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北海道美術ネット別館

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■平塚運一展 (2025年2月27日~3月16日、札幌)

2025年03月13日 20時53分34秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 平塚運一は1895年(明治28年)松江生まれ、1997年歿というから、102歳まで生きた長命の版画家です。
 会場には、1918年(大正7年)の「髪結」から91年「椰子並木街道 パームスプリングス 南カルフォルニア」(冒頭画像の右)までの版画が並んでいます。
 10年代から90年代まで作品がある芸術家は、そうそういないと思います。
 しかも、戦前は創作版画運動の中心的な存在として活躍しながら、62年に娘のもとを訪ねて米国ワシントンに行ったところ、短期のつもりが30年以上も滞在することになってしまい、制作だけでなく各地で講習会を開き日本の版画の普及に努めていたというから、すごい人生です。

 初期の作品には多色の作品が多く、木口木版の「机上小禽」もあり、後年よりもバリエーションが豊富なように感じます。
 フライヤーに採用されている「手鏡」は33年の作。
 多色版の「大同石佛菩薩」が44年で、単色の「梅(1月)」が45年、多色の「雪のニコライ堂」が46年ですから、これほどまでに時代の痕跡を感じさせない日本の美術家も珍しいのではないでしょうか。

 
 次の画像は「三十三間堂」。
 制作年は記されていませんでした。 
 だんだん、この作品のような、白と黒のメリハリがついたものが主流になってきます。

 この濃い黒にも技法上の秘訣があるそうです。
 
 
 3枚目は「サンルイレイド フランシア オーシャンサイド 南カルフォルニア(ミッション)」。

 絵の下に鉛筆書きで書かれているのは
「ミツシヨン サンルイ レイ ド フラシア オーシヤンサイド 南カルフオルニア」
と、微妙に異なります。
 73年の作品。

 日本の湿った風土を描くのに適した木版画で、カリフォルニアの明るく乾いた風土を描くという、いわば正反対ともいえる質感が、うまくマッチングしているのがおもしろいと思いました。

 日本の近代版画史を代表する作家の一人の30点を、札幌で鑑賞できるのは、たいへんすてきな意義深いことだと思います。
 作品のほか、クリントン大統領(当時)から届いた、100歳を祝う電報も展示してありました。


2025年2月27日(木)~3月16日(日)午前10時~午後5時(入館30分前)、月火水曜休み
HOKUBU 記念絵画展 (札幌市豊平区旭町1)
700円



・地下鉄東豊線「学園前駅」から約500メートル、徒歩6分

・地下鉄南北線「中島公園駅」から約900メートル、徒歩11分
・地下鉄東西線「菊水駅」から約1.1キロ、徒歩14分

・じょうてつバス「旭町1丁目」から約240メートル、徒歩3分


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