五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

【お気に入り】 『そんな2人のMyホーム』4巻

2011年09月17日 | ◆「お気に入り」  4コマ漫画

「お気に入り」4コマ漫画の完結巻。

父娘2人を中心とした、多幸感あふれるホーム・コメディ4コマです。

 

 

『そんな2人のMyホーム』4巻 (樹るう 先生)

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 「都築家の未来はどんな形!?」 (オビ文より)

 超有能な大和撫子・都築舞さん。

 父である輝さんは有名彫刻家で、そのサポートをしながら2人暮らしのマイホーム。

 そんな父娘2人を中心とした人々の姿を、面白おかしく描いていたコメディ4コマ・・・

 

 でしたが、そこで舞さんに男性の影が見え始めたところから、雲行きアヤシイ展開に。

 父は娘の交際を断固阻止すべく行動し、娘は父の目をかいくぐる・・・

 はてさて、どうなってしまうのか? さまざまな関係に決着がつく最終巻です!!

 

 

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 父娘2人ぐらしのマイホーム・コメディに、男1匹・ヒロちゃんが乱入してきた本作品。

 ホームコメディがラブコメになっちゃって、作品の楽しさも幅が広がったように思いますが、

 父・輝さんは、娘の交際など認めない頑固オヤジっぷりを発揮して大きな壁となります。

 

 そんな父のプレッシャーの下、舞さんはヒロちゃんとの交流を何とかつづけていたものの、

 数々の妨害にあってしまい、ついに父による我慢の限界をこえた対応に反発して家出!

 ホームコメディであった作品で、登場人物が家出というのは象徴的にも強烈です。

 そして、そこから少しずつ「ホーム」に変化が・・・・・・

 

 

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 娘への対応に悩む父。

 「ホーム」を壊さないよう、幸せのカタチを守り続けてきた男が、その変化に戸惑う。

 ラブコメ展開となって「壁」でしかなかったような父が、1人の人間として悩む姿。

 ここは、本作品のもっとも重要な場面の1つでしょう。

 

 かつての自分の姿を回想し、そこから思い起こす己の道。

 「ホーム」の変化に対して、まさに「生みの苦しみ」が表現された見事なシーンでした。

 このステップを経て、自分のすべきことだけでなく、父の威厳も取り戻した輝さん。

 そんな“父”に対峙する男1匹・ヒロちゃんの姿にも、私などは素直に感動しましたよ!!

 

 

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 そして物語は幸福の結末へ・・・

 本作品に限らず、樹るう先生の作風は「楽しさ」が基本にあります。

 その楽しさを生み出しているのは、リズムやノリなどはもちろんなのですが、

 もう1つ大きなものに「幸福感」があるように感じます。

 

 本作品では、その幸福感があふれんばかりに感じられて、たまらないのです!

 舞さんとヒロちゃんのお付き合い、やや行き過ぎてはいますが父の愛、娘の愛、

 周囲の人々の見守り感と協力姿勢、そうした様々なものが楽しく、幸せいっぱい。

 

 この最終巻における「結末までの段階をきちんと踏んだ展開」で演出された各々の幸せは、

 大いなる多幸感となって作品全体を包み、読者を高揚させるような心地よさがありました。

 父娘のMyホームはその形を変え、新しいMyホームとして生まれ変わる。

 素晴らしき、この多幸感!

 人々のパワフルさに支えられたこの幸福が、いつまでも続きますように・・・

 そう願わずにいられない、楽しい作品でありましたー!!

 

 


【お気に入り】 『娘々TON走記』3巻

2011年09月17日 | ◆「お気に入り」  4コマ漫画

「お気に入り」4コマ漫画の完結巻になります・・・1巻時に紹介忘れてました(^^;

仙術系ファンタジーなドタバタ・ハチャメチャ・コメディ4コマ。

樹るう先生の作風が、カオスの臨界点を突破しております。

 

 

『娘々TON走記』3巻 (樹るう 先生)

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 「樹るう 幻の傑作4コマ最終巻!!」 (オビ文より)

 ポヨポヨ観察日記 増刊号にゲスト登場しておりました“幻”の作品。

 中国をモデルにした(というかそのまんまな)国を舞台に、

 仙術が入り乱れるドタバタ・コメディ4コマ漫画!

 

 ブタになってしまった皇子が、その呪いを解くために女道士3姉妹と共に旅に出る。

 そこでは妖怪やら龍やら仙人様やらが登場し、危険あり笑いありの道中に・・・

 3姉妹の次女・紅蘭と、ブタの皇子様との関係も気になる所。

 はてさて、その旅の果てに待つものはいったい何なのか?

 皇子様は元に戻れるのか? この国の行く末は? すべてに決着がつく最終巻!!

 

 

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 皇子に呪いをかけた黒幕は、皇帝のお気に入りである壇貴妃。

 ついに、この巻にて決着がつく・・・と思いきや、なんとも見事な大転換が!

 

 さすが樹先生と申しましょうか、仙術系の冒険譚としてハラハラさせる展開も見事ですが、

 やはりその作風の基本は「踊るように楽しい」という点にあることを再確認いたしました。

 とにもかくにもノリがイイ!

 そして、本作品の掲載誌が「コミックメガストアH」という、いわゆる成人系マンガ誌だった

 こともあってか、やたらとノリがカオスな作品に仕上がっていたように思います。

 はじめは、「先生・・・やけになってる?」と、成人系マンガ誌での立ち位置に迷っているのか

 なんて考えも浮かびましたが、とにかくいつも以上に爆発的なノリのよい作品でした。

 

 そして、その楽しさは、最後「敵」を倒してENDというカタチをとらず、

 も少し違った「困難を乗り越えて手に入れるもの」を感じさせるエピソードでシメ。

 壇貴妃の存在も、単純な「敵」としてのそれではなかった点が、

 大団円という楽しさの絶頂感を大きなものにしており、深く感服してしまいました。

 

 

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 そして、成人系マンガ誌ということもあってか、いつもと異なる樹先生の一面が・・・

 もちろん露骨な性描写などはありませんが、道教系の基本的なことともいえる

 「房中術」を面白おかしく取り上げていたりと、なかなか淫猥な愉しみも・・・

 とはいえ、明るく楽しくが基本。 妙な感じは皆無でありますのでご安心を(?)

 成人系マンガ誌にあって、健全な「H」を愉しもうというのは、よろしいことではないかと。

 

 

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 大団円のシメ。

 山あり谷あり、多くの困難があった旅も終点にたどりつき、この幸せな空間へと帰結。

 

 全体的に、樹先生の楽しい作風があふれんばかりなのはいつものことですが、

 そのカオスっぷりについては、他作品以上のものがあった作品だと感じます。

 さまざまな場所へ赴き、皇子の呪いを解く手段を探し求める展開と、

 仙術や妖怪などが入り乱れる物語は、ファンタジーとしても上質。

 それが樹先生のコメディ4コマに乗っかているのだから、面白くないはずがない!

 「幻の傑作」の看板に偽りなし? 私は、じゅうぶんに楽しませていただきましたー!!