ジャガイモ“ホッカイコガネ”の今(1)

2023-05-11 | ジャガイモ

5月10日(水)。ホッカイコガネの花の盛りが過ぎ,実が生りかけました。

 

実の表面にある黒点はカメムシが吸汁した跡形でしょう。カメムシはこの汁が大好きなのです。

 

花から実へ。それが理解できる,花と実が同居していて花から実への移行が確認できるこの場面が好きです。

 

これもそうです。

 

今後折に触れてホッカイコガネの様子を記事でご紹介しましょう。

 


"魚露目"で見たジャガイモの花

2023-05-04 | ジャガイモ

ジャガイモの花が咲いています。今年は三種のジャガイモを栽培。この写真はホッカイコガネのそれ。結実と収獲をたのしみにしているので,ホッカイコガネの栽培は欠かせません。

 

光をいっぱいに浴びてニコニコしているような。奥の雲が風景に溶け込んでいるような。

 

もう一つの畑でもホッカイコガネ。大きくして見てみると,ずっと向こうに軽四が走っていて,右端にわたしの作業車があるがわかります。これがこのレンズのおもしろさです。

 

ニジュウヤホシテントウはジャガイモの害虫です。これはほんとうに厄介な昆虫です。でもわたしは適当にしています。

 

もうすぐ花が実に変わっていきます。たのしみ,たのしみ。

 


"はりまる"の果実(実)

2022-06-30 | ジャガイモ

"はりまる"は近年育種された品種です。栽培が始まって間もない新品種といってよいでしょう。イモの外観で特徴的なのは目が薄紫だという点です。

 

"はりまる"の曾祖母にあたるのが"コナフブキ"。それがもつ結実しやすいという性質を受け継いでいるらしく,花が咲けば実がよく見られます(育種者談)。"咲けば"と書きましたが,わたしが実際に栽培してみると,花が咲くまでに至るのは多くはありませんでした。それでも,数例咲いたなか,今年も果実(実)がきちんと生りました。

 

表面の斑点はカメムシが吸汁した跡形です。カメムシはジャガイモの実がお気に入りです。

 

種子を取り出して,来春播種しようと思います。

 

ジャガイモは興味が尽きない植物です。

 


'22 ホッカイコガネ,栽培物語(4)

2022-06-13 | ジャガイモ

6月12日(日)。入梅前のカラッと晴れ渡った日でした。ジャガイモの花は概ね実に置き換わっています。どっさり生っているのを見ると,なんとも言い難い爽快さが感じられます。

 

前に書いたことなのですが,実の味のほどはいかが? そんなふうについつい思ってしまいます。ジャガイモと有毒成分の話はよく知られたことで,イモが緑色を呈しているのは要注意。だったら,実はどうかという話になります。

 

専門家は食べても大丈夫と書いています。わたしもそれに倣って一粒味をみてみた経験があります。経験したからこそわかることは,食べられるようなシロモノではないということです。いつまでも,その苦さ,独特の味は消えませんでした。ずっと,ずっと。

 

ミニトマトとかたちそっくり。どちらもナス科植物の実。なのに,味はちっとも似ていません。

 

そんなことを思い出しながら撮影。

 


ジャガイモの花とタイワンタケクマバチ

2022-06-07 | ジャガイモ

ジャガイモの花と実の写真を撮っていると,そこに飛来したのがタイワンタケクマバチ。めったに見かけないクマバチなのですが,ずいぶん久しぶりに見ました。

 

クマバチは花を巡って花粉を集めている様子でした。きちんと撮ろうとしたのですが,動きがじつに早いのでなかなか。

 

結局撮れたのは下写真の程度でした。

 

ジャガイモの花を訪れる昆虫はとにかく少ない中,貴重な目撃となりました。ただ,タイワンタケクマバチにとってこの花がどれほどの意味があるのか,よくわかりません。

 


'22 ホッカイコガネ,栽培物語(3)

2022-06-06 | ジャガイモ

6月5日(日)。

いずれの株にも実がしっかり付きかけています。これから,見応えのある光景が展開しそうです。まず今日の様子をご紹介します。

 

花から実へ。納得の変化が確認できます。

 

実の先にはメシベの名残りが。

 

花から実へ,行儀よく並んでいます。

 

ホッカイコガネはいたって結実しやすいという遺伝情報を残している品種なのです。

 

花弁が落ち,実が膨らんでいきます。

 

この光景を見ると,ジャガイモは花から実(種子)へのバトンリレーを学ぶ際,好材料として魅力度が増します。小学校の植物教材「花と実」で取り上げるなら,ジャガイモの花は意外性を秘めた説得力のある素材だといえます。