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米国の作家、ジャーナリストで「ニュー・ジャーナリズムの旗手」ともいわれたトム・ウルフ氏の死去が報じられた。88歳。
代表作に、映画化されヒットした『ザ・ライト・スタッフ―七人の宇宙飛行士』(中公文庫)や小説『虚栄の篝火』(文藝春秋)、コラム集『そしてみんな軽くなった』(ちくま文庫)などがあるとのことだが、このブログに関係ある著作としては『現代美術コテンパン』(晶文社)を挙げないわけにいかない。
「現代美術」とあるが、原著は1975年、日本で翻訳が出たのが84年なので、取り上げられているのは近年のアートではなく、戦後の米国を風靡した抽象表現主義の絵画が中心。スーパーリアリズムが登場したあたり(70年代前半)で終わっている。
無理を承知で要約すると
「批評家の力が強すぎる。作品が理論をなぞっているんじゃ?」
という感じだろうか。
クレメント・グリーンバーグやハロルド・ローゼンバーグの評論の影響力が強くて、作品自体は二の次みたいになっているのではないかーという問題意識を、軽妙な文体でつづっている。
(どうして現代美術にはなんとかバーグが多いのか、などと、言いがかりみたいな地口も書いている)
正直なところ、アート好きの自分からみれば、誤解としか思えないくだりや、首をかしげたくなる箇所もある。ただ、こういう外部からの視点は大事にした方がいいと思う。
というのは、アートが好きな人はとうぜんアートを擁護する視点で本を書くわけで、その結果、世の中には「アートってすばらしい」というトーンの言説や書物があふれているからだ。
しかし、一歩引いて見てみれば、否定的な見方も当然成り立つ。わざわざ手間と労力を割いて、否定的な本を出す人は少ない。感情的な悪口ではなく、20世紀の美術史をたどった上での批判であり、手にとってみる価値はあるのではないだろうか。
さすがに、ニューヨーク・タイムズの訃報が詳しい(https://www.nytimes.com/2018/05/15/obituaries/tom-wolfe-pyrotechnic-nonfiction-writer-and-novelist-dies-at-88.html)。
この記事には『現代美術コテンパン』について、次のように紹介している。
代表作に、映画化されヒットした『ザ・ライト・スタッフ―七人の宇宙飛行士』(中公文庫)や小説『虚栄の篝火』(文藝春秋)、コラム集『そしてみんな軽くなった』(ちくま文庫)などがあるとのことだが、このブログに関係ある著作としては『現代美術コテンパン』(晶文社)を挙げないわけにいかない。
「現代美術」とあるが、原著は1975年、日本で翻訳が出たのが84年なので、取り上げられているのは近年のアートではなく、戦後の米国を風靡した抽象表現主義の絵画が中心。スーパーリアリズムが登場したあたり(70年代前半)で終わっている。
無理を承知で要約すると
「批評家の力が強すぎる。作品が理論をなぞっているんじゃ?」
という感じだろうか。
クレメント・グリーンバーグやハロルド・ローゼンバーグの評論の影響力が強くて、作品自体は二の次みたいになっているのではないかーという問題意識を、軽妙な文体でつづっている。
(どうして現代美術にはなんとかバーグが多いのか、などと、言いがかりみたいな地口も書いている)
正直なところ、アート好きの自分からみれば、誤解としか思えないくだりや、首をかしげたくなる箇所もある。ただ、こういう外部からの視点は大事にした方がいいと思う。
というのは、アートが好きな人はとうぜんアートを擁護する視点で本を書くわけで、その結果、世の中には「アートってすばらしい」というトーンの言説や書物があふれているからだ。
しかし、一歩引いて見てみれば、否定的な見方も当然成り立つ。わざわざ手間と労力を割いて、否定的な本を出す人は少ない。感情的な悪口ではなく、20世紀の美術史をたどった上での批判であり、手にとってみる価値はあるのではないだろうか。
さすがに、ニューヨーク・タイムズの訃報が詳しい(https://www.nytimes.com/2018/05/15/obituaries/tom-wolfe-pyrotechnic-nonfiction-writer-and-novelist-dies-at-88.html)。
この記事には『現代美術コテンパン』について、次のように紹介している。
Earlier, in “The Painted Word” (1975), he produced a gleeful screed denouncing contemporary art as a con job perpetrated by cultural high priests, notably the critics Clement Greenberg, Harold Rosenberg and Leo Steinberg — “the kings of cultureburg,” as he called them.
The art world, en masse, rejected the argument, and the book, with disdain.