画家小出楢重のシリーズ紹介も第5回。前回は短かかった渡欧の話でしたが、今日は帰国した翌年、大正12年(1923年)の話。欧州で本場の刺激を基に、精力的に製作に取り組んでいきます。絵に明確に個性が出始め、自分の画風を確立したのがこの時期。
彼は服装や家の内装とか、それまでの和風の生活様式を洋風へと一変させたらしい。まずは身のまわりからいうことで。いわゆる”大切な雰囲気”。画題も、日本の風景は洋画に合わないということで、この頃の作品のほとんどが人物か静物。
下の写真はこの年の二科展へ出品した「帽子のある静物」。あまり有名じゃないけど、お気に入りの一つ。西宮市の大谷美術館にあって、是非観てみたい一枚。これとほとんど同時期なのが、東京国立近代美術館にある「少年立像(ラッパを持てる少年)」で上の写真。彼の代表作として有名。5才の長男を描いているんだけど、強烈ですよね。画風がより明るく、よりシンプルになっているのが印象的。
長男が着ている服やトランペットは、楢重の欧州のお土産。受けたのが絵のタイトル。だってトランペットじゃなくてラッパ。音楽業界用語だとパツラ。なんて関係ないか。子供とラッパの組み合わせがカワイイ。この作品を見て思い出したのが、ピカソが息子のポールを描いた作品群。両者の絵には、自分の息子が可愛くてしようがないといった愛情が作品から滲み出ている。
欧州の生活が肌に合わず、すぐ帰国した割には、逆に洋風の生活をしていて、なんか矛盾していると思わせるけど、どうもこの時期は、自己の西洋画のスタイルを追求していたみたい。つまり単に本場に迎合するでもなく、かといって昔に立ち戻る訳でもなく、彼なりにバランスを取りつつ方向を見据えていた。そのブレない芯の強さが新しい個性として作品に出ていますね。
彼は服装や家の内装とか、それまでの和風の生活様式を洋風へと一変させたらしい。まずは身のまわりからいうことで。いわゆる”大切な雰囲気”。画題も、日本の風景は洋画に合わないということで、この頃の作品のほとんどが人物か静物。
下の写真はこの年の二科展へ出品した「帽子のある静物」。あまり有名じゃないけど、お気に入りの一つ。西宮市の大谷美術館にあって、是非観てみたい一枚。これとほとんど同時期なのが、東京国立近代美術館にある「少年立像(ラッパを持てる少年)」で上の写真。彼の代表作として有名。5才の長男を描いているんだけど、強烈ですよね。画風がより明るく、よりシンプルになっているのが印象的。
長男が着ている服やトランペットは、楢重の欧州のお土産。受けたのが絵のタイトル。だってトランペットじゃなくてラッパ。音楽業界用語だとパツラ。なんて関係ないか。子供とラッパの組み合わせがカワイイ。この作品を見て思い出したのが、ピカソが息子のポールを描いた作品群。両者の絵には、自分の息子が可愛くてしようがないといった愛情が作品から滲み出ている。
欧州の生活が肌に合わず、すぐ帰国した割には、逆に洋風の生活をしていて、なんか矛盾していると思わせるけど、どうもこの時期は、自己の西洋画のスタイルを追求していたみたい。つまり単に本場に迎合するでもなく、かといって昔に立ち戻る訳でもなく、彼なりにバランスを取りつつ方向を見据えていた。そのブレない芯の強さが新しい個性として作品に出ていますね。