ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

闇権力の執行人

2006年09月05日 | 日本の課題
 国策捜査で容疑者とされ現在裁判中の佐藤優著の「国策捜査」を以前のブログで紹介したが、その姉妹編とでも言うべきか、その本丸であった鈴木宗男氏の「闇権力の執行人」を読んだ。

 鈴木宗男氏は改めて紹介する必要はない程、国民には行動派の悪徳代議士というイメージが強いと思われるが、決してそうではないみたいである。

 2002年の外務省を巡る疑惑事件で、当時の田中真紀子外務大臣と対立し、あの大阪の元気姉御の辻元衆議院議員に「あなたは疑惑のデパート、疑惑の総合商社だ」と言われ、国会質疑の名台詞で一躍、悪徳政治家としてのネームバリューが高まり、同年あっせん収賄の容疑で逮捕、437日間の拘留を経ても、起訴事実を全面否定し2003年保釈後、昨年9月の総選挙で新党大地代表として、衆議院議員に復帰したツワモノである。

 彼が経験した外務省を中心とする官僚の素顔と、高級官僚の腐敗と蓄財、夜の顔、そして派閥と政治家をうごめく汚れた金、女、酒を背景とした闇権力について書かれているのである。

 彼は国策捜査と思われる権力の意思で逮捕、拘留されたのだが、取り沙汰されていた北方領土返還に纏わる「ムネオハウス」やアフリカODAに関わる、便宜供与容疑ではなく、地元根室の業者から沖縄北方問題担当大臣就任時の祝金的、政治献金に関する疑惑で逮捕、拘留されたのである。

 権力の中枢にいた鈴木宗男という男が、暗黒集団の利に反した行動と問題指摘から、国賊的容疑者に祭り上げられて、ついに刑事被告人にされてしまった顛末の裏に潜む、巨大かつ巧妙な「闇権力の執行人たち」について、実名をあげて詳細を記したのである。

 政治家、検察、官僚が作り上げた「レトリック」とでも言うべき力が台頭し、本当の闇権力は決して国民の前にその真相、姿を露呈しないものである。

 彼らは外務省の外交機密費と呼ばれる、外交施策に必要な種々雑多な費用のための巨額の国費を、まるで我が財布や遊び資金としてふんだんに浪費し、蓄積したり、特権濫用、不正行為に明け暮れていたのである。

 その顕著な事件として槍玉に上がったのが、外務省要人外国訪問支援室長だった松尾克俊で、2001年に外交機密費流用事件として、何と9億6千万円もを着服した容疑で逮捕され、横領金は都内の高級マンション、ゴルフ会員権、ヨットや競走馬に姿を変えたり、飲み食い、女に化けていたのである。

 その発端は1997年にある週刊誌が報じた杉山基金事件があったのだが、国益を毀損した数多く外務省の組織ぐるみと言わざるを得ない公金プール事件等の事件に目をつぶり、外務官僚を守ることが国益に通じるとして隠蔽していたことが誤りだったとの告白から、本書は始まったのである。

 この目で見聞きした事実を明らかにし、闇権力の執行人を断罪することが、せめてもの償いだと筆者は語っている。

 日露平和条約、北方領土返還に水を差すような政治家ではないが、世間、マスコミは、売国奴のようなレッテルを貼ってしまったのである。 

 
コメント (1)
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