自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

モンキアゲハ,産卵から(1)

2017-10-31 | モンキアゲハ

10月20日(金)。午後1時。

アゲハの庭園の脇を通りかかると,キンカンの梢にある若葉でモンキアゲハが産卵行動をしていました。後翅に白っぽい大きな斑紋が あるので,一目でそれとわかりました。その後産卵しそうに見えましたが,結局,去って行きました。その動きにすばやいこと!.

 

直後,卵を確認しました。確かに純白の卵が一粒ありました。 

 

直径1mm。表面はざらついています。 

 

孵化から,できれば蛹化までを追ってみようと思います。

 


ニホンイモリの子ども

2017-10-30 | 生物

公園で生物調査をしているときのこと。刈り取られた草が腐りかけて,近頃の雨でじとっと湿っているところに,小さな動くものがいることに気づきました。見ると,イモリの子どもです。別名ニホンイモリ,下部が赤い斑模様をしているのでアカハライモリとも呼ばれています。

 

わたしがまだ小さかった頃,イモリは水田や溝,野井戸にいくらでもいました。その風景がくっきり脳裏に刻まれています。両性類なのではじめはエラ呼吸,やがて肺呼吸・皮膚呼吸に代わります。つまり,カエル同様にからだが乾いては生きていけません。水中に棲息しているイモリを思い浮かべると,ときどき水面に出て来てプクッと息をして,また潜っていました。

そのニホンイモリが水の流れも,池もない,公園の湿った草の上にいるのはかなりおもしろいことです。どこで繁殖して,どこからここまでやって来たか,とても気になります。

そんなこともあり,きちんと撮影することに。

 

この際なので,ニホンイモリについてくわしい生態を知りたくなり検索してみました。要約すると,次のようになります。

「日本のイモリがイモリ類の棲息としては緯度上の北限。沢から遠く離れたところにも棲息する。繁殖力は強くはない。腹の赤色は毒を持つことを知らせる警戒色。毒成分は体内にある,フグと同じ成分テトロドトキシン。手で触るぐらいでは被害に遭うことはないが,触った後手を洗うのがよい」

 

わたしの知らない生態が見えて来ました。調べてみることのたいせつさっていうことでしょうか。思わぬ場所での,思わぬ出合いでした。 

 


ドクダミで見かけた蛹

2017-10-29 | 昆虫

“アゲハの庭園”に雑草がはびこり,手入れをしなくてはならない状況です。草たちの生命力には勝てません。引いても引いても追いつかないのですから。

なかでもドクダミは大したもの。地下茎を横向きに伸ばして,どんどん殖えていきます。タケ同様の戦略にはたまげてしまいます。ちょっとでも地下茎が残っていようものなら,これでもか,これでもかといったふうに芽をにょっきと出してきます。

そのドクダミを引いているとき,葉表に蛹があるのを発見。といっても,引いてからそのことに気づいたのです。「これは正体を見届けなくちゃ」と思い,とりあえず蛹の写真を撮りました。

 

どうやら蛹は糸で覆われていたようです。

尾端はしっかり葉に付いています。

 

ドクダミを食草にしていたようにも思えません。正体はなにかのガであることはまちがいなさそう。チョウがこんなかたちで蛹になりそうもないし……。

様子を見守ることにします。

 


ミカンの紀州路へ

2017-10-29 | 旅行

つい先日,むらの皆さんと和歌山県へバスツアーで出かけました。台風が去って爽やかな青空が広がっていました。これだけでもう充実した一日が予感できました。

旅先で見かけた風物詩をすこしばかり。

お寺の境内でどっかと根を張るカイヅカイブキの巨木。樹齢600年と推定されているとか。長生きしてきた重みに風格と威厳が漂います。

 

参道にて。店頭では柑橘類がいっぱい。ミカン県の勢いが伝わって来ます。

 

 

ハブ茶があっちにも,こっちにも。名産なのでしょうか。

 

醤油の発祥地といわれるまちの老舗に行きました。杉製の大樽では発酵が進んでいました。

 

観光地の市場で見たマグロ解体ショー。このときのマグロはキハダマグロ。でも,ショーは所詮見せ物。料理人は演じているのです。マグロが気の毒にも思えますが。

 

商品コーナーで見かけたクジラ肉。了解を得て撮影。

 

帰路,陽が西に空に沈みかけていました。真っ赤な(!)入日。旅のたのしさはやはり天気次第。実感しました。

 


地域ミュージアムで考える(72)

2017-10-28 | 随想

続いて,一等星のアークトゥルスを導入。距離にして37光年。これは大型反射望遠鏡を使います。見えないのではないかと心配しつつ,導入完了。このとき,そちらの空にタイミングよく青空が! 確認すると,ちゃんと見えたのです。ありがたい!

 

「わあー! 見える,見える。これがわたしが〇〇歳のときに出た光なんですねえ」「宝石のようにちらちらと輝いていますねえ。」。そんな感動が呟きとして出てきました。

今度は金星。コンピュータのボタンを押していただき,導入の仕方を説明しました。さて,金星はどうか。接眼レンズで見たとき,金星が視野の端に見え,ドキッ! それを中央で見えるように修正しました。

それを見ていただいたとき,「なにも見えませんが……」とおっしゃいます。見ると,もう雲がかかって視野をさえぎっています。以降,厚い雲に覆われ,空は完全な曇り模様。返す返すも惜しいチャンスを逃しました。

それでも,次のように感想を語ってくださいました。「この空で,2つも見えたなんて幸せです。ほんとうにたのしいひとときでした。こんなふうに純粋に感動を口にしたり,ワクワクしたりできたのも,ここをお訪ねしたからです」「操作もすこしさせていただき,すてきな体験になりました。知人にも伝えられます」。

こういうのって,まさに一期一会の出会いです。それゆえに,最高のおもてなしをしなくてはと心掛けています。天気との兼ね合いで気苦労の多い業務なのですが,スタッフとして感動的な場面に立ち合えるのがこの館ならではの魅力だと日々感じています。   

 


地域ミュージアムで考える(71)

2017-10-27 | 随想

勤務先のミュージアムは地理上の特異点にあり,そのことを押し出してPRに努めている施設です。特異な点をいい換えれば,国内で他には存在しない地域資源とでもいえるでしょう。なにしろ,小学校で使われている地図帳に明示されているほどですから。でも,地方の,うんとうんと小さなミュージアムです。

小さいとはいえ,館内には大きな反射望遠鏡があって,「それを使って昼の星を見よう」というのがいわば目玉商品になっています。晴れてさえいれば,ほんとうに一等星や金星,太陽がしっかり見えます。それを見た人は一様にこころを揺り動かされるようです。

「昼間にそんな一等星が見えるなんて」「金星があんなかたちに見えるなんて」「黒点がくっきり! あれが地球と同じ大きさだなんて」。このような驚きが呟かれます。呟かれるどころか,はっきり声となってドームに響くこともあります。

そんな感動体験の場をたっぷり提供したいと,わたしたちはずっと願っています。

さて,雲が空を覆い,青空がほとんど見えない日のこと。年配のご夫婦が来館され,わたしが望遠鏡で昼間の星についてガイドしたときでした。ご夫妻のことばがこの地方ではないなと感じていたら,「わたしたち,九州から来たんです」とおっしゃいました。びっくり! 事情をお聞きすると,「この科学館の所在を知って,是非訪ねてみたいと思ったんです」とのこと。「これは気を引き締めておもてなししないと。それに,曇り空なのでどれだけ充実感をいだいていただけるか,たいへんだぞ」と感じました。

曇り空のときにガイドをする手順として,まず望遠鏡のしくみを簡単に説明します。雨の心配がないので,とりあえず併設の太陽望遠鏡で太陽像が導入できるように設定して,ドーム屋根を開けました。そのときわずかに雲の隙間から薄日が射しました。

 

「今日は見えないだろう」と思っていたので,すこしでも像がみえればなあと祈るような気持ちで,接眼レンズを覗きました。すると,象がフィルターを通して薄赤く見えました。ご夫婦には,「ぼんやり見えます。この天気ではむずかしいかもしれません。今のうちにこんな感じだということをご覧ください」とお伝えしました。

交代でゆっくりご覧いただきました。「見えますねえ。これだけ見えたら上等です。来た甲斐がありました」「もうすこしはっきり見えればと思うのですが……。雲に代わって『ごめんなさい』という気持ちです」。会話は弾みました。

そんな話をしていたとき,急に望遠鏡の影が床にくっきりと映りました。雲の隙間から太陽が見えた瞬間,つまり雲が流れているうちに青空がわずかに見えたのです。もちろん,大急ぎでわたしは太陽像を確認。その後,見ていただきました。お二人は「黒点がはっきり見えますねえ。これはすごい! 地球と同じぐらいの大きさとはねえ」「プロミネンスもわかりますよ。新幹線で57年もかかる距離にあるんですか。感動的ですねえ」などと口にされ,その声がドーム内に心地よく響きました。

                                                    (つづく)

 


超近接 ~水玉の小宇宙(続)~

2017-10-26 | 随想

収穫間近の稲田。穂が頭を垂れ,昨夜来の雨が水滴になって残っています。ウォーキングをしているときに目にとまり,水玉を通して向こうの景色を見てみました。

 

葉の表面はU字の断面をしているので,そのままでは景色は映りません。それで水玉が落ちないように,そして浮かすようにして眺めました。稲穂がちゃんと見えたー!

 

近くの実がこんなに大きく見えます。水玉と葉の接触面で,空気の層が白く輝いています。つまり,空気があるので水が弾かれているのです。

 

台風の被害もなく,実りゆたかな風景です。

 

横たわった茎から水滴が垂れ下がっていました。逆立ちした稲穂が頭を垂れる様子に趣きがあります。

 

水滴が茎と葉の間につながってありました。そこにも実りの風景が広がっていました。

 

 

秋は静かです。充実した実りがあちこちにあります。それはこんな水玉にも包み込まれています。いい風景です。 

 


ヒメウラナミジャノメの幼虫の成長(続)

2017-10-25 | 昆虫

10月14日(土)。幼虫は葉先にいました。体長9mm。2齢かと思われます。からだは葉とそっくりな色。頭部にも尾端にも突起が二つ。

 

愛らしい頭部に見えます。

 

側単眼・突起の表情がよくわかります。 

 

尾端突起の表情も。

 

一方,終齢幼虫はこんな様子です。葉を寄せて糸で綴ろうとしているように見えます。

 

 

近寄ってみると……。この後の成り行きがおもしろそうです。

 

 


カマキリの交尾

2017-10-24 | 昆虫

マツの剪定をしていると,カマキリがいました。それも,オスとメス。メスの後方にオスがいて,なんだかメスに近づく気配を窺っている気配。からだが微妙に前後するのです。

 

間もなく,オスがさっと近づいて上に乗りました。

 

「やっぱりな」と思っていると,オスは交尾器を伸ばして交尾しようとしました。

 

すぐに交尾には至りません。

 

時間がややあって,無事交尾。

 

長い長い時間,そこにいました。時間が経って見ると,位置をすこし変えていました。 

 

またしばらくして見ると,すこしだけ離れたところに移動していました。

 

このときまでに,メスがオスを食べるといった動きはまったく見られませんでした。

カマキリが卵を産む季節を迎えました。秋が深まっていきます。

 


ホトトギスの花とハナバチ

2017-10-23 | 昆虫と花

ホトトギスの花が満開です。花は特徴的なのに,花後にできる実はほとんど見かけません。花が咲けば実がなるはずだと思っているのに,それを見かけるのは稀。それだからこそ,どんな昆虫が訪れるのか気になります。

花の季節が来ると,そんな“?”がふつふつと湧き上がります。

間違いなくやって来るのはスズメガ。それに続いて,今回見たのはトラマルハナバチ。2,3匹が盛んに吸蜜に勤しんでいて,羽音が響きます。 

 

確かにメシベの根元辺りを探っているはずなのですが,花のつくりゆえに口吻がなかなか見えないのです。

 

かろうじて写せたのが下の写真。ハナバチのからだのつくりから見ると,受粉・送粉の確率は相当に高そうです。

 

この花,蜜を準備するほど結実に必死なはず。しかし,一向に「これが実だ!」という主張が見えて来ません。ほとんどの花が,花後落下していきます。ほんとうにふしぎな花です。