自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャノメチョウの吸水場面

2016-04-30 | 昆虫

早朝のこと。畑に行くと,ホウレンソウにジャノメチョウが1頭。ウラナミジャノメです。じっとしているので,近寄ってみると,なんと吸水中! 腰にコンデジを携行しているおかげで,すぐ激写態勢にに入れました。

口吻に緩やかに伸びています。先を盛んにあちこちに動かして水滴から水分を吸い上げて行きました。口吻はひとときも静止することはありません。


すこし近づいて行きました。チョウは舞い上がる気配はありません。「ホッ!」。


口吻の動きが手に取るように観察できます。得がたいチャンスです。


「もっと近寄ってみよう」と思い,そうすることに。やっぱりチョウは吸水に夢中。わたしの気配で,行動を中断することはありません。


伸びた口吻が直線的に見えるとき,「こんなに伸びるんかあ」とびっくり。


カーブを描くと,なんだか優雅さが醸し出されます。なんとも器用! 「どこまでも吸水するぞ」っていう意志が表れているみたい。


このあと,さっと舞い上がって隣りの茎に移動して,じっとしていました。早朝は温度が低めなので,動きが鈍いということも関係あるのでしょう,しばらく観察をたのしませてもらいました。


感謝。

 


ヒミズのからだ

2016-04-29 | 生物

ミュージアムのある公園で作業をしていると,ヒミズの死体が1つ。前日雨がかなり降ったので,その影響を受けたのでしょう。そうだとすれば,かわいそうな話です。あらゆる生きものに目を向けているわたしのこと,めったに見かけない生のヒミズなので,もちろん画像に残すことにしました。

地中を棲み処とするほ乳動物の代表の一つ。その特徴がズバリ。視覚は発達していないだろうな,その代わり,触覚・嗅覚が発達しているだろうなと想像できる体形。 


頭部は,鼻が異常なくらいに重要な役割を果たしていることが窺えます。 

 
全身が体毛で覆われています。地中での生活に適応している様子がよく理解できます。尾の長さと姿が特徴的です。これもやっぱり体毛だらけ。触覚とかバランス感覚とか,何かとくべつなはたらきを担っているのでしょうか。

 
鼻は筒になって飛び出しています。そして先が露出。スゴイ歯! ミミズやクモ,ムカデ,昆虫類,それに種子などをバリバリ食するといいます。雑食性動物なのです。触毛がたくさん。触角が相当に発達していそう。


前肢はショベル。鋭い爪を持った強靭な骨格! 


このヒミズは漢字表記で“日見ず”。おもしろい生態の持ち主で,夜は地表に出ることもあるそうです。そんなときにイノシシやフクロウなどの天敵に襲われるという話なので,モグラのなかまであっても,モグラとはずいぶん違っています。

 


珍客,ニワハンミョウ

2016-04-28 | 昆虫

我が家横の道,そしてアゲハの庭園にて。路上にふだん見かけない昆虫が地面にいるので,「何かなあ」と思いながら接近。「ほほーっ! これは珍しい。ハンミョウだ」と直感。正確な正体はニワハンミョウでした。ハンミョウとは違って,こちらは地味な色をしています。

といっても,よくよく見ると,金属光沢が確認できます。つまり,きらりとした感じなのです。


あとで調べると,人家の近くには意外と多いのだそうです。名前にその由来が感じとれます。

一般的にハンミョウ類は警戒心が強い昆虫なので,近づくと程度な距離を保って離れていきます。そうかといって,遠くに行ってしまうというほどもなく,近くに降ります。別名“道しるべ”の異名を持つ昆虫らしい行動です。それで追跡はしやすのですが,至近距離で撮ろうと思うと,慎重さが要ります。庭に移動したニワハンミョウを追いました。

脚の光沢が冴えます。


見ると,大あごがまことに見事! 肉食性の昆虫らしい風貌です。「捕らえた獲物は逃がさないぞ」という意志のようなものが伝わって来そう。


こういう昆虫と出合った場合,ほんとうに撮りたいショットは絶対に捕食風景です。ついつい,“この昆虫ならでは”という典型場面を描いてしまいます。となると,ハンミョウの場合は,やはり何か獲物を捕らえているのがお似合いです。

幼虫は地中にいて,穴の近くを通りかかる昆虫を捕らえるのだとか。そういう生態こそ,“ハンミョウの幼虫ならでは”の姿です。見たいものです。撮りたいものです。

 


ツツジの花と昆虫

2016-04-28 | 昆虫と花

山ではツツジの花が満開。赤,ピンクの花があっちでぽっ,そっちでぽっ,そんな感じです。もちろんこの花の色は昆虫を誘うためのもの。そう思って見て行くと,結構昆虫に出合えます。

ニッポンヒゲナガハナバチが目にとまりました。花弁に吸い込まれるようにして,花の奥に頭を差し入れているのが印象的。この日は曇り空で気温が低めだったので,動きが鈍そう。お蔭で,ゆっくり撮影できました。


別の花に移ると,すぐに蜜源を求めて口吻を伸ばしました。口吻が見えたらよいのですが,この向きからは到底無理というもの。 

 
出て来ると,なんとも立派な触角を伸ばして花弁でひととき休憩。威風堂々たる姿です。これだけの触角がなければ,外界の刺激に敏く対応していけないのでしょう。磨きのかかった見事なアンテナに見えます。


紅色の花弁で見かけたのがヒラタアブの囲蛹。こんなところにあるのがふしぎ! ツツジに,幼虫の餌アブラムシがいたということ。おもしろい,おもしろい。初めての発見です。 

 
色から判断すると,あと2,3日もすれば羽化しそうです。 

 


ルリタテハ,孵化へ(続)

2016-04-27 | ルリタテハ

4月22日(金)。午後3時58分。中がずいぶん透き通って見えます。毛まで! 孵化間近です。 

 


4月23日(土)。午前5時59分。卵の頂部に穴が開きかけています。ちょうどこの時刻に起きて確かめたのが幸い。虫の知らせというか。その後,穴を大きくする作業が,休憩を入れながら続きました。作業はからだをゆっくり回しながらします。小さいからだなのによくわかるなあとふしぎかもしれませんが,口の動きでわかります。 

 


午前7時01分。頭が出かけました。しばらく休憩した後でしたから,「よし,出よう!」と決意をしたのでしょう。 複眼が確認できます。

 


午前7時02分。ぐうっと踏ん張るようにしてからだを乗り出しかけました。出た部分を覆う毛が立ちかけます。 

 

 
午前7時03分。着地寸前です。からだは,初々しいばかりの色合いで輝いています。

 


午前7時04分。からだが出終わると同時に,第一歩を踏み出します。これから,自分で生きていかなくてはなりません。 このときの体長は1.5mm。

 

 
午前7時05分。殻を振り返ってみる様子もなく,さっさと去って行きました。そうしてそのまま葉裏に移動。出始めてから出終わるまでの時間は5分ばかり。じつに滑らかな動き,というか。

 


しばらくしてみると,もう食痕ができていました。自立への第一歩が始まったのです。

その後,ミュージアム職員と観察を続け,程なくして元のサルトリイバラに戻してやりました。無事に成長するようにと祈りながら……。 

 


地域ミュージアムで考える(8)

2016-04-27 | 随想

わたしたちのミュージアムには,ボランティアの方々によるサポート体制がまだ整っていません。市民・地域の目線に立ってこれからの運営を考えると,明らかに普段着によるサポートを必要としています。普段着とは,一言でいえば“リビング・ルーム”です。考えられる活動内容は,各種催し物のサポート,展示の解説,イベント実施補助などです。

市民交流を大事にしたミュージアムを志向する限り,積極的に地域の皆さんの力をお借りしなくてはならないでしょう。いわば“市民力”“地域力”なのですが,これらの力こそが今後のミュージアムのあり方を左右する鍵になるでしょう。とはいえ,初めからどーんと打ち出しても中身が伴わないと息切れするのは目に見えています。身の丈をわきまえつつ,手始めに「始めてみるか」という気軽な感じでいいと思っています。まずは,一点からの出発です。


さっそく,そのための手を打ちました。これまでからいろんな行事で交流のあったUさんに応援を求めました。趣旨に大いに乗り気になっていただき,この程打ち合わせをしました。

結果,当初の内容は以下のようにまとまりました。

  • 月に2回,土曜日に『ちょこっとサイエンス』と名付けた教室を開催。
  • 1回当たりの時間は2時間。
  • 内容は工作あり,自然探検あり。
  • 協力者と一緒に活動することも考えられる。
  • 発展的な内容については,今後考えていく。

6月から始めます。「たのしみにしています」。そういって,Uさんは帰って行かれました。

いつか,ジュニアボランティアとシニアボランティアによる共同活動が実現したら,どんなにかすてきなことでしょう。夢見ています。 

 


モンシロチョウの風景

2016-04-26 | 昆虫

ありふれた生きものでも,意外におもしろい面が見えてきてついついシャッターを押すことがあります。

日暮れ近くの畑でのこと。モンシロチョウが数匹,地表近くの草にとまっていました。もうここをねぐらと決め込んだようです。 

 

 
ネギ坊主にも数匹。じっとしているので,もちろん,このままここで夜を越すと思われました。

 


せっかくなので,草にいるチョウにうんと近づいてみました。頭・胸部を覆って密生する毛には驚くばかり。 

 


ついでに,前から表情を見ておきました。顔という風貌です。半球の複眼が2つで,ほぼ全視野を収めている感じです。毛がまるでひげじいを連想させます。脚力もありそう。生き残るためのつくりが合理的に出来上がっている様子。 

 


当たり前の中にある意外性って,おもしろいものです。小宇宙のおもしろさと言い換えてもいいでしょう。 

 


ネギ坊主とチョウ2種

2016-04-26 | 昆虫と花

ネギが花盛りです。茎の先に花の塊り,ネギ坊主ができていて,それが林立しています。ハナバチやハエのなかまがわんさと訪れています。チョウも幾種類かやって来ています。ネギは余程のご馳走を準備して待ち構えているようです。

畑仕事をしているときチョウが飛来すると,「来たな」と期待感が高まります。ネギのアピールが効き,招かれるように導かれて来たのです。そういうときは,大急ぎで腰からコンデジを取り出し,ゆっくり傍に寄って行きます。

このとき訪れたのはツマグロヒョウモン。


うんと近寄ります。わたしへの警戒はどうやらなさそう。「しめ,しめ」といったところ。

 


次はアオスジアゲハが来ました。これまでにもネギ坊主でお目にかかったのですが,今回は様子がかなり違っていました。なにしろ,わたしが至近距離に近寄っても一向に警戒する気配がないのですから。前はそうではありませんでした。慌ただしく花から花に移りながら,わたしの期待を裏切ってさっさと飛び去ったのでした。

それが頭にこびりついていて,そっとそっと慎重に近づいて行きました。


アゲハは吸蜜に夢中のようで,わたしになんかちっとも目を向けていないようです。花の奥に伸びる口吻がしっかり確認できます。花から花へと移るものの,1つのネギ坊主には結構時間をかけて蜜を得ているのです。それが幸いして,結果としてはなんとじっくり撮れたことか!


からだに付着した花粉が見えます。


ネギ坊主は目立たない色彩をしていますが,ふしぎなことに,ちゃんと昆虫が訪れます。見事に集まって来ます。匂いで誘っているのでしょうか。地味な色合いが昆虫に独特のアピール手段になっているのでしょうか。花の大きさやかたちが目立つのでしょうか。ネギと昆虫,おもしろい組み合わせです。

 


ヤマトシジミの産卵行動

2016-04-25 | ヤマトシジミ

自宅庭にある植木鉢にカタバミがたくさん生えています。草引きをせずに放っているので,すくすくと育っています。

そこにヤマトシジミが産卵に訪れました。鉢の横を通りかかったときに偶然目にしたのですが,そのとき,ヤマトシジミは葉の上を歩いて移動していました。「これは産卵行動だな」と思って立ち止まっていると,そのとおり! 大急ぎで家からコンデジを持ち出して撮影開始です。

ちょうど,腹部を大きく曲げ葉の裏側に卵を産み付ける姿勢をしました。 

 
しばらくして舞い上がると,また鉢に戻って来て別の茎にとまりました。そうして同じように産卵を始めたのです。あくまで葉の裏に産み付ける姿勢です。

 
産み終えると,また舞い上がりました。戻ってきてほしいなと願っていたら,戻ってきてくれました。ふしぎ! そうしてまた卵を産み付けたのです。ここは安全な場所だと判断したのでしょう。


チョウが去った後,卵を確認しました。きれいな幾何学模様の,あのなつかしい卵がポツンと産み付けられていました。 


産付時間がはっきりしているので,できれば孵化までを追ってみたいと思います。 

 


カラスノエンドウと昆虫たち(続々)

2016-04-25 | 昆虫と花

食べる,だからウンコをする。産む,だから殖える。変わる,だから成長し,やがて死を迎える。息をする,だから生きていける。そうした生物的事実は生きもの一般に当てはまります。生態を見つめるというのは,そうした諸々の様相を具体的に,的確にとらえるということです。とらえた情報を分析し,総合していけば,より生々しい生態に近づいていけます。

研究者でもないわたしがこんなことを書くのは,ヒトも昆虫も同じ生きものだよっていう基本的事実を見失いたくないからです。見失いかけると,ついつい「おらが人間」意識がもたげかけます。こわい,こわい。要するに,これがわたしの見方・考え方・感じ方の原点なのです。

昆虫でない虫も同様です。その1つ,クモを取り上げます。クモは網を張るかどうかは別にして,あらゆるところに進出しています。環境への適応性がとても大きいともいえます。そのクモの捕食行動を見ていると,ハンターとしての自負心のようなものが伝わってくる感じがします。

カラスノエンドウを見ていて,目にとまったのがコハナグモがハエのなかまを捕らえている衝撃的なシーン。

画像に収めようとして,左手で茎を持ち,コンデジを左手に乗せてブレないようにして撮りました。そうしている間も,クモはけっして獲物を放そうとしません。わたしの動作を警戒してか,避けるような動きをみせたものの,あくまで「放さないぞ」っていう決意のようなものが伝わってきたのです。

 

別の茎では,クモのカップルが出来上がっていました。ワキグロサツマノミダマシです。からだの大きさや色がずいぶん違っていますが,互いに排除しようという雰囲気はまるでありません。たぶん,オス(左)とメスなのでしょう。


食べられる昆虫は食べる虫のいのちを支えます。食べた側の虫はいつ,外敵に襲われるかわかりません。「食べる・食べられる」関係から離れて暮らせる生きものは何一ついません。花はそうした事象がたっぷり展開する舞台です。