ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

田舎のたぬき。

2008年08月04日 | ガリバー旅行記
 夏休みに田舎に帰ったという人の話をよく聞く、

 最近では、この「田舎」がなくて寂しいという人の贅沢な悩みも聞くことが多くなった。

 今年の夏の暑さは格別で、お盆を前にすでに里帰りをしたという私の友人の話を聞いた。

 彼女の故郷は石川県輪島市で、能登半島の先っちょの農業と漁業の田舎町である。

 彼女の弟さんは、その地方でも珍しい専業農家で、広い田畑を独りで耕し、米作りを中心に野菜もふんだんに作っておられるらしい。

 彼女が約一週間里帰りした間の面白い話をお茶のみ話として聞いたのである。

 それは、熊こそ出てこないが、鹿、サル、いのしし、そして狸にウサギがしょっちゅう田畑やお家の近くにやってくる「田舎町の話」である。

 とある昼下がりね自家用車で町に出た帰り道、道路を横断する奇妙な物体を発見したというのである。

 お腹の出たタヌキが、なんとスイカを抱えてよっこら、すったと道路を横断して住処へと急いでいる途中だったらしい。

 自動車から遠目に見ていた彼女たちの目線とタヌキの目が合った瞬間、なんとタヌキはスイカをほうり出して、すたこらさっさと逃げて行ったというのである。

 マールい大きなスイカを丸ごと抱えて歩いていたタヌキの様を想像しただけで可笑しいのだが、人間に見つかっては驚いて、身の危険を感じたのか、せっかくの獲物であるスイカを残して逃げて行ったのだそうだ。

 この話には余談があって、彼女の弟さんは、あのスイカは、たぶん○○とこのスイカだろうと目星をつけて、奴のとこのスイカはあまり甘くも旨くはないと言って、せっかくの丸ごとのスイカは人間にも見捨てられて道路上にコロリと転がっていたというのだ。

 また、彼のスイカ畑にやってきたタヌキたちの話だが、そっとスイカ畑に入ると、なにやら黒い物体がこそこそと動いていたので、そっと眺めていたら、なんとタヌキさんの目と彼の目が合ってしまったそうで、タヌキは夢中で食べていたスイカをなんと裏返しにひっくり返してから、一目散に逃げて行ったというのである。

 タヌキのスイカ泥棒やスイカ食いはしょっちゅうなのだそうだが、何故に食べ散らかしたスイカをひっくり返してミドリの丸い形を見せてから逃げるのか、タヌキの心境や如何にである。

 ついでに、彼の畑には必ずウサギさん親子も毎年やってくるらしく、彼は手入れをあまりしないままに大根畑に「ウサギ用」の大根も用意して育てているらしく、毎年ウサギの家族がやってきて、満足そうにウサギ用の大根を食べるのだそうだが、自家用や出荷用のきれいな大きい大根まで手を出して食べることがあって、かわいいのだが怒っているという。

 お百姓さんと野生動物の間の友情なのか、生態系の中の共生なのか、人間たちも動物たちの餌の減少の原因を作っている罪滅ぼしに、田畑のおこぼれを野生児たちに用意しておく必要があるみたいである。
コメント
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