或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

キング通り

2011-07-07 07:37:47 | 860 英国紀行
英国旅行7日目のオスカー・ワイルドの足跡巡りの続編。チェルシーを後にして向かったのがボンド・ストリートにあるカドガン・ホテル(The Cadogan Hotel)。ここは彼が16歳年下の文筆家、アルフレッド・ダグラスとの猥褻罪に問われ、1895年に逮捕された場所。その時にまさに彼が居たと言われる118号室は”Oscar Wild Room"として特別なデザインが施されているとか。

彼がアルフレッドと親しくなったのが1891年で、その年パリで有名な「サロメ」をフランス語で書き、1894年にはダグラスの英訳で「サロメ」が出版された。この前後にダグラスと各地に旅行したらしい。息子を気遣うクィンズベリー侯爵であるダグラスの父から告訴を受け、逮捕、投獄され破産。翌年には母を失い、ついに破滅の道へ。うーん、まさに絵に描いたような波乱万丈。

本来ならここで足跡巡りは終了だけど、気になったのが前の日にセントジェームス劇場を探し出せなかったこと。リベンジしておかないと一生悔やまれると思い立ち、再びピカデリー・サーカスへ。それにしても人が多い。そこからビジネス街のキング通り(King Street)にあるセント・ジェームス・ハウスの周囲をうろうろ。すると「The Golden Lion」という名前のパブの横に通路が。

そうか昨日は金曜日の夕方だったからパブの客がごった返していて分からなかったのか。そして"Angel Court"と呼ばれる通路に入ってすぐに見つけたのが壁の彫刻と黒いレリーフ。「これだよ、これ」と嬉しかったこと。やはりここがかつて劇場だったんだと納得。戯曲「ウィンダミア卿夫人の扇」や「真面目が肝心」が初演された場所と書かれているのを読むと感慨深かった。

思えば昨年のパリから2年越し。なんか充実したなと。もちろん彼の足跡はいたるところにまだまだ沢山あるだろうけど、自分的にはひとまず終了。この間、映画も「理想の夫」が原作の「理想の結婚」、「ウィンダミア卿夫人の扇」が原作の「理想の女」等を鑑賞したりして。その感想はまた別の記事で。思い出されるのが映画「パリ・ジュテーム」の中の短編のひとつである”ペール・ラシェーズ墓地”の話。その中で出てくるのが有名な彼の墓。エスプリの効いたシナリオに彼のイメージが重なるなあ。