或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

小山実稚恵

2008-12-26 06:17:40 | 210 クラシック
先週の日曜日にカミさんと地元で開催されたコンサートへ。日本を代表するピアニスト、小山実稚恵のピアノリサイタル。公演を知ったのは地元のローカル紙。会場が300人程度の小ホールだったので、逃すまいとすぐに事務局へチケットを買いに。でも残念ながら時すでに遅く後ろから4、5列目ぐらいの席しか残っていなかった。

ウン十年前ぐらいかなあ、TVで彼女が確かN響をバックにショパンのピアノ協奏曲第1番を弾いているのを見たことがあって。その音楽に没頭しきったような表情が妙になまめかしくて、それ以来”女”としてのイメージが脳裏にしっかり焼きついていた。

そして当日濃いエメラルドグリーンのドレスに身を包み登場した彼女は、イメージそのまま。演奏が始まって感じたのが、プロに対して失礼な言い方だけど、ピアノが上手いということ。肘から手首にかけてのポジションと動きが完璧。繰り出されるスタインウェイD-274の音色が素晴らしい。自分の好きなバラード第1番を含めて、ショパンを中心としたプログラムも良かった。

演奏を通して聴いて感じたのは、彼女の音楽って意外にサバサバしているということ。しとやかで女っぽい外見から、もっとテンポや強弱、ペダリングに凝って感情を入れ込む”濃い”タイプかと思っていたけど。後でネットを調べると、スポーツ観戦好きの天然系の性格らしくて、なるほどねと。とにかくピアノを気持ちよく鳴らして弾くのが幸せってタイプのような気がした。

演奏終了後にサイン会があったので、もちろん参加。よくあるCD購入とパックだったけど、この日のためにターゲットとして選んでおいたのがラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。順番が来てジャケを出したら隣にいた女性が、「3番は今日初めてですね」と彼女に話しかけると、「一番好きな曲なんです」と彼女は自分に微笑みかけてくれて。ちょっとしたサプライズ。いやあ、嬉しかった。この曲にして良かったと。ついでに握手してもらったりして、なんかとても幸せな気分で帰路についたけど。

帰宅して、その余韻に浸るようにCDを聴いたら、これが想像以上の出来だった。心配だった日本ソニーの録音も、オンマイクでピアノの音がこのうえなくクリアで鮮烈なのにバックのオケと馴染んでいる。愛聴しているジルベルシュテイン盤とは演奏も録音も対極的だけど、これはこれで宣伝したいなと、特にオーディオマニアには。こっちはかなりのサプライズだったかも。

ショパン:バラードショパン:バラード(全曲)  ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番

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4 コメント

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Unknown (とど)
2009-05-31 17:27:17
小山実稚恵さんが、9月に近くのホールに来るようです。都合が付けば観に行きたいかなと思ってます。
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それは良い機会かも。 (ハンコック)
2009-06-01 06:20:21
演奏の表現については好みも人それぞれだろうけど、テクニックについては日本のトッププレイヤーに間違いないから、彼女の音を直に聴いておくというのは自分の中のある基準になり得ると思うよ。

彼女は長年全国で、特に関東周辺の小さなホールで精力的に演奏活動を続けているみたいで、”生涯歌姫”じゃなくて”生涯ピアノ姫”的なところを目指している感じもあるよね。
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TBさせていただきました。 (とど)
2009-09-06 17:41:24
今日、小山実稚恵さんのコンサートを観てきました。
音の粒立ちが瑞々しく、ダイナミックな演奏に圧倒されて帰ってきました。
レポをトラバさせていただきましたので、よろしくお願いします。
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TBありがとう。 (ハンコック)
2009-09-07 06:48:42
確かにダイナミックだよね。あれだけピアノを無理なく鳴らせるプレーヤーは日本にはあまりいないと思うけど。外見からはとても想像できないよね。

それにしても”生涯ピアノ姫”として精力的に活動している彼女は素晴らしい。間違いなく将来の若い芽を伸ばすことにつながっていると思うよ。
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