「お気に入り」4コマ漫画の完結巻。
父娘2人を中心とした、多幸感あふれるホーム・コメディ4コマです。
『そんな2人のMyホーム』4巻 (樹るう 先生)
「都築家の未来はどんな形!?」 (オビ文より)
超有能な大和撫子・都築舞さん。
父である輝さんは有名彫刻家で、そのサポートをしながら2人暮らしのマイホーム。
そんな父娘2人を中心とした人々の姿を、面白おかしく描いていたコメディ4コマ・・・
でしたが、そこで舞さんに男性の影が見え始めたところから、雲行きアヤシイ展開に。
父は娘の交際を断固阻止すべく行動し、娘は父の目をかいくぐる・・・
はてさて、どうなってしまうのか? さまざまな関係に決着がつく最終巻です!!
父娘2人ぐらしのマイホーム・コメディに、男1匹・ヒロちゃんが乱入してきた本作品。
ホームコメディがラブコメになっちゃって、作品の楽しさも幅が広がったように思いますが、
父・輝さんは、娘の交際など認めない頑固オヤジっぷりを発揮して大きな壁となります。
そんな父のプレッシャーの下、舞さんはヒロちゃんとの交流を何とかつづけていたものの、
数々の妨害にあってしまい、ついに父による我慢の限界をこえた対応に反発して家出!
ホームコメディであった作品で、登場人物が家出というのは象徴的にも強烈です。
そして、そこから少しずつ「ホーム」に変化が・・・・・・
娘への対応に悩む父。
「ホーム」を壊さないよう、幸せのカタチを守り続けてきた男が、その変化に戸惑う。
ラブコメ展開となって「壁」でしかなかったような父が、1人の人間として悩む姿。
ここは、本作品のもっとも重要な場面の1つでしょう。
かつての自分の姿を回想し、そこから思い起こす己の道。
「ホーム」の変化に対して、まさに「生みの苦しみ」が表現された見事なシーンでした。
このステップを経て、自分のすべきことだけでなく、父の威厳も取り戻した輝さん。
そんな“父”に対峙する男1匹・ヒロちゃんの姿にも、私などは素直に感動しましたよ!!
そして物語は幸福の結末へ・・・
本作品に限らず、樹るう先生の作風は「楽しさ」が基本にあります。
その楽しさを生み出しているのは、リズムやノリなどはもちろんなのですが、
もう1つ大きなものに「幸福感」があるように感じます。
本作品では、その幸福感があふれんばかりに感じられて、たまらないのです!
舞さんとヒロちゃんのお付き合い、やや行き過ぎてはいますが父の愛、娘の愛、
周囲の人々の見守り感と協力姿勢、そうした様々なものが楽しく、幸せいっぱい。
この最終巻における「結末までの段階をきちんと踏んだ展開」で演出された各々の幸せは、
大いなる多幸感となって作品全体を包み、読者を高揚させるような心地よさがありました。
父娘のMyホームはその形を変え、新しいMyホームとして生まれ変わる。
素晴らしき、この多幸感!
人々のパワフルさに支えられたこの幸福が、いつまでも続きますように・・・
そう願わずにいられない、楽しい作品でありましたー!!