ガリバー通信

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プールの季節。

2011年08月04日 | 感じたこと
 先月の末、夏休み期間中の小学校プール開放で、小学一年生の七歳の男児が水死した事件で、大阪府泉南市教育委員会がプール開放の運営を委託していた業者の監視員が、事故当時誰もいなかったことが、その後の調査で判明したという。

 そもそも、学校の施設を開放して、夏休みや学校の授業のない期間に、地域住民やこどもたちに校庭や体育館、またはプールを開放すること自体は、とっても良いことであり、全国的に広くなされていることだろうと思うのだが、その「安全管理」については、地域ごとに考え方ややり方は違っていて、今回の事故が起きたケースでは、学校施設でありながら「民間への丸投げ」状態の管理体制であったことが明らかになった。

 管理業務そのものが民間に委託されていたこと自体が問題というのではないが、小中学校をはじめ公的な施設の通常時以外の時間帯や休日などの管理が、現在では多くの施設に置いて、民間すなわち、シルバー人材センターやアルバイト職員などに委ねられるようになっているのである。

 私たちが幼かった頃、昔の話だが小中学校の時間外や休日も、学校の教師が宿直や日直として、誰かが当番制で勤務していたと思うし、いわゆる「校務員さん」と呼ばれる年配ではあったが、非常勤勤務の決まった職員さんが、学校にはおられて、たとえば忘れ物や時間外に学校を訪ねても、地域の事情や学校内外の情報を知る人が必ず居たものである。

 確かに、現代における小中学校における、「学校の先生」たちの仕事は多様かつ忙しくなっているとも言えるが、学校施設なのにも拘わらず、その地域や利用する児童、生徒の状況や個人的情報をほとんど持たない、民間会社のアルバイト職員たちが、「管理業務」という名前だけの「アルバイト」に時間給も安い状況で雇われているという実態が、今回の「事故を見過ごす」、原因だったと言えよう。

 大阪府警は、今回の事故に関して、管理運営をしていた民間会社と当該教育委員会を、「業務上過失致死容疑」で捜査を始めるらしいが、この様な事故が全国で多発している実態から判明していることは、予算が削減された中で、業務を請け負っている民間会社が規定の監視員のな人数を大幅に下回る状態で運営していたことと、委託していた教育委員会などは、その実態について十分知っていたにも拘わらず、業者を指導したり予算の裏づけを怠ったりしていたことが明らかな様である。

 今回の泉南市の事故の場合でも、地元のビル管理会社が監視業務を請け負っていたわけだが、事故の起きた高学年用の大プール、長さ25メートル、幅13メートル、深さ1.1~1.3メートルを、四人で監視するはずだったが、事故発生当時は、アルバイトの男子高校生(17)が一人で監視し、しかも入場者にロッカーの鍵の修理を依頼されたために、持ち場を数分間離れていて、監視員が誰もいない状態であったという。

 アルバイト料は、高校生で時給780円、まとめ役の成人管理人が時給1000円だったそうだが、予算は年々減額されていて、高校生でもこの時給ではアルバイトが来てくれない状態が厳しいと市教委に訴えたところ、「頑張って」と言われるだけで、長年この状態が続いていて、「これでも大丈夫」と気持ちが麻痺していたかもと、管理業務を請け負っていた会社の社長が語っていたる。

 今回の事故が起きた7月31日の6日前には、同じ小学校のプールに行った女性が「監視員が一人しかいない」と市教委に指摘していたのたが、市教委は改善もせず、今回の事故が起きてしまつたという。

 ここ数年、全国各地で起きているプールでの水死事故の多くが、監視員不足や監視員が漫然と監視業務をしていて、監視体制が十分でなかったケースが続発していて、兵庫県淡路市で起きた07年7月の市立プールでの小学一年生男児の水死事故では、県警が施設長らを業務上過失致死容疑で書類送検し、罰金の略式命令が出たらしいが、いずれにせよ幼い命は返っては来ないばかりか、その後の監視体制強化や抜本的な運営面を見直す検討や協議には至っていないのではないだろうか。

 ただし、京都市では小中学校の夏休み期間中のプール開放については、管理業務の業者委託はせず、地域住民や保護者たちが監視にあたる体制をつくっているが、少なくとも教職員が一人は監視に加わっているという。

 危機感理論の専門家である、関西大学亀井利明名誉教授は、「プール管理は業者任せではいけない。教師を一人でも配置すべきだ」と語り、いのちにかかわる現場では、十分に費用をかけ質の高い監視をする必要があると指摘されている。

 まだまだ続く「暑い夏休み」だが、子供たちが「水に戯れ遊び、暑い中で泳ぐ」こと自体は素晴らしいことなのだから、海、川、湖、池などの自然環境も含めて、大人たちが「子供たちの命と健康」を守る責任を行政や業者任せではなく、保護者や地域銃んが率先してできる状況を整備しなければならないと思うのである。

 誰のためではなく、幼い命を守るために、夏休み期間中も、教職員、保護者は油断してはいけないのだ。

 
コメント (1)
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