9時ごろ祝事が終わって祝宴会場を後にした。
家に帰る選択肢は無数にある。迎えを頼む、タクシー、代行運転、徒歩等
体調もよし、気候は最上 徒歩を選んだ。
付近は城下町の名残りを残す路地が縦横に伸びて、異郷の街の路地を抜ける楽しさである。
少量のアルコールと、纏わりつく晩秋の暖かい風が後押しをした。
車社会からは忘れ去られたといっても、それは車が通れないだけのことであって、そこここから感じられる生活の温もりは、無機質な車道の比ではない。
歩くということは何と自由なことだろう、行きたい方向に何の制約も受けずに進める、自由の素晴らしさを体中で堪能しながら、家の方向に見当を付けて、路地から路地を抜けた。
子供のころ迷路に迷い込む夢を何度も見た、不思議なことに、小路の先々に広がる景色が、夢の中の情景に似ていることに気付く。
街がぼんやりと明るいのは雲を通して届く月明かりだろう、明晩は13夜である。