五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ ヤングキングアワーズ 感想

2013年10月03日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

2013年11月号

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 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら

 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら

 今月の『ナポレオン -覇道進撃-』感想はこちら

 今月の『ドリフターズ』感想はこちら

 

 表紙は、『蒼き鋼のアルペジオ』より、Trident ・・・の衣装をまとう、イオナ・タカオ・ハルナ!

 Tridentは、それぞれのキャラクターの声優さんによるユニット。

 渕上舞さん(イオナ役)、沼倉愛美さん(タカオ役)、山村響さん(ハルナ役)で、

 アニメのエンディングを担当するんでしたかね。 楽しみです!

 

 

 『ワールドエンブリオ』は、3人の柩姫がそろって、いよいよ反撃となるか!?

 なんて状況ですけど、なに陸くん、柩姫3人でハーレムつくれちゃうじゃないですかー!(ォィ

 そんなモテモテぶりが楽しかったりもしますが、鷹尾劉生の物語への決着が待たれますね。

 

 『スピリットサークル -魂環-』は、新たな過去生・方太朗の話。

 野武士に身代金めあてに誘拐されたものの、その裏には誰かの策謀が・・・ といった状況。

 忍の刃九狼や、妹の姫君など、またも縁ある人々の登場で、物語に重厚さが増しています。

 

 『それでも町は廻っている』は、エビちゃん家へ“ご挨拶”に行くタケル君(´▽`;)

 そこで、エビちゃんを悩ますチラシばら撒きの犯人をさがすことに・・・ なんてお話でしたが、

 エビちゃんの女心と、タケル君の勇気、そして歩鳥の作戦と機転が、めっさ面白かったー!

 

 『球場ラヴァーズ』は、コミックス2巻が発売中! 「だって野球が好きじゃけん」16日発売!

 そんな今回、母親と一緒に野球観戦する日南子さん、そこで伊東さんの正体を知ることに。

 伊東さんや岩国さんもですが、今は、祝・カープCS進出と、前田選手引退が気になります。

 

 『天にひびき』は、秋央くんがコンマスをつとめることを知った美月さんが、急きょ来日!

 南条くんや波多野さんは、秋央くんを観に来たのだと悟りますが、彼自身は鈍感すぎ(^^;

 しかし、ひびきさんが秋央くんに物足りなさを感じているのは寂しい。 彼の独自性が不足?

 

 『並木橋通りアオバ自転車店』は、やたらときっちりしている父と、父を心配するコウジくん。

 コウジ君の父親が気分転換するための自転車を、アオバさんが見繕おうとしますが・・・?

 シンプルよりもややこしく、という発想が面白いのと、自転車で広がる景色の楽しさが良い!

 

 『裸者と裸者 邪悪な許しがたい異端の』は、藤井さんが不慮の死を遂げてしまい、混乱へ。

 双子は激怒し、藤井さんが反対していた聖ヶ丘の制圧を主張! カイトは止めますが・・・?

 激情のままにはじけるパンプキンガールズ。 けれどそれが道を切り拓くのも、また戦争か。

 

 

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

【新連載】

●ガーゴイル (原作:冲方丁 先生/漫画:近藤るるる 先生)

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 異能の新撰組物語・・・かな?

 幕末、京の治安を守る新撰組。

 長州の人間を追いつめるのは、一番組組長・沖田総司!

 小さくて可愛らしい沖田ですけど、さすが腕は一流、あっという間に峰打ちで倒してます。

 

 そんな風に始まりましたが、

 そこへ駆けつけた「鬼の副長」こと、土方歳三を加えて物語は進行。

 八瀬童子衆なる謎の集団による暗躍を経て、

 異能と異能との戦いが、くりひろげられることになるわけです。

 「鬼の力」を使いこなす童子衆に、土方は立ち向かえるのか?

 なんて、緊張感ある展開に引き込まれましたよ!

 

 本作での新撰組は京の人気者で、沖田さんなどは黄色い声援を受けたりしています。

 また、近藤勇のキャラクターについては、まだわからないことも多く、今後に期待したい所。

 他の組長たちも個性派ぞろいなので、登場が待たれますね。

 しかし、タイトルの「ガーゴイル」とは何を意味するものなのか?

 諸々を含めて気になりつつ、新連載スタート、楽しみです!

 

 

 

【シリーズ連載】

●清々と (谷川史子 先生)

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 清さん、先生と喫茶店でデート!?

 ・・・なわけはなく、文化祭の出し物であるカフェのイメージをつかむため、

 園芸部の校外活動としてやって来た、ということです(^^;

 

 それでも、先生と2人でということに舞い上がる姿や、

 喫茶店のコーヒーの美味しさに、静かに感激しているのは可愛らしい。

 まあ、先生の前で鼻血出してしまったのは、可笑しかったですけど(´▽`;)

 平泉さんに励まされて元気を取り戻しつつ、楽しそうに日記を書いているのも

 清さんらしくて、なごんでしまいました。

 

 そして、いろいろトラブルがありつつも、先生と一緒ということで、前向きになる清さん。

 文化祭本番での先生のバリスタ・スタイルにみとれちゃってるのも、乙女ですね~。

 また、かつてのクラスメイト・星野くんとの「再会」では、何かあるのかと思いましたけど、

 もはや先生への想いに一途な清さんに、つけ入るスキはないということですか・・・

 

 みやびさんや平泉さんのバリスタ姿もカッコイイし、

 もちろん清さんの衣装も素敵だしで、なんとも楽しい文化祭。

 とにかく今回は、清さんの先生への想いがあふれんばかりで、

 そんな様子が、とても心地よいエピソードとなっていました。

 シリーズ連載なので、時々の登場ではありますけれど、読後感の爽やかさは本誌随一!

 もちろん今後も楽しみです!

 

 

 

●君の声が聞こえない (鈴木小波 先生)

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 特定の音が聞こえない少年と、歌う少女のお話。

 不良にからまれていた音無忍くんを助けてくれたのは、児玉音葉さん。

 ガサツで不良にも怖じない彼女ですが、ある日、歌っているところを忍くんに目撃され・・・

 

 歌を聞かれたと思った音葉さん、

 いきなり忍くんを攻撃するあたり、かなり恥ずかしかった様子。

 けれど、忍くんは特定の音を聞くことができない体質で、

 ちょうど音葉さんの声を聞き取ることができなかったのが幸い(?)し、

 2人は交流を始めることとなります。

 

 聞こえない、だけど彼女の声は、彼の世界へ入ってくる。

 しだいに音葉さんの歌に関心をもつ忍くん。

 だからこそ、彼女との大切な場所を、尊く美しい何かを守ろうとしたわけですよね。

 音葉さんもまた、恥ずかしがっていた歌を、忍くんに聞いてもらうことに

 ためらいを見せなかったのは、2人の間の信頼関係を感じさせてくれて、胸に響きました。

 

 感動は理屈じゃない。

 そのことを実感させてくれる“無音”の歌が、とても素敵でありました。

 それにしても、鈴木小波先生は『出落ちガール』発売以後も、

 読み切りで登場されるのですかね? だとしたら、楽しみです!

 

 


◆ 今月のドリフ

2013年10月03日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2013年11月号より

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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

 

●ドリフターズ (平野耕太 先生)

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 黒王軍と衝突する豊久軍団!

 お互い少数による市街でのぶつかり合いではありますが、本格的な「戦」は初。

 迫りくる黒い軍勢に、喜色を浮かべる豊久や信長さんが、根っからの戦人だとわかります。

 

 そして何より、この世界での、大量の鉄砲を導入した

 初めての戦闘とあっては、たかぶらずにいる方がムリというもの!

 敵をじゅうぶんに引きつける信長。

 やや焦りの色を見せるサン・ジェルミ伯の兵士たち。

 そして、ギリギリまでためにためた距離で、ついに・・・!!!

 

 

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 鉄砲が火を噴いた!

 歴史が変わる瞬間。

 その砲火は、黒王軍団を撃ちぬき、圧倒的な威力を見せつけます。

 黒王軍の兵卒だけでなく、こちら側の兵士たちまで驚愕しているのが印象的。

 対して信長は、「ヌヒッ」なんて喜んでいるのが痛快でした!

 

 

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 すかさずオルミーヌへ指示を出す信長さん。

 瞬時に伝わる「魔法」の伝令は、戦場では計り知れない価値がありますね。

 信長の鉄砲から、与一の弓へ・・・

 

 鉄砲でひるんだ黒王軍に、つづけて与一軍団の弓矢が降り注ぐ!

 この連携のみごとさに、信長自身が高揚しているのが面白い。

 それだけ瞬時に号令が伝わることの重要性を、体感しているということですね。

 

 そして第二射!

 これで完全に黒王軍の足を止めることに成功し、

 そこへトドメとなる豊久率いる突撃部隊が襲いかかるのだから、

 黒王軍にとっちゃあ、たまったもんじゃありませんやね。

 

 

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 そんな3連携を、「最適解」と評する紫さん。

 これを狙って、同じ場所に3人の送り込んだのでしょうか。

 だとすると、ある程度考えて〈漂流者〉を放り込んでいるということになります。

 彼が、誰をどこに送り込んでいるか、という視点は重要かもですね。

 

 そんなこんなで、鉄砲を用いた3連携が痛快無比な今回!

 しかし黒王軍には、まだ大物=土方歳三が控えています。

 土方さん、島津に相当うらみがある様子(そりゃ幕末情勢を考えれば当然)ですし、

 豊久との戦いに期待せざるを得ませんね。

 といった感じで、今後も楽しみです!

 

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想

 


◆ 今月のナポレオン

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ヤングキングアワーズ 2013年11月号より

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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

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 ビナスコ村の惨劇。

 クロイセの故郷であり、彼がナポレオンへの復讐を誓った始まりの場所。

 妻と子を失い、嘆くクロイセ。

 その姿にやるせないものを感じてしまいますが、

 今回語られた彼の本心は、そのやるせなさとは別の所にあったことが判明して

 衝撃を受けると同時に、本作の大きなテーマの骨子を見せられた気がします。

 

 

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 迫るアウステルリッツの決戦!

 ナポレオンの指示が飛び、将兵がそれに従う。

 ランヌ、ダヴー、ベルナドット、それぞれが動いていますが、

 このときの各々の心情が、実はクロイセの本心とも重なることを、

 後で振り返ってみて感じさせてくれるのは、みごとでしたね。

 

 ランヌは逃げるふりをするという仕事に不満を持ち、

 ダヴーは皇帝の起こす奇跡を自分の目で見たいと願い、

 ベルナドットはナポレオンに対抗意識を燃やしつつ、その失敗を期待しています。

 さらに、ロシア皇帝アレクサンドル1世もまた、兵士からの歓呼の声を想像しながら、

 理想と現実の違いにため息をついたりと、“自分がナポレオンになれない”寂しさを

 背負っている姿が印象的でありました。

 

 

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 クロイセの叫び・・・

 彼の復讐には意味がないと諭されての反応ですが、

 こんな風に取り乱すという事は、彼自身も薄々、そう考えてしまっているのでしょうね。

 だからこそ、「恐ろしいこと」なんて言葉が出てくる。

 この表現は的確で、かつ突き刺さるものでした。

 

 そこからロシア兵との会話の中で、クロイセの本心が暴かれることになるわけですが、

 これがもう不意打ちだったと言いますか、あまりに衝撃的で、

 思わず涙が出そうになってしまうほどでした。

 彼にとって“復讐”は、もはや妻や子のためではなく、もっと別の領域に至るためのもの。

 そのことが痛いほど伝わってくるのが、私にはたまらなかった・・・

 

 本作のテーマとして、しばしば注目される「男」という意義。

 「男」であれば、誰もが「頂」を目指すのは当然なのだと確定的に語られ、

 そして、その「頂」こそがナポレオンその人であると明示されているのには、

 大きな意味を感じずにはいられませんでした。

 なお語るのなら、そのナポレオン自身は「父」になりたいと考えているわけで、

 そのことから「男」がめざすものは「父」である、なんて図式も見えてくるような気もします。

 

 

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 スルトの懸念、ブラッツェン高地。

 高地の放棄を命じられたスルトは「ありえない」と考え、

 ベルティエに問いただしに来ています。

 

 当然、ナポレオンには考えがあるわけですが、

 ここでスルトは、その思考にまで至っていないことがわかります。

 ナポレオンはスルトに対して、ドゼーの代わりになることを期待しているはず。

 ゆえに彼が「来ることはないだろう」と言ったのでしょうけども、来てしまった。

 ナポレオンのメモを見てもなお、何のことか理解できないスルトは、

 はたしてドゼーの代わりたりえるのか? なんて疑問が、生じてしまうわけですね。

 

 などなど、今回はクロイセの本心から、

 本作のテーマにまで想いをいたらせるエピソードとなりましたが、

 ここにアウステルリッツが重なることに、最高の盛り上がりを感じずにいられません。

 「獅子の時代」で1度描かれている伝説の戦いを、ふたたび披露することになるのか?

 はたまた、別の視点で別のことが描かれるのか・・・ いずれにせよ、今後も楽しみです!

 

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想