屯田物語

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ほんとうのやさしさ

2004年12月08日 | 映画
「幸福の黄色いハンカチ」のロケ現場。ラストシーンは何度みても感動する。

BSで「雨あがる」を観た。山本周五郎原作で黒澤明最後の脚本である。
剣の腕は無外流免許皆伝ながら性格がやさしすぎて何度も城勤めを失職する浪人夫婦の物語である。三沢伊兵衛の生真面目で心底やさしい生き方は妻たよはもとより同宿の貧しい人たちに対してもいささかも変わることはない。
また、たよもそういう夫の生き方を理解し深い愛情をもってこたえる。
妻たよの言葉「・・何をしてはいけないのではなくて、何のためにするのかと言うことが大切なのだ・・」に毅然とした姿勢がこの作品に活を与えている。
お金をかけた大作映画も面白いけど観るのが疲れてくるときがある。
やはり、こういう日本映画を観ると気分が良くなってホット安心したりする。
でも、やさしさってなんだろうと考える。
あまりやさしすぎると返って相手を傷つけることもある。
そのことは、わたしたちが両方の立場になって経験していることだが、優位の立場(表現が適切でないね)にたったときこそ本当の気遣いが必要だと思う。

ある印象に残ったエッセー(内容は大体憶えていたので)だが....
「足の不自由な彼と二人でスナックのカウンターで酒を飲んだときのこと。彼はトイレから戻ってきたとき自分の背後で転倒したのがわかった。自分は彼を起こそうと思うが、そこはじっとこらえて知らんふりをして水割りを飲んでいた。彼はなんとか自力で起き上がって椅子にすわり、何事もないような素振りで水割りを飲む。他の客や店の女の子はなんと冷たい男だと自分を見ていた。
自分が手助けをするのは容易だが、彼の誇りにためにそうすることは出来なかったのだ。」

わたしがその立場になったら、多分じっとこらえることができなくてすぐ手助けをすると思う。
彼の気持ちより自分のやさしさを大事にしたほうが精神的にラクだからね。