或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

パリ市立近代美術館

2010-02-07 07:07:42 | 830 パリ紀行
パリの美術館紹介シリーズの第8弾は16区にある市立近代美術館。いよいよこれが最終回。これまで紹介した所と比べると知名度は低い。16区といっても東の端にあって、雰囲気的には8区にあったほうがふさわしいような。場所はパレ・ド・トーキョー東翼にあり、大きなビルの並びの一角。美術館巡りが5日続いたこともあって、さすがにお疲れモードだったけど、最後という安堵感も湧いたかな。

一昨年にひろしま美術館で”日仏交流150周年記念 芸術都市パリの100年展”が開催された時、この美術館から多数出品されていた。特に画家でありユトリロの母親でもあるシュザンヌ・ヴァラドンの作品が多く、今回の訪問でも期待したのだけど、貸出中だったのか展示は1枚だけだった。ちょっとガッカリ。まあこればっかりは、その時の運まかせだから仕方がないけど。

それでもピカソ、マティス、ボナール等のフランスを代表する画家の作品が展示されていて楽しませてくれた。感慨深かったのが上の写真の藤田嗣治「寝室の裸婦キキ(Nu a la toile de jouy)」(1922年)が展示されていたこと。日本人は浮世絵を除いてこの旅行で初めて。

この作品は彼にとってエコール・ド・パリにおける出世作となった記念碑的作品。その年のサロン・ドートンヌに出品され、”乳白色の肌”でセンセーションを巻き起こしたことでつとに有名。モデルはマン・レイの当時の愛人キキ。かのヘミングウェイから”The queen of Montparnasse”と称賛された美女。他の画家の作品と比べると、漆黒との対比、モノクロに近い色調、繊細な筆使い等その存在感は圧倒的。傷んだその絵肌に年月の流れが感じられた。

最後に地下にある展示室へ。そこはマティスの部屋(salle Matisse)。そのスケールの大きさに圧倒されて。展示されていたのは「ダンス」(1930-32年)。高さが4、5mもある壁画のような作品。モノトーンとカラーで2部屋。全部見終わって中庭に出てみるとサプライズが。目の前はセーヌ川で対岸にはエッフェル塔が。メトロの路線図だけを頼りに来たので分からなかった。川縁を歩いていると、なんかプチ観光をしたような気分になって。絵画好きには外せないお得な美術館かもしれない。


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2 コメント

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Unknown (とど)
2010-02-07 18:27:08
凄く雰囲気のある建物ですね。
マティスの部屋、いいなぁ。
それにしても、もうパリ旅行から9ヶ月ですか。これだけ書き続けられるのは、それだけ濃い旅だったってことですね。
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確かに。 (ハンコック。)
2010-02-08 06:24:25
事前に十分調べて行ったし、知識もそれなりに充実していたから、なんとなくっていう、よくある観光パターンとは一線を画していた気がする。その意味ではかなり濃かったかな。

実は美術館や佐伯のシリーズの後にユトリロのモンマルトルも残っていて、なんとか旅行から1年以内には紀行を完了させたいなと。やはり記憶がだんだん薄れていくから。まあ老後に思い出しながら楽しむためにせっせと記事を書いているのが見え見えなんだけどね。
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