或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

オランジュリー美術館

2009-10-26 06:08:37 | 830 パリ紀行
パリの美術館紹介シリーズの第5弾は、チュイルリー公園の端に位置しコンコルド広場のすぐ近くにあるオランジェリー美術館。前回のパリ訪問時は改装のため休館中だったので今回は絶対にと。調べると休館は1999年8月から2006年5月までだから、なんと7年間。長かったんだ。

この美術館はモネの睡蓮で有名だけど、実はジャン・ヴァルテールとポール・ギョームのコレクションも素晴らしい。印象派の作品がずらりと並ぶ中で目立ったのが、上の写真のルノアール「ピアノに寄る娘達(Jeunes filles au piano)」(1892年)。オルセーとメトロポリタンにも同じの構図の作品があるけど、デフォルメが効いていて鮮やかな青と緑が印象的なこの作品が一番好きかな。そうそう、コレクションの中で忘れてならないのがユトリロの作品。数は多くないけど傑作ばかり。これは別の記事で紹介するつもり。

それで全部見終わった後に真打ちとも言えるモネの睡蓮の展示室へ移動。入るとすぐに気づいたのは館内が明るいこと。それもとても自然な感じ。後で分かったことだけど、他の作品を地下に移し、睡蓮の展示室の天井から直接自然光を採り入れ、それを半透明のスクリーンを通して展示物に映しこむという大工事を施したらしい。なるほどね、だから休館が長かったのか。

広い円形の部屋が2つあって、各部屋に4枚の大きな睡蓮の壁画が飾られていた。自然に数日前に見たジヴェルニーの風景が脳裏に浮かんでくる。これらはモネの最晩年の作品であり遺作でもある。国に寄付をする上で「他の作品を展示しない」、「作品の上にガラス等をかぶせない」といったモネが提示した条件が全て守られていて、ひとつの空間芸術になっている。

とにかく素晴らしかった。あたかも柔らかな日差しに包まれて庭のテラスで佇んでいるような。これで客が少なければもっと良かったのに。でも逆にそのお陰というか、今回の一人旅では自分の写真を撮ってもらうつもりなんてサラサラなかったのだけど、あまりの日本人の多さに、つい若い女性グループにデジカメを渡して頼んでしまった。今では良い記念になったと喜んでいるけど。