「お気に入り」単巻作品です。 ※ 勘違いして「1巻」と表記していましたので、訂正します。
ジャンルは伝奇ロマン。 諸星大二郎先生の傑作を、井上淳哉先生が独自の形で描きます!
『妖怪HUNTER ~闇の客人~』
(原作:諸星大二郎 先生 漫画:井上淳哉 先生)
「それにしても よく私を信じて身をあずけてくれましたね ありがとうございます」(p146)
考古学者である稗田礼二郎は、学会において“妖怪ハンター”と呼ばれる人物。
人知を超えたモノの存在を信じ、その存在を明らかにしようと考えていたために、
彼自身にとっては不名誉な異名を与えられることになったのだが、
そんな中、大鳥町でおこなわれる「鬼祭り」の監修を依頼されて現地へ向かう彼は、
自らの学説を証明しようという決意を、胸に秘めていたのだった・・・
ということで、巨匠・諸星大二郎先生による「妖怪ハンター」シリーズを、
井上淳哉先生が描くという本作品。 ファンのみならず楽しめる内容に仕上がっています。
原作既読であった私ではありますが、これが非常に面白かった!
物語は、大鳥町を訪れた稗田先生が、少女を盗撮したのではないか?
と疑われるところから始まり、それがきっかけでその少女と知り合いとなり、
やがて「鬼祭り」の怪異と関わりをもつ少女とともに、大いなる災厄に巻き込まれることに・・・
という展開でぐいぐいと引き込んでくれます。
「鬼祭り」とは何なのか? 「闇の客人」とは・・・?
諸星先生の作風にただよう、おどろおどろしい雰囲気は薄められていますが、
そのぶん井上先生の描写力がひときわ現実感をきわだたせている印象で、
怪異の動向とそれに伴う災厄が、臨場感あふれる描かれ方で読み手を包み込みます。
諸星先生・井上先生、それぞれのよさを感じさせる見事さがありました。
また本編では、稗田先生が学会から笑いものにされる=自説を信じてもらえない
ということが描かれているのですが、それが少女との間に生まれる信頼関係によって、
ある意味「救われる」という展開には、なかなか感じ入るものがあります。
ほかにも「目に見えないモノ」へのおそれや敬意が大切であるという、
やや古いテーマ性もありますが、それもまた大事なものと再認識させてくれるような、
そんなよさがありました。 正直、少し感動しましたもの。
などなど、なかなか楽しめる作品になっていますので、
これはぜひとも、早いところつづきが読みたい!
原作はだいたい読んでいるんですけども、楽しみです。