自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

クモは幼虫の天敵

2014-09-30 | ルリタテハ

アゲハの庭園での出来事です。ほんとうにビックリ。採集してきて,食草ホトトギスにおいていたルリタテハの幼虫が,クモに襲われたのです。元気に育っていて安心していたのですが,突然,この事態が発生しました。

庭の手入れをしていて,たまたまその場を見かけました。わたしの観察の原則は,なるがまま,あるがまま,です。どんなことがあっても,自然の摂理に任せるというのが筋です。

できれば羽化まで見届けたいと思っていました。残念ですが,期待は裏切られました。なるがままなので,止むを得ません。目撃したときは,すでに動かない状態になって,宙吊りでした。


軽く指を触れると,クモは大事そうに抱えて葉の表側に移動しました。その姿からは,絶対に逃さないという決意のようなものが伝わってきました。わたしが助けたところで,幼虫のいのちはもう回復する見込みはなかったでしょう。


さらに驚いたのは,近くにいたもう1匹の幼虫もまたクモに襲われたことです。これは大丈夫だろうとすっかり油断し切っていました。続けて2個体も失いました。なるがままであっても,これからの飼育には慎重さを期さないといのちに申し訳ありません。教訓にしておきます。

クモの目線で考えると,葉の色とそっくりで,保護色をしています。ちゃんと生き延びる術を心得ているわけです。クモに直接事情を聞けたら,獲物がそこにいたから襲ったにすぎないと答えるでしょう。色も襲い方も生得的に備わった習性なのです。しかし,「どうして2匹も続けて襲うのか」と反論したくなります。

生きものの世界は,まことに厳しいものがあります。

 


前蛹へ,そして蛹へ

2014-09-30 | アカタテハ

アカタテハの生態がずいぶん見えてきました。観察を重ねると,それだけいろんな様子がわかりかけ,「ははーん,このチョウはこんな習性があるのだな」と思えるようになります。

コップに食草カラムシを何本か挿して飼育していると,そのうちに巣を作ってその中で前蛹になりました。飼育はじつに簡単です。カラムシの葉が枯れないように心掛けていれば,自然の中とそっくりの状況がつくり出せます。 

 
コップを飼育箱に入れておくと,蓋やらプラスチック壁やらで蛹化準備に入る個体が現れます。ほんとうはそれは人工環境なので,わたしは好きにはなれませんが,なるようになるのですから「まあ,しかたないか」と思っています。

前蛹になったばかりだと,からだがグッと大きく湾曲しています。

 
しばらくすると,からだが垂れ下がり,伸びてきます。

 


こうして蛹化への道を辿るのです。 

 


ツマグロヒョウモンの産卵行動,再び(続)

2014-09-29 | ツマグロヒョウモン

産卵行動を虫の目レンズで撮ればどうなるか,それを確かめたくなりました。

大急ぎで家からレンズを持ち出して,セットしました。そうしてそっとチョウに近寄っていきました。チョウはまったく気づいていない様子です。チョウは低い位置にいます。それよりも目線を低くしようと思い,うつ伏せ気味になって撮影しました。結果,チョウの上方に草や家を写し込むことができました。

 
チョウは舞って移動していきました。降りたのは枯れ草の上。そこで産卵。スミレさえ生えていれば,スミレでなくても草の下,枯れ草に巧みに卵を産み付けます。


何度か舞い上がっては降りてきて,産卵を繰り返しました。狭い空間であっても,たとえば向こうに家屋が写り込むような構図だと,意外に遠近感がつくり出せるようです。やはり,虫の目レンズは工夫次第で重宝な道具になります。 

 


虫の目レンズはおもしろい(続々)

2014-09-28 | 日記

夕闇が迫るひとときのこと。陽がすっかり傾いて裏山の向こうに沈み,辺りは薄暗くなっていました。我が家の前栽の手入れをしていて,偶然,ツマグロヒョウモンがマンサクの葉にぶら下がるようにして休息しているのを見かけました。

隣接地で産卵を繰り返し,疲れているはず。隣りにある庭にたまたま飛来して,都合がよいと判断したのか,ここを休息・休眠場所と決め込んだのでしょう。


これは絵になるなと思い,虫の目レンズを持ち出してきました。このレンズは暗い場所では力が発揮できません。それで,フラッシュを使って撮ってみることにしました。

ところが,わたしの動きを感じてサッと舞い上がりました。「残念!」と思いながら目でその姿を追っていると,うれしいことに元の木に戻ってきたのです。そして別の葉でしたが,同じようにぶら下がる格好をしました。「今度こそ,もっと慎重にしなくちゃ。どうか逃げないで」と願うようにしてレンズを近づけていきました。

結果,得られた画像が上のものです。結構いい線にいっているように思えるのですが。ツマグロヒョウモンに感謝。

翌朝見ると,そこにちゃんとぶら下がっていました。やっぱり休眠場所にしたのです。 

 


ルリタテハ,孵化次々

2014-09-28 | ルリタテハ

9月24日付け記事で取り上げたルリタテハの卵が3個とも孵化近くなってきました。これまでの観察から,いつ頃孵るのかだいたい予測は付くので,そのときを待っていました。

夜のこと。卵の天井部分を噛み砕いて,そうしてやがて出てきました。待ち構えているときに,こうして誕生してくれるのは撮影者としてほんとうにありがたいばかり。 

 
頭を出すと,そのままスルスルッと殻から抜け出しました。そのあとは,殻には無頓着で,遠ざかっていきました。

次の卵もまったく同じ経過をたどりました。出てくる瞬間というのは,何度見てもスゴク感動的です。殻を透して見えるからだ,外に出ているからだ,この両方が見える瞬間はこころにジーンときます。

 
この夜の撮影は,観察・撮影の両面で十分に満足できるものとなりました。感謝。 

 


ツマグロヒョウモンの産卵行動,再び

2014-09-27 | ツマグロヒョウモン

先日記事にした空き地での話です。

その後,ツマグロヒョウモンが2頭産卵に訪れているのを見かけました。貴重な機会なので,産卵行動をきちんと見届けようと思いました。コンデジで画像記録をしている途中,「やはり一眼レフがいい」と思い直して,家から持ち出して撮ったのが以下の画像です。

草の間を歩きながら,産卵場所を探している風景です。ほんとうに草の中といった場所です。 


スミレのすぐ傍に舞い降りました。そのうちに,スミレに産卵するのかなと思ったら,違っていました。 


歩いてスミレの方にすこし近づいたかと思うと,枯れ草に産卵。「スミレの近くなら,枯れ草でもOK」といわんばかりに,さっさと産み付けました。 それにはびっくり。

 
舞い上がった後,産卵場所を変えました。

 

 
スミレの近くに舞い降りたのは同じなのですが,卵を産付したのはスミレ以外の葉でした。またまたびっくり。

 

 
産卵を繰り返すとエネルギーを使うのでしょう,翅を広げてしばし休んでいました。

 
この観察で,生態についての新しい知見を得ました。新鮮な事実にふれると,観察のおもしろさが倍増します。 

 


りっぱな毛の若齢幼虫

2014-09-26 | ヤマトシジミ

ヤマトシジミやベニシジミの1齢幼虫を見ると,からだに似合わないほど長い毛が全身を覆っています。それは,ややオーバーな表現をすると,まるで魚の骨格を連想させるかたちに見えます。

なぜそんなに長い毛を持っているのかと疑問が湧きます。正答は,生物学者を含めだれにもわからないでしょう。ただ,推測するほかありません。たぶん,小さいからだなりに,外敵から身を守るとか,動いている際に物理的に接触するものから受ける刺激を和らげる,そんな理由があるのではないでしょうか。

さて,この幼虫に出合おうと思えば,カタバミの葉を探すことになります。卵はごくふつうに産付されていますから,その数だけ幼虫が生まれます。それで,繰り返して探しているうちに目が慣れてきて,次第にその“骨格” 的からだに容易に出合えるようになります。

 
身の安全を保つために葉の裏で生活しています。それを見つけても,その状態で撮影するのは結構むずかしいものです。


この写真は植木鉢に植えているカタバミで幼虫を発見して撮ったものです。植木鉢なら横に倒して撮影できます。運に任せて幼虫を探すかといえば,そうではありません。必ず食痕を目印にします。食痕は葉の表側からはっきり確認できます。

若齢幼虫は小さな食痕を残しています。確率は高くはありませんが,そこにいる可能性がかなりあります。そのぐらいの気持ちで適当に探します。そうして出合えると,「ヤッターー!」とこころが踊ります。こういう気持ちは,人にはなかなかわかってもらえそうにありません。 

 


ベゴニアと訪花昆虫たち

2014-09-26 | 昆虫と花

プランターにベゴニアを植えています。5月から今に至るまで花が咲き続けています。それも,花がたっぷりで,盛り上がるほどなのです。ベゴニアの生命力には驚き入ります。

その花に,朝から虫が訪れています。ホソヒラタアブは代表的な訪花昆虫です。花に近づくと,ホバーリングをしながらゆっくり着地します。 飛翔する昆虫をシャープにとらえて画像にできたら気分は最高なのですが,なかなかそこまではいきません。

 


花では,蕊に口吻を付けて熱心花粉を舐めます。目には花粉らしい粉がたくさん付着しているのは,花を巡ってきた証拠です。


ヒメヒラタアブもおいしそうに蕊を舐め回していました。 花と比べてなんとからだが小さく,愛らしい姿をしていること! “ヒメ”って,そんな形態から付けられたのでしょう。 

 
小さな小さなハエがいました。一つの花で,相当量の餌を口にすることができるでしょう。この花から離れることもなく,口吻を伸ばし続けていました。


数は多くはありませんが,こうして毎日虫が訪れています。

 


産卵行動と産付卵

2014-09-25 | ツマグロヒョウモン

我が家の隣接地に,更地になった宅地があります。そこは草が伸び放題で,昆虫が適当に棲みついています。自由に出入りできる土地でもなし,魅力的な場所にもなっているし,というわけで,すこし関心を向けている土地です。

たまたまそこにツマグロヒョウモンのオスがいたので,撮影しようと思って遠慮しながら入らせていただきました。ツマグロヒョウモンはわたしの動きを認め,エノコログサやらイネ科の草やらに盛んに移動していきました。いくら慎重に近づいても,パッと飛び立ちました。しかし,その草むらから飛び去ろうとはしませんでした。

そのうちに,今度はメスが目にとまりました。その直後,草丈の低い部分に舞い降りて,草の間を歩き始めました。産卵行動です。「こんなところにスミレが生えていたのかなあ」と不思議に思って見ていると,確かにスミレが見えました。


ツマグロヒョウモンは,飛び立つとまた別の場所に移動していきました。それが,スミレのある場所をちゃんと心得ているかのような動きなので,びっくりしました。そこにはちゃんとスミレが生えていました。

結局,その後卵を確認して回ったところ,みんなで4株,5個の卵が確認できました。葉の裏側に3個,葉柄に2個です。これらが同じ成虫が産み付けたものかどうかは不明です。


これだけあれば,孵化の瞬間が観察できそうです。今季締めくくりの撮影になるでしょう。それにしても,この空間にスミレが生えていたとは!

 


ルリタテハの卵(続)

2014-09-24 | ルリタテハ

ルリタテハの卵を発見したものの,どこかすっきりしない気持ちがありました。よくよく考えてみると,孵化間近な卵を見つけて,孵化が観察できたのですが,産卵後間もない卵を見たことがなかいのです。やっぱり卵は産み付けられた頃を見ておきたいもの。今を逃すと,来シーズンを待たなくてはなりません。

それはそれでたのしみなのですが,やっぱり今見ることができたら最高の気分に浸れるでしょう。それで,出合えるかどうかわかりませんが,とにかく探してみることにしました。場所は先日卵を発見したのと同じところ。

山の斜面に生えたサルトリイバラをあちこち探していきました。まったく卵らしいものは目にとまりません。どうやらなさそうだと思い,諦めかけていたときのことです。一本の茎にきれいな卵が! きれいな草色の卵です。思わず翡翠を思い浮かべました。「ラッキー!」。

よくよく見ると,一枚の葉の表にも裏にも。

 


別の葉の表側にも。さらに柄部分に産付された葉が! 全部で4個です。  

 
柄に付いた卵は接着が頼りなかったのか,落下して見当たりませんでした。惜しいことをしました。それでも3個について貴重な画像が得られたのです。