自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

アゲハの孵化を追う(6)

2013-06-30 | アゲハ(ナミアゲハ)

佐々木崑さんの著書に『生命の誕生  ~昆虫・小動物の世界~』があります。初版は1978年(昭和53年)5月3日出版ですから,もう35年前の本です。昆虫を含めて身近な小動物の誕生とその直後の瞬間をとらえた労作で,わたしは管理職時代も含め,授業でずいぶん使わせていただきました。誕生物語がもうたっくさん,簡単な解説付きで取り上げられており,さらに写真が刺激的なのです。

例えば,カメムシやミミズ,ナメクジ,カタツムリ,テントウムシなどはわたしの目を引き付けてくれます。

この本を見るたびに,「こんなに没入できる世界にいられて,あたらしいいのちとふれ合うなんて,なんてすてきな生き方なのだろう」と思ったものです。足元にも及ばない話ですが,近頃のわたしは,なんだか佐々木さんのこころにすこし近づけたかなというような気がしています。

当時のカメラ・印刷技術と今のものとではずいぶんちがっていて当たり前です。しかし,今の感覚から見て画質は劣っていても,写真に賭ける熱・夢が見事に凝縮されているのです。

わたしはここのところ集中してアゲハ類の孵化を追ってきました。誕生の一瞬をとらえたいという夢を持ちながら。そんなひとコマをご紹介しましょう。

殻の一部を中から食い破って出てきます。

全身が出てきました。こんなからだが準備されていたのです。卵は直径1mm。

出終わると,幼虫は殻を食べます。

変化にはいのちの神秘がつきものです。見ていて,ちっとも飽きることはありません。佐々木さんに深謝。

 


クロアゲハの成長(6)

2013-06-30 | クロアゲハ

6月8日(土)午前7時。孵化後,11日と14時間が経過。葉にできた食痕が次第に大きくなってきました。空腹を満たすと,やっぱり元の場所に戻って休みます。

 

6月9日(日)午前6時。孵化後,12日と13時間が経過。下写真は,葉を食べて休む位置に帰っていくところです。

午後10時。孵化後,13日と5時間が経過。食痕がずいぶん大きくなりました。

もちろん,戻って休みます。 

6月10日(月)午後9時。孵化後,14日と4時間が経過。葉は,ほぼ食べ尽くされました。律儀にちゃんと戻り,頭を下に向けて休んでいます。

いつも同じ姿勢で休みます。 

 


ジャガイモ畑で見た昆虫(続々)

2013-06-30 | 昆虫

前日から続いている雨が小降りになったとき,畑に出かけました。雑草がのびのびと茎を伸ばし,葉を広げています。

ジャガイモは,梅雨の雨に打たれ生気を取り戻したように勢いづいています。土は水をたっぷり含んでしっとり,葉は雨に濡れてパリッとしています。

その葉にシジミチョウが2種とまっていました。とくべつにジャガイモの葉が気に入ったわけではなく,偶然そこにとまったにすぎないのでしょうが,狭い空間に4匹もいたのはマア居心地が悪いわけではなさそうです。雨に濡れながら,雨宿りをしていたのです。

ひとつはヤマトシジミ。

もうひとつはベニシジミ。

強い雨なら葉の裏にでも隠れるのでしょうが,しとしと降る雨は平気のようです。大き目の葉なら,足場が安定しているので,比較的安全なのでしょう。それに,からだじゅうを覆う毛と,翅の鱗粉が水をじょうずに弾きます。

一年に一度必ず訪れる梅雨の乗り越え方は,とっくに織り込み済みのはずです。 

 


ジャガイモの実,もう一度

2013-06-29 | ジャガイモ

先日記事にしたジャガイモの実をきちんと撮影しておこうと思って,再び出かけました。ちょうど栽培者の知人Tさんが在宅で,その話をしました。Tさんは,実の意味についてはまったくご存知ありませんでした。それで,お伝えしておきました。

写真を撮っているときに気づいたことが二つあります。

一つはとにかくたくさんの株に実が生っていることです。足元に落ちている実も,ほんとうにたくさんありました。ふしぎな風景でした。

二つめは,その実にカメムシがたくさん付いていたことです。果汁を吸っているのです。その跡形が残っています。ジャガイモ畑にはいくつかもカメムシがいますが,実もまた格好の餌場になっているのです。珍味なのかもしれません。

以下,写真を何枚かご紹介しておきます。

 


草で見たムカデ

2013-06-29 | 生物

ウォーキング中に,ヨモギの茎を這うムカデを見ました。上がっていき,そうして下り始めました。そのとき,しばらく止まってじっとしている時間がありました。

わたしは,コンデジを近づけて写真を撮りました(下写真)。 大きさは7,8cmというところでしょうか。何をしていて,一瞬なぜ止まったのか,と思いました。 

我が家には,この梅雨期に三度ムカデが家に入っているのを見ました。毎年,何度か退治します。たぶん,ゴキブリか何か昆虫を餌にしようと入って来たのでしょうが,これまでに捕獲している姿を見たことはありません。

この日,たぶん,昆虫を捕まえようとしてヨモギにやって来たのでしょう。昼間はあまり見かけないので,めずらしい光景でした。昆虫でも捕獲していれば,ほんとうにスゴイ場面だったのでしょうが。

 


アゲハの孵化を追う(5)

2013-06-29 | アゲハ(ナミアゲハ)

6月18日(火)午前8時20分。白い,透明感のある卵を透かして幼虫の動きが伝わってきます。 殻が食い破られ,頭が覗き始めました。

午前8時21分。からだ出るだけの穴が開くと,するするっという感じで実に滑らかな感じでからだを出し始めました。 

上写真をトリミングすると,穴とからだの大きさの比が見事なほどにわかります。 

午前8時21分。からだのほぼ全体が出終わりました。出始めてから,ほんの1,2分の出来事です。  

幼虫は,この後,殻を食べました。

小さな小さな世界の,いのちの躍動がここにはあります。

 


ハチの子育て(続)

2013-06-28 | ハチ

前回の記事内容(『ハチの子育て』)から4週間程経ったでしょうか,巣の様子が変わってきました。あれから,成虫が二匹に増えました。そうして,今では四匹を数えるまでになっています。

 

たぶん,羽化した成虫が親と共に巣を守って,“家族育て”に協力しているのでしょう。

巣の大きさ,つまり部屋数は前と変わっていないように思われます。ということは,部屋を再利用しているということです。実に効率よく活用しているわけです。よく見ると,前に卵・幼虫(蛹)があった部屋に,幼虫がいます。これは明らかにあたらしい家族です。

 

写真を撮ろうとレンズを向けると,それまで巣作りに専念していたハチたちは一斉にこちらに目を向けました。作業をしながらも,ちゃんと周りの世界をとらえているのです。外敵が襲えば,それこそ死活問題が生じます。ハチの世界でも,備えは常に怠らず,です。

その後,ハチが一匹になっているときがありました。他の三匹は餌を捕獲に出かけたのでしょう。「これはチャンス!」とばかりに,巣穴の中を写すことにしました。

 

夕方,見ると,ちゃんと成虫が四匹揃っていました。

 


印象に残ることになった“6月28日”という日

2013-06-28 | 日記

人との出会い,自然との対話ということで,たいへん印象に残る日になりました。その中から,身近な自然とのふれ合いについて書いておきましょう。

その1はカナブンの羽化。

プランター内の土を入れ替え,ツルムラサキの苗を植える作業をしているときでした。プランターをひっくり返して土を出すと,カナブンの幼虫や成虫,それに羽化間もない個体が出てきました。昨年に続いて見ました。

土の中で,ちゃんと成長を続けていたことにこころを動かされました。適度な湿り気があって,棲み心地がよかったのでしょう。

その2はケラ。

カナブンを見た直後,土の中から現れました。「今年も!」という気持ちになって,すっかり興奮しました。もちろん,わたし一人の作業ですから,静かにわくわくと受けとめ,黙々と作業を続けたに過ぎないのですが。

その3はモグラ。

夕方,子らが騒いでいました。そのうちの一人が慌ててやって来ました,そうしてこう教えてくれました。

「館長先生,モグラがいてね,捕まえたん。見に来て!」

行くと,確かにモグラです。子らは砂場に持って行って,潜るか確かめているところでした。「初めてほんものを見た」という子ばかりでした。「弱らないうちに自然に戻してやってね」と言いながら写真を一枚。

ほんものの自然がまだあるというのは,ほんとうにハッピーだなあと感じます。つくづく,と。

 


アゲハの孵化を追う(4)

2013-06-28 | アゲハ(ナミアゲハ)

6月17日(月)。午前8時30分。産卵後,ちょうど3日(72時間)が終了し,4日目に入ります。

6月17日(月)。午後0時30分。 ふしぎなことに,卵の中がどんどん変化していきます。産卵後まだ3日と4時間しか経っていないのに! 卵の上部に大きめの空間ができました。そして黒い頭が見えます。腹部がはっきり確認できます。 

6月17日(月)。午後6時40分。産卵後,3日と10時間余り。殻から出てきました。殻は真っ白。からだはくっきりとした褐色です。  

6月17日(月)。午後7時10分。殻から出終わると,幼虫はからだを反転させて殻に近づき,食べ始めました。 大事な蛋白源になります。  

卵の直径は1mm。この寸法からすると,体長は2,3mmといったところでしょう。

それにしても,産卵から孵化までのあまりの短さ! 驚きました。

このように,ふだんは気にかけない葉で思いがけない生物的事実が展開しています。まったく新鮮な世界の広がりです。

 


シオヤアブの季節(続)

2013-06-27 | 昆虫

気にしていると,ちゃんと答えに近い生態が見えてきます。

その後の話です。勤務施設の庭で作業をしていると,芝生からシオヤアブが飛び上がりました。メスでした。 目で動きを追っていると,どうも庭から離れそうにありません。そういえば,昨年の今頃もここで産卵を目撃していたのでした。

草に降りたり,フェンスに止まったり,木に止まったりします。下写真はヤマモモの葉に止まっているところを撮ったものです。

アブを見ていると,腹端をしきりにピクピクさせて,なんだか産卵したくってしかたのない様子。「しめた! 葉に産卵するぞ!」と期待感が膨らみます。30秒ほどいたでしょうか。結局,飛び上がって建物の壁に移動しました。

「こんな行動をするシオヤアブがいるのだったら,もしかすると卵を産み付けた証拠があるかもしれない」と思い,探しました。すると,ブルーベリーの葉先に卵鞘が見つかりました。真っ白なので,離れていてもパッと目に入ります。表面は特有の波を打っています。地上高が50cmほど。昨年と同じ木です。

昼,ウォーキング中にシオヤアブの別個体を見かけました。腹先に白い毛がありません。 すねが黄褐色です。これもメスです。4本の脚でコガネムシを抱え込んでいました。

やはりシオヤアブの季節です。