自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

象糞紙を漉く(6)

2016-07-04 | 野草紙

7月2日(土)。ミュージアムで『サイエンス講座』を開催。今月のテーマは「象糞紙をつくろう」というもの。なかなか刺激的なようで,参加された皆さん,口々に「象糞で紙を作るなんて,びっくり内容です」とおっしゃっていました。

はじめに,事前にわたしが漉いておいたほんものの紙(ステンレス網に付いているもの)を見ていただき,剥がし方を説明。3枚を剥がしていただきました。「おーっ!」と声が上がりました。これは100%象糞繊維の純正紙です。混ぜ物なし!


次に,ゾウの食べもの,殺菌して洗った繊維,アルカリで煮終わった繊維,ミキサーで細かくした繊維を見て,作業工程を呑み込んでいただきました。

いよいよ作業開始です。わたしは適当にアドバイスするだけ。ありがたいことに,実はメンバーの中に,以前一緒にタケ紙を作った方が3人いらっしゃったので作業がはかどったという面があります。


手分けして,協力して,作業を進めていきます。


取り出せた細かな繊維をきれいに洗います。


叩解工程で,「荒い繊維を使いたい」という方があり,それについては他の繊維と混ぜないで別に置いておくことに。

繊維が取り出せると,それを水に溶いて,粘剤を加えて撹拌。粘剤については,「糊を入れないでいいのですか」「入れないと繊維がくっ付かないのではありませんか」との問いが出て来ました。それで,粘剤を入れる・入れないの違いを実際に確認して粘剤の有無によらず紙ができること,そして粘剤の意味についてお伝えしました。

これが終わると,協力し合って木枠に流し込む作業に入りました。


できたら,漉き枠を上げ,湿紙の厚みを下から透かし見て確認。薄い部分にはさらに上から流し込みます。こうして,均一な厚みをもった湿紙ができました。木枠を取って,湿紙の縁を仕上げます。


あとは,自然に任せて水切りし,乾燥をするだけ。他の繊維を混ぜない純正紙がこれで完成します。ここまでで2時間30分の活動。皆さんの感想は,紙漉きのことから象の話に至るまでいろいろありました。意味ある体感を提供できたように思います。

 


ヒラタアブの囲蛹

2016-07-04 | ヒラタアブ

シロツメクサの葉にあるヒラタアブの囲蛹については,すでに記事にしたとおりです。たのしみにしていた孵化が観察できず悔しい思いをしました。ところがふしぎなことに,その後同じ囲蛹に再会することができたのです。今日はその報告記事です。

お気に入りの草原を訪れ,モンキチョウの幼虫を探しているときでした。ミヤコグサの葉の表に,緑がかった透明感のある蛹が付いていたのです。「あーっ,これはこの間,孵化を見逃した囲蛹や!」。思わずこころが踊り,叫んでいました。

 


ミヤコグサもマメ科植物。そこにアブラムシが棲んでいて,それを嗅ぎ付けたヒラタアブがそこに卵を産み付けて,孵化した幼虫がミヤコグサを食べて育って,今に至って。そんな具合なのでしょう。

 


もちろん,正体を見届けたいので,茎ごと採集して持ち帰りました。殻の内側には空気層ができています。孵化に向かって着実に変化が進んでいるのでしょう。

それをコップに挿して,飼育ケースに入れました。これで,万一羽化しても姿を確認できます。緑が消えて透明感が増したときがそのときです。

その後,撮影している際に,囲蛹が葉から落下。紙の上に置いて撮ったのが下写真です。

 

 
発見1日後の朝。変化は見えません。


発見1日後の夜。前部に変化が現れています。褐色がかったなにかが形成されている模様です。もちろん,アブのからだの一部でしょうけど。明日以降の変化には目が離せないでしょう。