五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

【お気に入り】 『ナポレオン -覇道進撃-』1巻

2011年09月12日 | ◆「お気に入り」  マンガ

「お気に入り」1巻作品。

ヤングキングアワーズ連載中、前シリーズ〈獅子の時代〉全15巻も面白いです。

 

 

『ナポレオン -覇道進撃-』1巻 (長谷川哲也 先生)

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 「男の人生に後悔は不要」 (オビ文より)

 前シリーズ〈獅子の時代〉はナポレオンの少年期から始まり、

 フランス革命にトドメが刺されるまでが描かれましたが、

 このシリーズは、第1執政となったナポレオンの〈覇道進撃〉が描かれます。

 「史実は後からついてこい!」と言わんばかりの破天荒な男たちがくりひろげる

 “男の世界”を描いた作品。 男と生まれたからには熱狂に身を投じ、野望の道を往くべし!

 

 

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 第1話は、ナポレオン暗殺未遂事件。

 ここで活躍したのが、警察大臣のジョゼフ・フーシェ。

 徹底した現場検証と証拠収集、そこから犯人グループを割り出すという有能さ。

 冷酷にして狡猾な陰謀家として知られる彼の存在は、

 ナポレオンの「覇道」にとって欠かせない片翼となっていきます。

 

 もう一方の翼は、外務大臣のタレイラン・ペリゴール。

 悪徳まみれの彼は、いつもお金儲けに精を出しているのですが、その有能さは折り紙つき。 

 弁舌巧みな彼の外交術や人脈は、ナポレオンにとって重宝すべきものなのです。

 このフーシェとタレイランという両翼は、決して油断ならない“怪物”たちではあるものの、

 ナポレオンが皇帝となるためには、彼らの力がまず必要。

 この両巨頭とナポレオンの関係にも、このシリーズでは注目でしょうね。

 

 

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 とはいえ主役は、第1執政ナポレオン・ボナパルト。

 このシリーズでは彼自身はもちろんのこと、ナポレオンの部下たちの活躍も見どころで、

 有能な参謀のベルティエ、勇猛なる将帥であるランヌ、守銭奴だが有能・豪胆なマッセナ、

 またナポレオンの敵であるイギリスのネルソンや、オーストリアのメラスなどなど、

 “戦争の天才”ナポレオンをはじめ、強烈な個性の男たちがくりひろげる物語に、

 血沸き肉躍る興奮を感じざるをえません。

 

 さらに面白いのは、ナポレオンの評価軸。

 彼は、認めた相手に対して「男だな」と述べて賛辞を贈ることが多く、

 そこが話の盛り上がりになっていたりして興味深いのです。

 逆に、自分の意に沿わない場合は、それがたとえ相手に死を強いるようなケースでも、

 「男じゃない」なんて評する狂いっぷり。 この熱狂こそが、男が仕事を成し遂げるための

 大切な要素であることを語っているかのようでもあります。

 

 一方では、貧民を気づかう政治家としての顔をのぞかせながら、

 また一方では、自分は安全圏にいながら部下に死を強いる“狂気”を見せたりもする。

 そんな所が、これぞ「仕事」に命を懸ける男の姿だと感じさせる、凄味なのかもしれません。

 

 

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 あと、連載時には気づかなかったのですが、このクロイセって・・・あのクロイセ?

 だとしたら、今後も彼は復讐のためにナポレオンを狙い続けるのでしょうね。

 ナポレオン率いるフランス軍に蹂躙された故郷のため戦う男。

 彼もまた1人の男であり、ナポレオンとは別の視点からの物語を感じさせてくれる存在。

 

 ナポレオンが絶対正義なわけでも無謬でもないことを示している。

 こうした描き方も見事ですね。

 などなど、前シリーズから大好きだった作品。 新シリーズもかなり面白く、期待大です。

 

 


【お気に入り】 『ツマヌダ格闘街』10巻

2011年09月12日 | ◆「お気に入り」  マンガ

最近そろえ始めた「お気に入り」作品。

「月刊ヤングキング」にて連載中、現在10巻まで。

“理”と“精神”を重んじる格闘モノです。

 

 

『ツマヌダ格闘街』10巻 (上山道郎 先生)

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 「この局面・・・先に動いた方が負ける!!」 (本編133ページより)

 格闘の街・ツマヌダ。

 そこではストリートファイトが公認されており、日常的に熱い闘いがくりひろげられていた。

 そんな街へやって来た八重樫ミツルは、格闘経験など皆無なイラストレーター志望の青年。

 しかし彼は、出会ったメイド・ドラエさんの指導を受け、めきめきと実力をつけてゆくことに・・・

 

 

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 この10巻では、主に「王子杯トーナメント」準決勝の第2試合が描かれます。

 すでに決勝進出を決めているミツルの対戦相手は誰か?という展開に、わくわくしっぱなし。

 対戦カードは、天才格闘家の王子・カイン vs 一撃必殺の空手家・鷹羽和義。

 2人とも主人公・ミツルの知り合いで、どちらが勝ってもおかしくないほどの実力派。

 ゆえに勝負の行方もどうなるか、読めないところが面白すぎでしたよ。

 私もこの勝負を連載で追っていて、その結果でコミックス購読を決心したほどでしたから。

 

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 双方ハイレベルな総合格闘術と空手の対戦は、迫力も緊張感も満点の勝負。

 一進一退の攻防、なかなか自分から動くことができない「先読み」の勝負。

 そんな闘いが描かれていますが、作品全体を通してみても指折りの名対戦かと思います。

 

 本作品の面白さは、こうした格闘勝負はもちろんのこと、そこにある“理”と“精神”の理想形が

 強さにつながっている点に、大きな魅力があるのは間違いありません。

 つまり、単なる暴力としての格闘術ではなく、護身や身体操作を極めたところに存在する

 本当の意味での「武」。 “暴”を制する“理”と“精神”。

 そうしたものが、胸のすく心地よさを感じさせてくれる要素となっているのです。

 

 また、人々の和気あいあいとしたふれあいも、この作品の魅力の1つ。

 格闘を中心にしながらも、それに負けないぐらい日常の描写にも多くの話が割かれていて、

 格闘をしない人々のキャラクターも決してないがしろにされず、そのふれあいにハートフルな

 感覚を味わえたりと、バリエーションに富んだ楽しみ方ができる作品となっています。

 本来であれば、10巻通した感想でも書きたいくらい好き作品です・・・できないけど(^^;