常念が見える部屋から

ここから北アルプス常念岳が眺望できます。
季節の移ろいに写真を添えて発信します。

ビーバーになって

2011年06月14日 | 季節の便り

戦後山林は荒廃し、少しの雨で川は増水して、濁流に洗われた河川敷はいつも白い石や砂だけの河原だった。

夏が来ると、子供たちが集まって石を運び、流木を組んでビーバーの様に流れをせき止めて、自分たちの水浴び場を作った。

ダムサイトの最深部は胸まですっぽりと隠れ深さがあるけれど、川上に向かって浅くなり15メートルも上流に行けばもう普通の流れになっていた。

泳ぐというより水遊びに興じた、潜水して見る川底は音が遮断され、焦点が定まらぬ別世界である、光の揺らめきの中に小石が光輝いて、時おり河鹿の魚影を見ることもあった。

30秒の潜水が1分になり2分に挑戦した、水中に投げ込まれた小石拾いも楽しかった、水面からゆっくり水底に沈む石を底に着く前に掬いあげて浮上し雄叫びをあげた

谷川の水は冷たく長く水に浸かっていると唇が紫色に変る、岸辺に上がっても歯がガチガチと震えていた

焼け石に腹ばいになって甲羅干しする石ころだらけの河原に虫取り撫子が可憐に咲いていた。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする