或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

14区 モンパルナス大通り

2010-02-11 06:19:06 | 830 パリ紀行
画家、佐伯祐三のパリでの足跡を辿るシリーズの第4弾は、14区にあるモンパルナス大通り(boulevard du Montparnasse)。目抜き通りで、モンパルナスタワーからヴァヴァン交差点辺りまでがその中心。上の写真のル・セレクト(Le Select)やル・ドーム(Le Dome)、ラ・ロトンド(La Rotonde)といった今では観光名所となっているエコール・ド・パリの中心となった華麗なカフェが集まっている。

2度目のパリ滞在で佐伯が住んだのは、この通りの東端近くに位置する右下の写真のアパートの奥。別棟として新築されたばかりの貸しアトリエ。繁華街からは離れている。実際に現地で行ってみると、大通りに面していながらやや寂れた印象。日本で事前にホテルを探した時も、この辺りはかなり割安になっていた。地下鉄の便が良くないので泊まらなかったけど。

それで改めて不思議に感じたのが、彼がきらびやかな繁華街を描かなかったこと。日本人で同じ時期に近所に住み、エコール・ド・パリの寵児と言われた藤田嗣治が夜毎に豪遊していた周辺をあえて外している。地理的に言えばアパートから西側。すぐ近くなのに。画題となったのは東側、北側、そして南側。カフェを画題にした絵も多数あるけど、客がほとんどいないのばかり。よく彼は”パリの下町を描いた”と評されるけど、厳密に言えば”パリの裏通りを描いた”というべきだろうなあ。

思うに佐伯ってアウトローだったんだなと。記録をみる限り藤田との交流はなかったらしい。佐伯と親交があった荻須高徳は藤田と交流があったらしく、これがフツー。異国に住む日本人同志だもの。佐伯は頑固者で、人付き合いにもそれが表れていたような。ただし同じ建物のアトリエを利用していた薩摩千代子、彼女は当時の社交界のドンであった薩摩治郎八の奥さんなのだけど、彼女には想いを寄せてしていたらしい。うーん、頑固者で女好き。なんか自分とよく似ているなあと。

惜しまれるのはアトリエがあった別棟を見られなかったこと。門の鍵がないから仕方ないけど。


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