或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

18区 ベルリオーズの家

2010-03-11 06:18:42 | 830 パリ紀行
パリでのユトリロの足跡を辿るシリーズの第4弾は、これまた通りではなくて、とある家。前回紹介したラパン・アジルが面しているサン・ヴァンサン通りを東へモン・スニ通りと交差する場所まで少し戻ると、そこには作曲家ベルリオーズの家が。と言いたいところだけど、実はもうなくて。あったのはパリでよく見かけるアパートとその壁に埋め込まれた下の写真のプレートだけ。

プレートには1834年から1836年の2年間をここで過ごしたと表示してあった。有名な「幻想交響曲」を書いたすぐ後。と書いたところで久しぶりにCDでも聴こうと探してみたけど見当たらない。そうか、LPしか持ってなかったのかと初めて気づいてすぐにヤフオクで2枚ほど手に入れたけど。なんて話はどうでもよくて、興味を持っていのはユトリロの画題となった当時の木造の家。

正直な話、「ベルリオーズの家」が彼の作品の中でも有名なことは知っていたけど、構図的にさして面白くもなく、なんでこんな作品がという気持ちをずっと持ち続けていた。その認識が少し変わったのが、パリ市立近代美術館が所有している「ベルリオーズの家」(1914年)を広島で見た時。近くでみると、その白壁のマチエールと絵肌に妙にリアリティがあり印象に残った。

そうなると、どうしても見たかったのが同じ画題で最も有名なオランジェリー美術館が所有している作品。それが上の写真なのだけど、想像以上に素晴らしくて。これはねえ、実物を見ないと絶対に分からない。なんかヘンテコな構図だから。何枚か至近距離で撮影した絵肌を下に載せたけど、分かってもらえるかな、彼のこだわりが。本物の壁の土を取ってきて絵具に混ぜたらしくて。

こうしてみると、これ程までに執着した作品もあれば、その辺の金稼ぎ的なさらっとして何の面白みもない作品もあるしで、ユトリロというのは気まぐれだなあと。確かに晩年に駄作が多いけど、若い頃でもかなりある。そんな中で、オランジェリーのコレクションは秀作揃い。枚数としては少ないけど、彼の真髄に触れることができたというは今回の大きな収穫だったなあ。



アバド指揮:幻想交響曲アバド指揮:幻想交響曲  デュトワ指揮:幻想交響曲デュトワ指揮:幻想交響曲

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